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キス取りゲーム

【あらすじ】

「あのアイドルとキスできるのはだれだ!」
突然開催された『キス取りゲーム』。椅子取りゲームの要領で、「ひとりのアイドルとのキス」をかけて猛烈に戦う男たち。ゲーム会場に来るまでも、障害物競走並みのトラップをくぐり抜けてきた猛者が、拳と拳ならぬ、尻と尻をぶつけ合いながら奮闘する。主人公の理人も、並々ならぬ情熱をかけ戦いに出ていた。

「ステージにいる彼女、握手会でセキュリティスタッフに守られながら対応してる彼女、写真集の中の彼女。僕と彼女の間には、常に一枚隔たりがある状態だった……。それがいま解き放たれ、しかもあわよくばキスまでできるかもしれない……!」

拳を握りしめる理人。
理系男子も、スポーツマン系リア充も、マッチョ野郎も、全力スピードで蹴散らしていく。

最後の一騎打ち。
オタク仲間と涙の打ち合い。ぶつかる尻と尻、飛び散る汗。スローモーションになる画面の中、その座を勝ち取ったのは理人だった。

「理人くん、おめでとう」
アイドルかりんちゃんが目の前に立っている。唸り悔しむ聴衆を横目に、会場に据えられたステージに登る理人。

「かりんちゃん、だ、大好きです……」

まさにかりんちゃんの唇に、理人の唇が届こうとした瞬間。

「いつまで寝てんだよ、早く起きろ!!!」
耳元で鳴り響く、弟の怒号。

せっかくキス取りゲームで勝てたのに、まさかの夢オチ。がっかり!


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