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ばってん少女隊「OiSa」を考察してみた

こんばんは。たいようです。読んでくださりありがとうございます。

ばってん少女隊の「OiSa」、中毒性が高い曲ですよね。これがきっかけでばっしょーを知ったという方も多いと聞きます。僕もその一人ですし。
ですが、楽曲の中毒性にばかり注目されて、歌詞やMVに込められた意味について考える機会は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、OiSaにはどのようなストーリー、メッセージが隠されているのか、自分なりに妄想考察したことを書いていきます。2年以上前の曲ですが。
「こんな考え方もあるんだな」くらいの気軽な感じで読んでくださると嬉しいです。


事前知識として

はかおんやまかさ」って?

OiSaのモチーフとなっているのは、「博多祇園山笠」というお祭りです。博多祇園山笠とは、福岡市にあるくし神社の祭神の1人、さのおのみことに奉納する神事です。スサノオはヤマタノオロチ退治で有名な神様ですね。
曲名にもなっている「おいさ」は、このお祭りで発せられる掛け声なのです。

MVのロケ地はどこ?

ばっしょー公式YouTubeチャンネルにアップされている、MVのメイキング映像内に記載されています。「古民家」「よこやま神社」「商店街」「わかはちまん神社」の4ヶ所です。
それぞれどのような場所か説明すると

  • 古民家・・・古民家です。それだけです。

  • 横山神社・・・福岡市にある、スサノオの3人の娘、むなかたさんじょしんを祀っている神社です。

  • 伊田商店街・・・がわ市にある、シャッター街となっている商店街です。

  • 若八幡神社・・・田川市にある、にんとく天皇などを祀っている神社です。仁徳天皇は、素晴らしい政治を行ない「聖帝」と呼ばれた天皇です。

↓にメイキング映像を貼っておくので、まだご覧になっていない方はぜひ視聴してみてください。

あのオレンジのお面は何?

MV中に何度もでてくるあのオレンジのお面、一体何なのか気になりますよね。

MV中に何度も登場するこれは・・・?

このお面は、「はか」という、福岡の伝統的な喜劇で使われるものなのです。
博多仁和加の由来は諸説ありますが、一説によると、姫路の人々がかつて政治に対する不満を言い合っていた「あっこうまつり」を起源に持つようです。なるほど、元々は政治的な意味合いを持っていたのですね。

MVより、古民家

楽曲をさらに深く考察

さて、ここからはMVと歌詞を見ながら楽曲をさらに深く掘り下げてみましょう。

この曲に隠された物語を見つけるカギは2つあると考えます。

カギその1―MVの最後の場面

OiSaのMVでは、曲が流れ終わった後にも不思議な映像が流れ続けます。

他のメンバーが眠りに落ちている中、瀬田さくらさんただ1人だけが不気味な笑みを浮かべているのです。

この不気味な笑みの意味は・・・?

彼女だけ何かを知っていそうですよね。

カギその2―曲のパート分け

次に、各メンバーが歌唱を担当している箇所の歌詞に注目していただきたいです。

「いつも待ったなしの~」「はしゃぎたい~」といった、現状への不満のような内容を口にする彼女たち。対して、「君が思ってた想定の~」「ほらね真っ当に生きて~」のような、強いメッセージのこもったパートの大部分を瀬田さんが一人で担当しています。

不満を口にするメンバーたちに、瀬田さんが何かを訴えかけているように思えます。

MVより、横山神社

ここから考えられるストーリー

MVに映し出された風景は、瀬田さんのイタズラだった!?

博多祇園山笠は、スサノオに捧げるお祭りだと書きましたよね。そして、横山神社もスサノオの娘たち、宗像三女神を祀っているということで彼に縁のある神社です。スサノオとこの曲にどのような関係があるのでしょうか。

実は彼、若い頃はイタズラばかりする神様だったのです。彼と同じように、瀬田さんは他のメンバーにイタズラをしたのではないでしょうか。彼女の笑みにはそのような意味があったのですね。
ではそのイタズラとは・・・

先述の通り、瀬田さん以外のメンバーが眠っている中、彼女だけが何かを知っているかのように笑みを浮かべている。このことから、彼女は他のメンバーを夢の中で異世界に連れていったのだと思います。不思議ちゃんな瀬田さんならきっとそのようなことができてもおかしくない(と信じたい)です。

(余談ですが、スサノオが行なったのは本当はイタズラなどという生易しいものではないです。興味がある方は調べてみてください。)

MVより、伊田商店街

混沌とする世の中で疲弊する彼女たち

それでは、彼女たちが旅した異世界は何を示しているのでしょうか。

僕が思うに、それは彼女たちが抱いている心情と強くリンクした風景です。
まずは、何度も出てくる博多仁和加のお面。政治的な意味を持つお祭りを起源に持つ芸能にまつわるこのアイテムは、彼女たちが世の中に抱いている不安を表しています。OiSa収録のアルバム「ふぁん」がリリースされた2020年、世界が震撼した政治的なできごととは何か。

そうです。パンデミックですよね。↓の制作談話からも、歌詞がコロナ禍で傷つきやすくなった人々に向けたメッセージになっているということがわかります。

古民家やシャッター街といった寂れたイメージのある風景は、その疲れ切った心を表しているのでしょう。そう、「満身創痍」です。
仁徳天皇のような優れた政治家にこの世の中を救ってほしい・・・そのような思いが若八幡神社に反映されています。

MVより、若八幡神社

非日常へのいざな

そんな彼女たちを、瀬田さんが最後に連れていったのは博多祇園山笠です。このお祭りが意味するのは「非日常」です。

なぜそのように考えられるのか。それは、このお祭りが女人禁制だからです。さらに、地域の住民以外は参加できないという決まりもあります。
(たぶん)地域外出身の女性であるメンバーにとってこのお祭りは、決して普段関わることがないものなのです。

「ときには何も考えずに非日常な世界に現実逃避してもいいんだよ」。瀬田さんが歌う「たまにはどう? 無鉄砲」はこのような意味だと思います。

MVより、博多祇園山笠をイメージした山車

楽曲に込められたメッセージとは

ここまで、メンバーたちの旅路を追ってきましたが、それではこの物語を通じて僕たちに伝えられたものとは何でしょうか。

この曲のMVは、異世界の旅を通じて瀬田さんが他のメンバーにメッセージを伝えるという物語。そう考察してきました。この構図で、瀬田さんをOiSaの製作者、メンバーをファンに置き換えてみます。そうすると「製作者が僕たちにメッセージを伝えている」ことになりますよね。

(ここでいう製作者とは、作詞作曲の渡邊忍さんをはじめ、ばっしょーメンバー6人や音楽ディレクターの杉本陽里子さんなど、楽曲制作に携わったすべての方々を指します。)

そのメッセージとは↓のようなものだと思います。

「ピリピリした世の中で、いつも真面目に生きて疲れてしまっているかもしれない。でもたまには逃げたっていいじゃない」。

僕はこのように受け取りました。合ってますかね?

僕みたいに現実逃避ばかりしている人もいますが、一方で真面目に生きている方も多いです。素晴らしいことです。
でもときにはすべて忘れて、非日常の世界に浸るのも大切なのかもしれませんね。

今回はこの辺りで失礼します。長文を最後まで読んでくださって感謝です。
それでは、おやすみなさい。

参考資料

博多祇園山笠公式ホームページ

横山神社―福岡神社参拝帳

伊田商店街(福岡県)|【ロケ地 検索】全国ロケーションデータベース

若八幡神社―神社検索(神社史研究会)

博多仁和加振興会|公益財団法人 福岡観光コンベンションビューロー

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