CMA試験全体を振り返る話 #10

1月2日深夜に放送された"太田伯山ウイカの「はなつまみ」"を見ました。番組の後半で「承認欲求」についての話がされていたのですが、伯山さんは鶴瓶師匠に落語会の感想を事細かに聞かれたというエピソード、太田さんはさんまさんに「オレどうやった?」と必ず聞かれるというエピソードを挙げ、後輩から慕われる大御所たちは後輩が褒めやすいような空気を作っていると主張していました。エンディングで、伯山さんは歌丸師匠が亡くなる寸前までネタ下ろしをしていたり、香川照之さんが50歳を過ぎてから歌舞伎界に戻ったりするのは、年齢に関わらず(落語なり歌舞伎なり)それが自分が本当に褒められたい分野だから、と分析されていました。また、その人が本当に大事にしているものが何かがわかるとも補足されていました。

なんだか、こういう話は素敵ですよね。自分も経理の分野でいつまでも新しい挑戦を続けたいし、そのことを誰かに褒めてほしいなと思いました。私の場合、自分が証券アナリストや会計士試験に挑戦していることは、会社の人間はおろか、友達や両親にも話せていないので、インターネットという匿名の空間を通して承認欲求を得ようとしているわけですね。

前書き(しかもテレビ番組の書き起こし)で500字近くに達してしまいました。今回は、証券アナリスト試験全体を振り返ります。

<申し込み>

2018年夏に1次レベルの受講を申し込みました。私が申し込んだ際は、1次レベルの受講料が55,950円、2次レベルの受講料が71,750円で、合計127,700円でした。消費税率が8%のときの話なので、今はもう少し高くなっていると思います。今覚えば、テキストが届くだけでオンライン講座や模試があるわけでもないのに約13万円もかかるって高すぎますよね。会計士試験予備校の受講料約75万円が何だか安く思えてきてしまいました。商学部あたりの大学生にちょうどいい試験だと思うのですが、大学生にとって13万円は大金ですよね。社会人は3か月我慢すれば何とかなる金額なので、金銭的には若手社会人をターゲットにした資格なのだと思います。なお、受講のきっかけは全く覚えていません。1つくらいは履歴書に書けそうな資格が欲しいとでも思ったのだろうと思います。簿記1級でも履歴書に書いていいと思うのですが、転職をするには少し頼りないと感じていたのでしょう。

<1次試験>

2019年4月21日に早稲田大学で行われました。試験時間は証券分析が3時間、財務分析と経済が各1.5時間で合計6時間です。私は証券分析、財務分析、経済の3科目を1日で全て受験しました。周囲を見ていると、3科目すべて受験していた人はあまり多くないように見受けられたので、忙しい方は1科目ずつ受験しても問題ないと思います。私は公式のテキストを読み込んだ後、ひとすら過去問を解くという原始的な方法で試験に臨みました。

試験後の手応えとしては、財務分析は間違えなく合格、証券分析と経済は不合格かな、と思っていましたが、結果的には3科目とも合格しました。受験料は12,600円です(当時)。

<2次試験>

2020年12月13日に都内某所で行われました。試験時間は午前と午後が各3.5時間の合計7時間です。結果は、3月上旬に発表される予定です。1次試験と同様に、公式のテキストを読み込んだ後、ひとすら過去問を解くという原始的な方法で試験に臨みました。受験料は8,400円です。(※当初は2020年6月7日に行われる予定でしたが、半年延期されました。まさか12月の方が感染が広がっているとは、当時だれも予測できなかったのでしょう。)

実は、試験直前の1か月間に仕事でいろいろなことがあり、全く試験勉強に集中できず、1年分の過去問を解き終わるのに1週間かかるなど、完全にスランプに陥っていました。今回の試験は、欠席しても理由のいかんに関わらず受験料は全額返金、しかも受験回数もカウントしないという旨が事前にアナリスト協会から発表されていたので、直前まで受験するかブッチするかどうか悩んでいました。試験前日に解いた過去問の手応えがまあまあ良かったので、試験を受けることに決めたのですが、試験までのコンディションの整え方や勉強方法には課題が残りました。

<総括>

証券アナリスト試験は証券分析・ポートフォリオマネジメントの科目の比重が全体の半分以上を占めるのですが、私はこの科目が大の苦手であったのに対して、相対的な比重の小さい財務分析経済の科目についてはそれなりに得意でした。勉強時間の比率でいえば証券:財務:経済で、8:1:1くらいになったと思います。自分自身の得意分野を全く生かせず、学習には非常に苦労しましたが、いい経験になりました。別に金融部門に転職を考えているわけでもないのに、申し訳程度にポートフォリオの勉強をしていったい何の役に立つのだろう?と思ったことは一度や二度ではありませんが、それでも試験に挑戦して良かったと思います。証券アナリスト試験の勉強を通して社会人として成長することができたというのは、過言ではありません。受験料は合計で約15万円で、資格取得までに最短でも約1年半かかるというコスパ激弱な資格ですが、自分自身のキャリアについて考えさせられた、興味ある分野が少しずつ明らかになってきた、という意味では証券アナリストを名乗れること以上の成果を得られたのではないかと思います。

12月の試験に落ちていたら合計7時間の試験を受け直さないといけないのでものすごく憂鬱な気分です。3月まで証券アナリストの話は封印です。


Written by ほうれん草茹で太郎