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電卓遊び

電力関係について某所で書いた遊びを覚え書きで残しておく。まずは2011年の読売新聞の記事から

「東京電力は19日、川崎市で昨年4月から建設を進めていた「扇島太陽光発電所」の運転を始めた。
最大出力は1万3000キロ・ワットで、稼働中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)としては国内最大級だ。1年間に発電する電力で、一般家庭3800軒分の年間使用電力量を賄える。」
(「国内最大級メガソーラー稼働…東電 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)」より)

ポイントとなる数字は「最大出力13,000KW」と「一般家庭3,800軒分の年間使用電力量」の2つ。

これに数字を補足する。まず数字の単位だが 1T = 1,000G = 1,000,000M = 1,000,000,000K とする。読み方は「テラ」「メガ」「キロ」である。まぁお馴染みですよね。したがって13,000KW は 13MW と換算できる。また「一般家庭3,800軒」は3.8K世帯と換算できる。電力の単位には W (ワット)と Wh (ワットアワー)がある。前者はパワーを表し、後者はエネルギー量を表す。 1W = 1J/s で、 1W のパワーによる1時間当たりの仕事量(エネルギー)が 1Wh = 3,600J である。もし仮に上述の太陽光発電所が24時間365日フルパワーで稼働したとすると(実際にはあり得ない) 13,000KWh×24×365 で約 110GWh となる。

更に数字を補足する。東京都における1世帯の1日当たりの消費電力(エネルギー)量は 10KWh だそうだ。これを年間に換算すると 3,650KWh となる。これに 3.8K世帯 を掛けると約 14GWh となる。つまり上の記事は、「扇島太陽光発電所」は年間 14GWh の電力を生産しますよ、と言っているのである(送電時のロスなどはここでは無視する、実はこれが結構デカいのだが)。

先ほどフルパワーで電力を生産すると年間で 110GWh ほどになると書いた。  14GWh を 110GWh で割ると年間稼働率が分かる。答えは約13%。太陽光発電の実質的な稼働率は11%ほどと言われているので、まぁ妥当な数字だと言える。

この数字を東京都23区に当てはめてみよう。東京都23区の世帯数は 4.4M ほど。年間消費電力量に換算すると 16TWh になる。仮にこのうちの30%を太陽光発電で賄おうとすると 4.8TWh を生産しなければならない。稼働率に先ほどの13%を採用すると、最大で 4.2GW のパワーが出せる太陽光発電プラントが必要になる。

当時の東京新聞によると「扇島太陽光発電所」は23ha(0.23平方km)に64,000枚のモジュールを敷き詰めたものらしい。最初の記事で「扇島太陽光発電所」の最大パワーは 13MW と示されているので、東京都23区の一般家庭を賄うにはその323倍の規模が必要で、単純に計算すると、7,400ha(74平方km)の土地に21M枚のモジュールを敷き詰める必要がある。東京都23区の面積が623平方kmなので、23区の約12%がソーラーパネルで埋まることになる。世田谷区と渋谷区を合わせたくらいかな(笑)

余談だが日本における一般家庭の電力消費量は全体の3割ほどだそうである。つまり上述の値をさらに3.3倍しないと東京都23区全体(の30%)を賄えないことになる。