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Paco de Lucíaの米国デビュー『Friday Night in San Francisco』おすすめ

スーパー・ギター・トリオと呼ばれる3人のライブアルバムです。ジャズ・ギター界では既に有名だったジョン・マックラフリンとフュージョン界のアル・ディ・メオラにフラメンコ・ギター界、スペインの至宝パコ・デ・ルシアが加わって実現したライブ盤です。録音は1980年、アルバム・リリースは1981年です。

話によるとパコの熱烈なファンだったアルからオファーしたとのことです。後にYouTubeで出回ったパコのインタビューを聞くと彼は最初は難色を示したようです。その理由はジャズは全く分からないし、ジャズのアドリブにはついて行けないと思っていたと言います。その事をアルに告げると、アルから大笑いされたと言ってました。彼から言われたのは、「いつもアドリブやってるじゃないの?」と。そして、実際ライブを始めてみると毎回汗だくで頭の中が真っ白になったとパコが言ってたのが印象に残りました。あのパコがギターを弾くのに頭の中が真っ白になって汗が噴き出るとは信じ難い事です。

特に楽曲1.のMediterranean Sundance/ Rio Anchoを慎重に聴けば分かりますが、当時米国では無名のフラメンコ・ギタリストのパコのソロが始まるとアルがソロを取ってた時とはガラリと変わり会場がシーンとなります。無名だし、どれ程のギターを弾くのか静かに聴き入っているような雰囲気です。が、徐々にパコの火を吹くようなギターに段々と観客が声を上げ出して最後は物凄い歓声に変わります。注意深く聴くと演奏終了した途端にパコの「ハーッ、グラシアス」が聴こえてきます。

スチール弦をピックで弾くアルに対してナイロン弦を爪で掻き鳴らすパコのスタイルは対照的です。速弾きパートは、あの速弾きで有名なアルを周回遅れにするような勢いのパコのギターは圧巻です。

パコは、このツアーをきっかけに世界的に有名になっていったと思います。私は、1988年にリマで1998年頃にキトで2度ライブを観ました。天才のオーラは凄かった事を覚えています。

楽曲リスト
Side one
1. Mediterranean Sundance/ Rio Ancho(11:33) 作曲:アル・ディ・メオラ / パコ・デ・ルシア
2. Short Tales Of The Black Forest(8:40). 作曲:チック・コリア
Side two
1. Frevo Rasgado(7:55). 作曲:エグベルト・ジスモンチ
2. Fantasia Suite (8:50). 作曲:アル・ディ・メオラ
3. Guardian Angel (3:59). 作曲:ジョン・マクラフリン

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