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エクアドル、チリキンガとウヤグアリの手工ギター

キトで生活していた時、随分とギターを作ってもらいました。キトではHugo Chiliquingaという製作者に、クエンカではLuis Enrique Uyaguariという製作者に注文して作ってもらいました。

日本から河野賢ギター(プロフェッショナルとフラメンコ)を持ってきていたのでギターは手元にありましたが、地元で作られるギターに興味を持って製作家を探しました。同僚などに訊くと皆チリキンガが一番有名とのことで、彼の工房を探し出し、訪問しました。ただ、情報によると有名なのは兄のOlivoという人で当時は海外で生活をしていたようです。後にキトに凱旋帰国して工房を再開させます。私が訪問したのは弟のHugoの方です。本人曰く、最初は兄に教わったけど腕は自分の方が上で出来上がったギターを見てもらえば直ぐに分かると自画自賛していました。

Hugoには、合計4本くらい注文して作ってもらったと思います。一番高価なギターは2,000米ドルくらい請求されました。パコ・デ・ルシアの米国ライブのCDジャケット写真で彼のコンデ・エルマーノスのギターの厚みが半端なくあり、普通のギターの1.5倍くらいの厚みに見え、どんな音になるのかとHugoに写真を見せて「こんなギター作ってくれ」と頼みました。当時の印象として、彼は研究熱心でいろいろな材料や形状でギターを作成していました。もちろん、河野ギターを持っていると言えば、見せて欲しいと頼まれ工房まで持ち込んで見せてあげました。彼は河野ギターの内部をしっかり確認してスペイン風の造りであることや内部の塗装などに気にかけてました。

注文して完成したパコ風ギターは、素晴らしい音と音量でした。欠点は厚みがあり過ぎて普通のハードケースには収まらないことでした。ソフトケースでなければ持ち運びできない代物になってしまいましたが、音は素晴らしかったです。材料も表面版はスプルース、側面・背面版はハカランダでした。このギター、結局日本に持ち帰るのはあきらめてギター好きのJICA専門家へ格安で譲ってしまいました。作ってもらった他のギターも色々な人に譲ってしまいました。

チリキンガと並んで有名なギター製作家にウヤグアリという人が居ました。クエンカを出張で訪れた時に工房を訪ねて幾つかギターを弾かせてもらいました。帰国間際には2本作ってもらい1本はドイツ語の恩師に譲り、もう1本はまだ手元にあります。近々、クリスマスのラッフルに提供するつもりです。手作りギターには製作者の色が出て面白い反面、世界的に流通するには様々な気候風土に耐えるような作りと、深みのある音は欠かせないですね。

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