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あわや車が炎上、聖母マリア像の呪いなのか⁉︎

エクアドル駐在中に自家用車を購入しました。通常だと輸入車は100%関税、パクト・アンディーノ条約国内で組み立てたらた車は、税率が低い。いずれにしても通常のセダンなんかではアンデス山脈からアマゾンジャングル、そして太平洋沿岸地域なと路肩崩れや悪路がある同国では使えない上、もし衝突事故が起きた場合、自身の体へのダメージが大きいだろうから頑丈でしっかりした四輪駆動のRV車を探したのですが良いのが見つからず、日本から中古のアメ車(フォード、エクスプローラ4L、220馬力V6気筒エンジン、コラム式オートマチック車、電子制御4輪駆動)を実兄に頼んで船で送ってもらいました。大使館にお願いして無税で通関できるようしてグアヤキル港で受け取りました。

港町グアヤキルから首都キトまで車で6〜7時間くらいで移動できます。休日を利用して引き取りに、事務所のローカルスタッフ(法務担当クラーク)に交代運転をやってもらうために同行してもらいました。税関から取り出し、私が市内からバナナ園が延々と続くコスタ地域を運転し、アンデス山脈の麓のサント・ドミンゴを過ぎて一気に山を登り(4000m超える)始めるとことで事務所のローカルスタッフ同僚に運転を交代してもらいました。彼の運転は多少心配だったので、上りのカーブが続く道であればスピードもでないので安全だと思ったからです。

彼が運転しだして少しすると、「もう直ぐ有名がカーブがあるんだ、そこには聖母マリア様の像がある、交通安全祈願をしたいから立ち寄るよ」と言い出しました。内心、もう山も暗くなってきて民家も何もない山道の途中で車を止めるのは嫌な感がしましたが、、。彼は、聖母マリア像があると言うカーブから奥に拡がる大きな砂利の広場のようなところに車を止め、聖母マリア像に祈りを捧げました。

引き続き、彼が車を運転してだすと5分もしないうちに首を傾げだし、車を止めてタイヤを確認しに下車しました。すると左の後輪がパンクしてました。どうやらあの砂利の広場で釘かなにかを拾ったようでした。辺りはすっかり暗闇に包まれて、通過していく車も1時間に上下方向合わせても10台くらいとなってきていました。

スペアタイヤは車の後部下に取り付けてあり、ハッチバックを開けて荷物入れフロアを間後ろから見たところにある小さな穴に長いクランク・ハンドル・レンチを差し込んで回し、鎖止めされているスペアタイヤをゆっくり下せば良いのです。が、如何せん暗くて良く見えない、何とか穴の位置が分かる程度で、その先の長いクランク・ハンドル・レンチを差し込む先が見えない。そうすると同僚が、ライターをシュポと点けて灯りをかざしだした、。火を穴に近づけた瞬間、ボッと鈍い音がしてフエルトで出来た後部の荷物置き用のフロアマットに引火してしまいました。そのマットの真下は燃料タンクで、その空気穴から揮発したガソリンがボディフロアとマット下の隙間に充満してたのです。

持参してる水は無く、青白いゆっくりとした炎が燃えているのが分かりました。これはヤバイ、燃料タンクに引火したら爆発するぞ!と思い、一瞬車から遠ざかりましたが、炎の勢いはそれほどでもないから兎に角、水を確保しようと考えました。上下方向から来る車を片っ端に止めて、水をもってないか尋ねましたが、乗用車はまったくダメ、長距離トラックがポリ容器に持っていて、使わせてもらいましたが全然炎が消えませんでした。時間はどんどん過ぎて行き、いつ燃料タンクに到達するのか、体中が緊張で震えだしました。そして、明日の朝刊に載ったらどうしようか?とか馬鹿なことが頭を過りました。が、引き続きトラックを見つけては止めて水を持ってないかを尋ね続けました。真っ暗闇のアンデス山中で車のヘッドライトほど頼もしく安心できるものはありませんでした。車が来なくなると恐怖で体中に震えがでてきました。ローカルスタッフの同僚は、既に泣いてました。

最後に止めたトラックは、運転手が降りてきて車を覗き込み、これヤバイぞと言い、俺も水は必要だから買ってくれと頼まれて、いいよ買うよと答え。その運転手にも手伝ってもらい2つくらいのポリ容器の水を使ってバシャバシャ水をかけてようやく鎮火することができました。既に2時間くらい過ぎていたかも知れません。

ローカルスタッフ同僚は、携帯電話の電波が入る高台を見つけて父親に助けを求めました。1~2時間くらいすると父親の車が到着して、懐中電灯で照らしながらタイヤ交換を済ませて、私がエンジンがかかるか試しました。そこからは自分で運転して自宅まで戻りました。いつ爆発しても咄嗟にドアを開けて逃げれるように細心の注意で運転を続けました。

後日、キト市内のフォードのディーラーに持ち込んで修理を依頼して交換された燃料タンクとコンダクトパイプを見せてもらいました。ボディの中を抜けて内部の燃料タンクへ繋がっている樹脂のコンダクトパイプの上半分が燃えて溶けていました(ソーメン流しの樋のようになってました)。その先端は燃料タンクの入り口に届いていたのでした。それを見た時、腰が抜けそうになりました。幸運でした。これが聖母マリア様のご加護だったんでしょう。

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