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フェデリコ・フェリーニ監督作品『道』を観る

1954年のイタリア映画、原題: La Strada。主演は、旅芸人ザンパノ役のアンソニー・クイン、その助手兼雑用係のジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナ(フェデリコ・フェリーニの妻)。音楽は、ニーノ・ロータです。有名な映画でご覧になった人も多いと思います。私自身は、17歳の頃、英語の教師のコレクションから学校の視聴覚教室を放課後独り占めして観たのが初めてでした。

物語(ネタバレです)は、ザンパノの助手の女が亡くなったことでその家族の姉妹のジェルソミーナを安く買い取って行くところから始まります。ちょっと頭が弱いけど物静かで優しいジェルソミーナは悲しい思いをするが、下の弟妹の生活を心配する母親に説得されザンパノのオート三輪で一緒に旅に出ます。三輪車の荷台に乗ったジェルソミーナは、少し期待にワクワクしたような表情を見せます。

途中、空き地で食事を摂り、ザンパノがジェルソミーナに芸を教え込みます。物覚えの悪いジェルソミーナを雑草を引き抜いた鞭で叩きなら厳しく教えます。ジェルソミーナは泣きながら小太鼓を叩き、呼び込みの発声を練習し続けます。ジェルソミーナにとって初めての客の呼び込みとコミカルな寸劇(道化役)で観客の笑いを取ったことで自信を持つようになります。

ある時、サーカスの一団と遭遇します。その団員の綱渡り芸人とザンパノは既知の間柄でザンパノはいつも彼をからかう綱渡り芸人を良く思っていませんでした。その再会で二人は警察沙汰の喧嘩をしてしまいサーカス団は街を出ていかなければならなくなり、ザンパノと綱渡り芸人はサーカス団から追い出されたが、オーナーからジェルソミーナは一緒に行かないかと誘われます。しかし、彼女はザンパノと大道芸を続けることを選びます。

綱渡り芸人は、「自分は役立たず」と嘆くジェルソミーナに「夜空の無数の星、世の中のすべては何かの役に立ち、ジェルソミーナも役に立っている、それは神が知っている」と言い残して立ちさっていきます。

オート三輪で旅を続けるザンパノとジェルソミーナ、旅の途中で例の綱渡り芸人が故障した自動車の修理をしているところに出くわせます。粗暴なザンパノはここぞとばかりに仕返しをします。頭の打ちどころが悪かったのか旅芸人はぐったりとして死亡してしまいます。驚いたジェルソミーナは、その後、放心状態になり、何も話せなくなってしまいます。大道芸の途中でも泣き出した入りするジェルソミーナを彼女が寝ている間にザンパノは置き去りにして一人で旅にでます。

数年の月日が流れて、旅で訪れた街で洗濯物を干している若い婦人があるメロディーを口ずさんでいるのをザンパノが気に留めます。彼女にどこでそのメロディーを覚えたのか尋ねると、随分前にある女の子を家で介抱していた時、彼女がいつも口ずさんでいたメロディーだと教えられました。そして彼女はその後、悲しみのなかで亡くなったと告げました。

ショックを受けたザンパノは、酒場で浴びるように酒を飲んで喧嘩をして、海岸の砂浜までフラフラと歩いて行きます。そして嗚咽と共に砂浜に泣き崩れてしまいます。終わり。

ジュリエッタ・マシーナが良い演技ですが、アンソニー・クインは本当に素晴らしい演技だったと思います。メキシコ系米国人の彼が、まるで生粋のイタリア人に思えてきます。

フェリーニの代表作の一つです。


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