見出し画像

スペイン、セビリアでの思い出

コルドバでメスキータやアラビア風居住区の家々の美しいパティオ(中庭)を見学した後、列車でセビリアへ移動しました。列車を降りて駅舎を出たところで、さてどこへ行こうか?と考えても地図も何も持ってなかったので辺りを見回していると日本語の会話が聞こえてきました。見ると日本人らしき女性二人が”地球の歩き方”を覗き込んで何やら確認中でした。地図やホテル名などを見せてもらおうと声をかけました。「すみません。日本の方ですよね?今見ている地球の歩き方をちょっと見せてもらえませんか?」すると一人の女性がもう一人の女性に「これってきっとナンパの手よね?」、「・・・・」、なんか警戒されている雰囲気を感じ「どの辺にホテルがあるか見せてもらいたいんです」と、やっと見せてもらいいくつか見当を付けたホテルの場所を確認してお礼を告げて歩き出そうとしました。そうしたら彼女たちから「私たちも近くのホテルに行く予定です」と言い出して途中まで一緒に移動することになりました。

その日は、1988年12月大晦日でした。ホテルへチェックインして市内観光をしてセビリア市庁舎前を歩いていたら市の職員の人たちが紙袋を歩いている人にどんどん配ってました。「なんですか?」と訊くと「今夜、ここでカウントダウンのフィエスタがあるから来て下さい!」と言われました。ヘェ〜役所の職員が市民や観光客サービスでやってるんだあ。そこでばったりセビリア駅で会った女性二人と遭遇しました。紙袋はしっかり持っていました。年越しフィエスタがあることを確認して、ここで再会しましょうと言って別れました。

夜、市庁舎前の広場ではバンド演奏によるフィエスタが始まりました。例の女性二人の旅行者も広場に来ていて思い思いに踊っていました。しばらくするとその女性二入が私のところにやってきて「今、自宅に来ないかとこちらの人に誘われているんだけど、行っていいのかな?」と、訊ねてきました。「それっておかしくない?皆がフィエスタで外で踊っているのに初対面で自宅に招待するなんて」と答えると、「でも、断り方が分からないんです」と言うので「私が話してみますよ」と言い誘った当人を人混みの中から探して紹介してもらいました。それは中年夫婦でした。私から「誘っていただいた彼女たちは、どうやらここで踊っていたいみたいですよ」と言うと、「スペインでは年越しに歳の数だけブドウを食べる習慣があるから、それを自宅でやろうと誘たのです」と返事をしてきた。夫人の顔を見ると一瞬緊張した真顔でサッと私から視線を逸らしたのが分かりました。私は彼女たちに「この人たち危ないかもしれませんよ、ここでキッパリ断って踊ってた方が安全ですよ」と助言しました。しばらくするとカウントダウンの花火が市庁舎から打ち上げられ、会場は大いに盛り上がりました。

年が明けてここセビリアでもタブラオ・フラメンコに行きました。”地球の歩き方”に載ってて滞在してたホテルから近くのロス・ガジョス(Los Gallos)へ行きました。ここはグラナダとは違ってエンタテーメント色が強く、華やかなステージで観客もノリノリのフラメンコのショーでした。今はもっとたくさんな観光客が訪れていると思います。

スペインは、結構外国人を狙った犯罪が当時からありました。私もマドリッドを歩いていて人に「背中が汚れてますよ」と注意され人込みを離れて着ていた革のコートを脱いでみると痰が吐きかけられていました。特に外国人に対するいやがらせや犯罪は頻繁に起きているようです。イスラムの文化遺産で成り立っている観光国なのに皮肉なものです。セビリアは、アンダルシア州都でもあり有名な観光地ですから外国人を狙った犯罪は多いと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?