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トランペットを吹き始めて分かったこと その1

21歳の時に初めてコルネットを購入して金管楽器を演奏する経験を始めました。最初に購入したのはヤマハのコルネットで現行モデルではYCR-6330Sに相当するものだったと思います。当時は当然のように独学です。インターネットも無い時代ですから、教則本に掲載されてあった解像度の荒い写真でアンブシュアを確認したり、ジャズ雑誌の掲載写真からトランペッターの口元を確認しながら音を出す練習をしていたと思います。練習場所も当時住んでいた高知市の一宮のアパート近くの開けた畑の中の畦道で、陽が沈み薄暗くなった頃からやっていました。当然、音が出ないので力み、もっと出なくなる。音を出そうと勢い良く息をどんどん吹き込むようにして何とか音が出ると、これかなと思いそのやり方で吹き続けると、倍音を超える音の移動が上手くできない、直ぐに息が切れて疲れるなど、こんな吹き方じゃいくらなんでもCDで聴くようなジャズトランペットの演奏なんて出来ないだろうなとは分かってました。

基礎練習もそっちのけで楽曲の練習をいきなりやってました。最初は無謀にもWynton Marsalisの吹くStardustを選びそれを吹こうとしてました。チューニングCがやっと出るような状態ですから無理でした。今思えばどこかに習いに行ってれば良かったかなと思います。その後、静岡へ転勤して1年半後には海外へ出て行きました。しっかりコルネットを持参してました。メキシコで語学の勉強をしている時に東京芸大卒の友人にラッパの吹き方を教授してもらいました。彼はクラリネットが専門なのでコルネットで音は出せませんが、楽器が持っている周波数をしっかり聴いてそれに合わせて息を吹き込むようにアドバイスを受けました。持参していた例の教則本は奇しくも芸大の教師が著者で、友人は知っていたようです。彼はバッサリとこの本は参考にならないでしょう。だってこの著者吹けないんですよ。演奏できない人が書いた教則本で練習してはいけませんと、、。

それからアンブシュアを試行錯誤して吹くもいつもしっくりこない感じが続きました。偶々ラッパの吹き方を教えてくれた友人とリマの旧市街にある古い居酒屋でワインを飲んでいるとトランペットの流しのミュージシャンが店内に入って来ました。聴いていると随分と力んで吹いていて、自分でも悩んでいたのでもう少し力を抜いた方が良いのは見ていて分かりました。そのミュージシャンに声を掛けてちょっと彼のトランペットを吹かせてもらいました。多分、それまで吹いてたStardustをそこで吹いたと思います。メロディーだけを吹いて、こんな感じの方が良いじゃないですか?とそのミュージシャンに言うと、別のテーブル席から拍手が起きました。どうやら欧米から来てる旅行客のようでした。友人からはミュージシャンの仕事を取っちゃ(邪魔しちゃ)いけないよと注意されました。

その後、結局日本から持参したコルネットは友人の仲介でリマの国立オーケストラのトランペット奏者へ譲り、帰国して新しい楽器を購入するつもりでしたが、あっという間に30年が過ぎてました。これから30年ぶりに再開始たトランペット演奏のチャレンジで分かったことを書いていきます。

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