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『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』村上春樹著を読む

村上春樹の作品を最初に読んだのはいつだったかは覚えていませんが、作品は文庫本の短編集『蛍・納屋を焼く・その他の短編』だったと思います。読後感はあまりありませんでした。全体的に切ない感じの情景の連続で、きっとその世界に浸ると共感できるのだろうと思いました。

結構騒がれている作家だからもっと強烈に印象に残る作品があるのではと調べると、『ねじまき鳥クロニクル』と『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の評価が高かったです。全体的なページ数の少なさと小説タイトルで後者を単行本で読むことにしました。

読んでた時期は、前々職の契約(エクアドル国で勤務)を終えて次の仕事に着くまでの失業期間でした。ひと月の1週間、失業認定日の近辺で帰国し、後の3週間は南米に居る生活でしたから比較的本を読む時間が取れました。『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は、まったく関連性が無いような2つの話が各章入替りながら進んでいきます。内容も少し肌寒く、絶望的な閉鎖された空間内で展開されている雰囲気がずっと続きます。その2つの話があるときから少しづつ関連してきていることに気が付きます。この話ってリンクしているの?とはっきりしてきます。最後は、おおおっ!と思わず口にしそうな内容で終わります。

この作品で村上春樹の創造力は、ぶっ飛んでるな~と感心しました。その後『1984』は、途中で放り出しました。『海辺のカフカ』は読みましたが、村上春樹作品はもういいかなと読むのを辞めました。その後も彼の作品が発表される度に話題になってました。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のアマゾンレビューでドリーという人が投稿した書評「孤独なサラリーマンのイカ臭い妄想小説」が凄い反響でした。これ読んだ時に大笑いをしてしまいました。Twitterでドリーさんと何度かやりとした事ありましたが、流石放送作家だけあって彼の書評は面白かったです。まだ削除されずに残ってるかどうか分かりませんが、、。

村上春樹作品は、設定が日本でなくてはならない理由もなく、出てくる細々とした描写がジャズ、洋酒、ナッツ、外車、ヘンケルの爪切りなど、らしいなぁ〜とパターンになっているので外国語に翻訳し易いのだと思います。一度、『1984』の英語版を読んでたら、まるで村上春樹の文章のようだと思うほど訳がハマってました。ノーベル文学賞は、土着文化に根付いた民話などから普遍的なテーマに還元された文学作品に贈られるようです。それからすると村上春樹作品には土着文化的民話などは一切無く、どこにでもありそうな現代人の孤独感を描いてるようだから同賞の受賞には馴染まないと思いますね。

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