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1987-88年頃のリマの風景 (タクシー編)

当時のタクシーは、街中を走る8割以上はフォルクスワーゲン(多分ブラジルで組み立てられた)でした。タクシーを二人以上で利用するには2ドアでは乗り降りが助手席の背もたれ一旦倒さなくてはならないので不便です。そこで出てきたのが助手席を取り除いたタクシーです。運賃交渉をしてタクシーに乗ると助手席が本来ある位置には何もないのでそのまま後部座席へ座れます。

このような工夫は「ええっ!そう来ますか?」といった具合にペルーでは度々遭遇して面白くて楽しくなります。助手席を取り除いたフォルクスワーゲンのタクシーの乗り降りは便利ですが、運転席の真後ろの席と違って助手席側の後部座席の前は、フロントガラスまで何も障害物がありません。その上、後部座席にシートベルトなど装備されていることは無いので、急ブレーキをかけられた時には、勢い余って後部座席からフロントガラスまでそのまま突っ込んでしまうのでばないかとハラハラして乗車することになります。

リマ程の大都会でも街中には電車も走ってなければ地下鉄も無いころですから、移動手段はバス、コレクティーボ(マイクロバス)、タクシーが主な公共交通手段でした。地方へ行くとモトカールと呼ばれるオートバイを改造した3輪のタクシーがありましたが、リマではオートバイは、ほとんど見ることが無かったです。

リマのヴィクトリア地区には多くの自動車修理工が働いていました。彼らは道路脇のスペース(道路から歩道の間の花壇があるような場所)に縦長の深い穴を掘り、そこで客を待っています。はじめはその穴の意味が分かりませんでした。縦長の穴は、道路から斜めに均等間隔で3~4つくらい掘られていました。ある時、分かりました。車が縦長の穴に向かって進み停車すると両輪の間に収まる幅であることが分かりました。メカニックは穴に滑り込んで、自動車の真下でオイル交換などの作業をしていたのです。整備工場でよく見るリフト設備がありますが、あれは自動車を持ち上げて車体の下からメカニックが整備を行いますが、リマで見たものは地面に縦穴を掘ってメカニックが穴に入って整備を行うものです。これ随分前にフジTVでやってた「なるほどザ・ワールド」でクイズになりました。賢いですよね。今ではすっかり見ることがなくなっていると思います。


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