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ペルー、アンデス地方でフィンカ運営にチャレンジする その13

世界のコーヒー豆の生産及び輸出量をフィリップ・コトラー的なマーケティング戦略でポジショニング分析すると当然チャンピオンはブラジル、チャレンジャーはベトナムなのでしょう。しかし、コーヒー豆にはインスタントコーヒーや缶コーヒーなどの需要を満たすコマーシャル・コーヒー(或いはコモディティ・コーヒー)とスペシャルティ・コーヒーに大きく区分けされます。当然、汎用品であるコマーシャル・コーヒーは安価で大量に安定供給される一方、スペシャルティ・コーヒーは品質が良く、生産量は多くは無く、比較的高価であると言えます。コーヒーの木の品種も交配や突然変異などの要因でさまざま種類が入り混じっているので世界市場でどのようなポジショニングを狙うかは結構重要な点では無いかと思います。

例えば、チャンピオンのブラジルは生産量が多いからコマーシャル・コーヒーだけを大量に生産している訳ではなく、スペシャルティ・コーヒーも当然生産しています。自動車産業のT社にしても大衆車と高級車をブランドを分けて生産販売しているのと似ています。マーケティングのポジショニングで分かり易い例は日本のオートバイメーカーです。チャンピオンはH社、チャレンジャーはY社、フォロワーがS社、そしてニッチがK社です。

ペルーが取るべき戦略は、理論的にはフォロワーかニッチだと思います。しかし、量産の規模が違い過ぎてフォロワーにはなれないと思います。コマーシャル・コーヒーは比較的低い地域で栽培され機械化作業が導入し易い、病気に強いなど栽培上の利点が多い反面、品質や風味で劣り、先物市場での価格変動の影響を受け易いなどの欠点もあるとのこと。同じアンデス地域であるコロンビアの生産量は、85万8千トンでペルーの27万トンの3倍強であると同時にコロンビア・コーヒーと言えば世界中の人が良い品質というでしょうし、Federación Nacional de Cafeteros de Colombia(FNCコロンビアコーヒー生産者連合会)という非営利の団体が生産及び輸出を促進する商業組合として機能しているようです。50万世帯を超えるコーヒー生産者が加盟しているとのことだから、マネジメントがうまく機能していると思われます。

コロンビアのコーヒー生産の分析は興味深いです。Wikipediaによれば ”気候(8 °C to 24 °C)、地理(アンデス山脈の熱帯雨林)、地質的条件により、比較的短期間の生育期間での高品質なコーヒーの生産を可能にしている。この地域の農家は栽培、収穫、加工、焙煎の技術を発展させ、農業の大規模産業化による新技術の流れにも関わらず、その伝統的な技術による生産を維持している” とあります。ペルーがコロンビアと同じことをやってもブラジルやベトナムの生産量から見れば相手にならず、ニッチになれるかもと思ってしまいます。

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