見出し画像

アマゾンの街で遭遇したある詐欺の手口

両替商から出て来た時に男Aに呼び止められました。男A「私、字が読めないからこのメモを読んでもらえませんか?」、私が差し出されたメモを読もうとすると、男Aは、別の通りすがりの男Bにも声を掛けました。男Bは、チラッとメモを見て「こりゃあ酷いね。こう書いてるよ~“このメモを持ってる男は字も読めない奴だから当たった宝くじ券を騙し取ったらいいよ”~って」、男Aは「やっぱりそうか!私が宝くじに当たったので雇用主の旦那が代わりに街で換金してやると言ったけど、信じられないと思い自分で街まで出ると言ったら、じゃあ人に助けを求める言葉を書いたこのメモを街の人に見せれば良いと言ってたんだ」、男Bは「酷い旦那だね〜、じゃあ俺は行くよ」と先を急いでるようだった。男Aは、男Bを引き止め「助けてくれよ!宝くじの換金の仕方が分からないんだよ」、男Bは私に「あんたも手伝ってくれるか?」、私は「今日はこの後別に用事は無いからいいよ」、男Bは「じゃあ近くの喫茶店で冷たい飲み物でも飲みながら、これからどうするか3人で相談しよう」と言い出しました。男Aは大変感謝してました。

一つのテーブルに3人で座りそれぞれ飲み物を注文しました。私は多分、インカ・コーラを頼みました。男Bが何故かみんなの注文代金を支払ってくれました。男Bは「ところでいくら当選したんだよ?」と男Aに尋ねると直ぐにクシャクシャの新聞紙の当選番号の印刷された部分の切れ端と、宝くじ券を出して見せました。確かに新聞に印刷された番号と宝くじ券の番号は合ってた、、けど新聞紙の方の番号は宝くじ名など書いてるだろう部分が含まれて無いじゃないかと思いました。切れ端に含まれて無いのは何故?と直感的に思いました。

金額は忘れましたが数百万規模のお金だった思います。そうすると男Aが「ちょっとトイレに行ってくる」と席を立って行きました。その時、テーブルに新聞紙の切れ端と宝くじ券を置いて行ったのです。私はあっれ⁉︎ 一番大切な当選券から目を離すかね?これ怪しいぞと思い始めました。すると男Bは私に顔を近付けて「あの男は字も読めないような奴だから大金を持っても使い方も分からなくて、銀行口座も開設できないよ、なあ俺たちで山分けしないか?」、私はなんだこの男はと思い「男Aが金の使い方が分からなければ教えれば良い、銀行口座の開設が出来なければ私が手伝う。私は金は持ってるから人の金は必要無い」と言うと、男Bは一瞬キョトンとした顔をしました。

男Aがテーブルに戻って来ました。男Bは男Aに「ところで換金した後、お金をポケットに入れるのか?」と尋ねました。すると男Aは「そうすると思う」と返事しました。男Bは「じゃあ札束の折り方とポケットへの入れ方を教えよう。あんた幾らか札を持ってないか?」と私に訊いて来た。「あんまり持ってないよ」と答えると「少しでもいいよ」と言うから両替商で交換した100米ドル分のペルー通貨インティを財布から出して男Bに渡した。すると男Bは「ええっ⁉︎ これだけ?」「だから言っただろうあまり持ってないって」、ここで私は気付きました男Bと男Aはぐるだなと。男Bは「じゃあいいわ、この札でやってみせる」と言って私が出した札束を折り曲げてズボンのお尻の片方のポケットに入れました。そして「こうやればお金がどこにあるか分からない」と、「??」。そして私にお金を返そうとしてポケットから取り出す腕の位置が入れた方のポケットとは違う方から取り出してるように見えました。新聞紙でできた偽札束を握った彼の手がテーブルの上に来た時、私はサッと彼の手首を握り「分かってたよ!、最初から」と言うと、直ぐに男Aは慌てて喫茶店を飛び出して行きました。男Bも私の手を振り払って慌てて逃げ出したので直ぐに追い掛けました。すると男Bは逃げながらポケットから私の札束を取り出して私に向けて投げ捨てました、そして「あんたの勝ちだよ、勘弁してくれ!」と叫んで走って逃げて行きました。私は札を拾って財布に入れて思いました。もうちょっと上手く騙してくれたら100ドルくらいだったら盗られて良かったけど、あの腕じゃあダメだな、、。しかし、よく考えてみるとお金の損害は無く、インカ・コーラは驕ってもらって、面白い詐欺芝居も体験できたからまあいいかと帰路に着きました。

後日、同じ街に住んでた日系人のカルロス・マツフジさんの奥様にこの件を話すと、「それは良くある手口なのよ、良かったね騙し取られなくて」と言うから「彼らじゃ無理ですよ、スキだらけですもの」と応えました。

多分1988年、乾季の或るかんかん照りの日の午後の出来事だったと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?