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初めてのナナハンはホンダCB750K2

自動二輪運転免許の限定解除を得て手に入れたオートバイはホンダ社のCB750K2でした。漫画好きの人なら当時よく読まれていた週刊誌少年チャンピオンに連載されていた石井いさみ作品「750ライダー」の主人公、早川光が乗って通学にも使ってた型のCB750でした。初代CB750はK0と呼ばれて国産初の750ccオートバイとして歴史に残るモノです。

CB750K2のエンジンの仕様諸元は、4ストローク4気筒エンジンで最高出力67PS/8000rpm、最大トルク6.1kg・f/7000rpmです。車両の乾燥重量が235kgでした。4気筒のエンジンの横幅はオートバイに跨った運転席から見ると大きな燃料タンクでは隠れず両方へはみ出るほど大きなエンジンでした。そして特徴的なのが排気音です。アクセル・スロットルを吹かすとウオン‼︎、ウオン‼︎と唸るような独特な大きな排気音がします。当時のオートバイの出力レンジは、250ccクラスで25〜30馬力、400ccクラスで40馬力でしたからCB750K2の67馬力のこのエンジンはもの凄く速く走るオートバイとの印象を持ちました。

実は第一希望の750ccオートバイはカワサキ750RSでした。別名Z2(ゼッツーと呼ばれます)。Z1は900ccで国内販売はされず輸出用でした。Z1のスケールダウンでZ2と言うのでしょうかね。カワサキ650RS W3と言うオートバイも候補として考えていましたが、カワサキ車は人気が高く学生アルバイトで買えたのがCB750K2でした。オートバイ好きな人はカワサキの魅力は分かると思います。ある時、米国アリゾナのフィニックス郊外のカワサキ・オートバイのその地域のディーラーを訪問したことがありました。店内に入るとフロアーには最新モデルのオートバイが展示されていましたが、少し見上げる位置の壁に実物のカワサキ500SSマッハIIIが天井から吊り下げられてました。それも初期型マッハIII(サイドカバーに稲妻模様のある)でした。びっくりして「へえ〜マッハじゃん‼︎」と声を上げると、ディーラーのスタッフが「向こうの壁を見て」と指差す先は、同じように壁に実物のZ1が吊り下げらていました。「うわ〜」と声を出すとディーラースタッフは自慢気に伝説の名車の話を始めました。どちらも入荷1号機を記念にずっと飾っているようでした。

憧れのナナハン、乗って慣れてしまえばどうってことないですが、当時は限定解除が極端に難しい時期だったので17歳くらいの学生が乗っているのは田舎では珍しかったと思います。ある時、後ろから急にサイレンが聞こえて大きなマイクの声で「前を走るオートバイ、左に停車しなさい」と白バイに止められたことがありました。別に道交法違反をしてた訳で無く、免許証を見せるように促され、提示するとしばらく見ていた白バイ隊員が「オートバイ好きか?」と訊いてきたので「はい」と答えると「安全運転するように」と言って自身は凄いスピードでその場から居なくなりました。

中型運転免許(400cc以下)で止まらず限定解除まで取得したことがオートバイメーカーの入社試験に合格したんだと思っています。学生時代の成績や入社試験(特に筆記試験)ではなく限定解除まで取ってナナハンに乗ろうと思ったオートバイ好きが会社に受けたのだと思いました。面接して下さったのは、人事部のスタッフとモーターサイクル事業部の当時国内営業技術課の青木課長でした。その課長が面接の最後にポロッと「やっぱりうちの会社はオートバイ好きが入らないとね」言ってニヤッとしました。もしかして採用?と心の中で思いました。人生が大きく動き出した瞬間だったんだと思います。

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