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アイラ島シングルモルト・ウィスキーの香り Bar Higuchi

博多、中洲大通りに面して多門ビルがいくつかあります。明治通りから入って左手にある最初の多門ビルの一階の一番奥かその一つ手前くらいの左手にBar Higuchiがあります。そこのマスター樋口氏は、自身のバーを開店するまでは中洲交番の斜迎えにある有名なニッカ・バー七島で働いていました。ある時、独立して自身の店を出すとのことでそれから中洲に行くときはBar Higuchiに立ち寄ることがありました。

カクテルを頼んだり、スコッチウィスキーでもシングルモルトを飲んだりしてましたが、マスターのウィスキーの蘊蓄がとても面白くてスコッチウィスキーの色々な蒸留所の話を聞くとそれぞれ試飲したくなります。有るんですね、殆どの銘柄が、。ここで一番驚いたのはアイラ島のアードベッグです。よくヨード臭と言われますが、超個性的な香りのシングルモルトです。ボウモアやラフロイグなんてもんじゃない強烈なヨード臭です。その為、好みが分かれてしまいます。私は気に入ってよく飲んでました。

樋口マスターは、本格バーらしくツマミ、料理や果物、葉巻に至るまで良いものしか出さない考えで、裏方の料理人は五つ星ホテルのシェフだった人を雇っていました。本人曰く「私も結構料理はそれなりに作る方ですから中途半端な料理人がやるくらいなら自分でやった方が良いと思っています、だから自分が敵わないようなシェフしか雇わないんですよ」と言ってました。そして1年に一度1ヶ月くらい店を閉めて英国のウィスキー蒸留所巡りをするそうです。自分の目と舌で現地でウィスキーを味わうそうです。そりゃ凄いわと思いました。帰国しても真っ直ぐ福岡には戻らず、東京、横浜、名古屋や大阪など本格バーで名のある名店を訪れて技術や知識、アイデアを仕入れてくると言ってました。色々ウィスキーについて質問するとカウンターの下から何冊かウィスキー評論家の土屋守氏の本をだしてきて、当該のウィスキーが記載されているページをサッと開いて見せてくれたりもします。葉巻はキューバ産のモノを置いてます。

ちょくちょく店に通っていて暑い夏の夜に何かスカッとするようなものを飲みたいなと言うと、「モスコーミュール(Moscow Mule)は如何ですか?」と訊かれました。そう言えばカウンターや棚の上にはギッシリ生姜が入った大きな透明ガラス壺がずらっと並んでいるのは知ってましたが、それがモスコーミュールとは知らずにいたのです。飲むと爽やかでサッパリした味で、こんなに美味しいもの知らなかったと言うと、「実は当店の一番の売りがこのモスコーミュールなんです。ご覧の様に壺がいっぱい並んでいるでしょ?」と言われるとなんで今まで勧めてくれなかったの?と思ってしまいますが、その日の客の気分に合わせて提案するスタイルなんでしょう。

中洲へ行くことがあればBar Higuchiへ立ち寄るとカクテル、ウィスキー好きは満足すると思います。

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