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イスラエル人の凄さ

ビジネスの世界ではユダヤ人と言えば何かヴェニスの商人の戯曲に出てくる金貸しのシャイロックような守銭奴を想像する人もいるようですが、実際は彼らの一所懸命働く姿は凄いの一言です。そして約束はしっかり守る。しかし、それは合意ができた後の話で、合意ができるまでの交渉はやはりタフです。ある弁護士が私に言いました。「交渉ごとは扉の開き具合と同じです。全開の状態から扉を閉めていき、完全に閉まってしまうまでは隙間があります。それは交渉の余地があるという事、つまりまだ決まってないと同意」彼らとの交渉は、延々と続きます。

契約書にはさまざまな権利義務について双方の言い分が羅列されています。それはまた複雑に関連し合っているような構図で出来上がっています。権利義務に係る項目を一つ一つ合意をしながら進んでいくとある条件で大幅譲歩を余儀なくされると、既に合意した項目に影響する事が分かり、それを踏まえて同時にバランスが取れるように調整します。ですから進んでは後戻りして、進んでは後戻りしてとなって行きます。この交渉に心理的に先に根を上げた方が不利になります。イスラエル人は、その点まず根を上げることはありませんし、こちらも全く根を上げるつもりは無いといった態度で交渉しないと足元見透かされます。

金額を決めるときにどちらが売り手でも買い手でも構いませんが、最初の金額提示をイスラエル人に言わせるとほぼ交渉の主導権を握られてしまいます。例えば、イスラエル人が売り手の場合、多分落とし所は100万円と想定してたとします。買い手は200万円以下で何としても抑えたいとします。このケースでイスラエル人に売価を訊くと500万円から1000万円くらいを躊躇いもなく提示してきます。そして交渉の末、何とか半額になったとしても250万円、買い手の事前想定額にしてもらおうと泣きついてもう50万円を値切ってもそれを受け入れる代わりにさまざまな権利義務の交渉で不利になるような流れになります。

この場合、買い手が最初に価格提示を行い100万円以下でないと交渉しないと言うとどうでしょうか?彼らが頑張って500万円と言っても交渉にならなければ意味がないので多分200万円から300万円くらいの逆提示しかできません。買い手が譲歩して150万円としても良いし、200万円を受け入れてさまざまな権利義務を有利にまとめることもできます。ここで大切なことは交渉ごとで主導権をイスラエル人に握られたらまず彼らには敵いません。

イスラエルには5回ほど出張で訪れる機会がありました。その中で会ったさまざまな人たちは、どんなにお金持ちのベンチャーキャピタル経営者でも極めて質素な事務所で仕事をしているのに驚かされます。数十から数百億円単位のお金を動かしている人でもです。そしてハーバード大学卒の多いこと。彼らは世界中にハーバード・ネットワークを持っていて、いつでもどこでもちょっと気になる事があると携帯電話で世界中のその道のエキスパートの友人へ電話を掛けて助言を仰ぐのです。これには驚かされます。事務所に戻ってEメールなんてやりません。電話です。証拠が残らないなんて言いません、友人同士だからです。街中でもちょっとしたホテルのカフェで朝食を取っててもネタニヤフが向こうのテーブルに座ってたりします。周りの人も気にしてません。世界といつでも繋がっている感覚です。ベンチャー企業を立ち上げた友人を紹介されてイスラエルからニューヨークへ飛んでマンハッタンにあるその人の事務所を訪問した事があります。その夜はマンハッタンの何処か分からないようなところにあるハーバード・クラブで夕食をご馳走になりました。ハーバード大OBで運営されているクラブだと聞かされました。彼らから傲慢さや驕り高ぶることやプライドなどというような卑屈な精神や態度は微塵も無く、一所懸命ビジネスをする姿しかありません。そして約束を守るということ。

そのイスラエル人が一目置くのが実は日本人なのです。彼らが日本人をユダヤの子孫と思っているからだと思いますが、。その彼らがいつも不思議に思っている事に日本人の英語力があります。イスラエルでは大学入試試験の英語はインタビュー形式で行われる為、英語でコミュニケーション出来ないと大学へ入学できないのです。一度、イスラエル人と福岡で色々な高校を訪問して英語教師にコンピュータを使った英語教育について意見を聞かせてもらった事がありますが、英語で会話ができた教師は1人(米国留学経験者)だけで後は、全く会話できず日本語でした。これにはイスラエル人は驚いていました。

日本人がイスラエル人並みに英語で交渉できれば世界最強の国になると思います。

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