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30数年後、任地の職業訓練学校を訪問

2019年末、ペルー国イキトス市の旧名C.E.O(Centro de Educación Ocupacional) Padre Jesús García初等職業訓練学校(現名称は、CETPRO: Centro de Educación Técnica Productiva)を訪問しました。32年振りくらいです。

イキトス市へは、Y社の仕事で1度訪れたことはありますが、その時は学校まで行く時間が取れませんでした。それに職場を離れて3~4年くらいしか経ってなかったので、いい思い出もそうでない思い出もあり、今行ってそうでない方が記憶に強く蘇ってもとの思いがブレーキをかけたのかもしれません。今回は、離任後初めて訪れることになりました。今どうなってるか?気になって、知人はまだ残ってるのか?FBで当時の校長名Ernesto Iglesiasを検索すると直ぐにヒットして、当時の秘書と結婚されてることが分かりました。

元秘書に私が今リマに居てイキトスを訪れる事を告げると、自宅を訪問してくれと住所を知らせてきました。ジョニーウォーカー・スイング(ウィスキー)1瓶を持参して教えられた住所の家を探して訪問しました。元校長の自宅の居間で、元校長(72歳)、元秘書、娘(18歳)が迎えてくれました。挨拶の後、直ぐに昔ば話になり、私から今の学校の状態を知りたいと言うと、その日はクリスマスの休暇中で学校は閉鎖されていましたが、電話をして当直の教師に私が行くから中を案内してくれと頼んでくれました。

元校長は、今は職業訓練学校ではなく市か県レベルのスポーツ協会の協会長をやっているとのことでした。32年ぶりの再会で元校長から「カステヤーノ(スペイン語の意味)を忘れてないなあ」と言われると元秘書も「まったくそうよね。書き言葉も綺麗なスペイン語でこっちの人よりよっぽど立派よ」と言われて少々恥ずかしかったです。

他の予定を理由に翌日の食事の招待を辞退させてもらい、直ぐに職業訓練学校へ移動しました。学校前の道路は綺麗に舗装されて、ジャングルのような木々に覆われていた学校の周りは街になっていました。学校の校舎は、レンガブロックを積み上げた壁にトタン屋根の校舎から鉄筋コンクリート建ての立派なものに変わっていました。入口の大きな鉄の扉が開くと、中から50代くらいのメガネをかけた教師が顔をだして、私を中に入れてくれました。

休みの為、各教室は鍵が欠けられているので中庭にある運動場の脇の通路のベンチで話をしました。随分と組織が変わって今では以前別にあった女子向けの洋裁を主とした職業訓練学校と合併し、コンピュータ科、料理科、陶芸科なども増えたと説明を受けました。当時は、自動車整備科、工作機械科、電気科、溶接科、木工科でしたが、随分と組織的にも大きく立派になっていました。

案内してくれた教師は、当時の教師のことや私のことを良く覚えていたので、「あなたはどこの科の教師でしたか?」と訊ねると「いいえ、教師ではなく当時は木工科の学生でした。だからあなたのことを見てたのでよく知ってます」と。驚いたことに当時の学生で母校の教師になってたのです。そうしたら「あなたの教え子のSandoval Floresもここで教師をやってますよ」と教えてくれました。「Sousa Navarroもそうですよ」と。驚きました。SandovalとSousaは、一番できの良い学生で、その他に憶えているのはGabriel Uñapi、José Tangとかいました。

当時の同僚教師については、結構亡くなっていました。私のカウンターパートだったスペイン人のJosé Martínezは、定年でスペインへ帰国した後、自身の出身地レオンで亡くなったと聞きました。私が月々JICAから支給されていた生活支援費から少しずつ購入を続けていた現地語の自動車整備関連の書籍、オートバイ関連の書籍が結構な冊数になったので、校長にお願いして図書館を作ってもらいました。その時に書籍の管理者として雇用した図書館秘書は(当時は18歳くらいの女性)その後、大学へ進学して教師となり、今は他の学校の副校長になったとの話も聞きました。図書館は蔵書も増えて今でもあるとのことでした。

ペルー人と30数年前の昔話で盛り上がるとは思ってもみなかった感動でした。彼は話の途中でもSNSで私との写真を拡散したり、電話で「今、目の前にProfesor Akiが居るよ!」って当時の同級生に話をしてました。時節柄、旅行や街を離れている人が多く、突然の訪問でしたので会うことはできませでしたが、それからFBでメッセージを頂きました。皆、私への感謝の言葉を書いてきました。こちらこそ感謝です。

スティーブ・ジョブズが名門スタンフォード大学の卒業式(2005年)で行った祝辞スピーチ“Stay hungry, stay foolish”で、それぞれの経験は過去・現在の点でその意味など分からないけど、将来それらを振り返るとそれぞれの点が繋がっていくと信じるようにと言ってました。そうすれば自分が皆が通る道から外れても、自分の心に従う自信が持てる、と。分かるような気がします。

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