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初めて見たアンデス山脈とアマゾンの森

初めてリマ首都空港ホルヘ・チャベスからロレト州イキトス市へ赴任のため移動したのは1987年3月、途中サン・マルティン州のタラポトへワンストップする便でした。リマの3月は、夏も終わり空はどんよりとした雲に覆われて来ていました。この曇り空の状態は半年くらい続き、冬と表現されることもあります。リマの気候は1年を通じてエアコンが無くても快適に過ごせるくらいの気温が続きます。

1987年当時は、ペルー国内の航空会社は、Aero Peru社(国営)とFaucett Peru社(民間)の2社がサービスを提供していました。どちらに搭乗したかは覚えてませんが、機体はボーイング727でした。当時でも日本ではもう見ることがない機体でしたからよく覚えてます。ボーイング727型機は、離陸は比較的急角度で上昇する飛行機です。離陸した途端、分厚い雲の中を突き抜けて行きます。窓からは濃いグレーの雲がびっしり詰まっていることが分かります。街はどんよりした天気だからそうだろうと納得してました。そう思っていると機体は突然分厚い雲を突き抜けて、雲の上にでてきました。空は快晴、太陽の陽に溢れていました。眼下には、分厚い白い雲の絨毯が遥か先に見えているアンデス山脈まで敷き詰められていました。

飛行機は、どんどんとアンデス山脈へ近づいていき、その山々の頭上を水平飛行します。水平飛行している飛行機の窓から下を覗くと、地上が近くに感じました。人が歩いているのが確認できるほどです。樹木が生えないほどの高さ(多分標高4000m以上)の赤茶けた山々を歩いている人が肉眼で見えることには驚きました。しばらくアンデスの山々の上を飛行機は水平飛行をします。

アンデス山脈の分厚い山々を超えていくと緑の地平線が見えてきました。快晴の空から見るアマゾンの森の地平線は延々と奥へと続き、少し円弧を描いているように見えました。やっぱり地球は丸いと思いました。山を過ぎるともう緑の森です。眼下には蛇行するように大きな川、小さな川が見えました。聞きしに勝るとはこの事でした。飛行機の窓から見える全てが地平線の果て迄、森で埋め尽くされていて視界を超えていました。「これが本物のアマゾンか、」と思い、目に焼き付けようとずっと眺めていました。

この日から約1年9ヶ月の長い(当時はそう思っていました)活動が始まると思い、不安よりも圧倒的にワクワクした気持ちでいた事を覚えています。この時に掛けられた魔法で、その後アンデス山脈とアマゾンの森の虜になってしまいました。


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