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ジャングルの道で事務所の車を横転(1回転)させる事故を起こす

エクアドルのセルバ地域は、舗装されている道は街及び街と街を繋ぐ幹線道だけのことが多いです。幹線道路も距離が長くなると途中は舗装はされていません。当然、歩行者も無く、道路標識すらありません。道路脇は草木に覆われています。その為、事務所の車で出張する場合、通常、時速100kmくらいで走行していました。舗装路でも無い道をそんなスピードで走るのは無謀ですが、ほとんど対向車も無く、歩行者も無く、周りは草木であること、そして目的地が遠いことから、そのような速度で運転するのは普通になってきていました。事務所の車は、M社パジェロ、排気量2800cc、V6エンジンでした。

その日は日曜日、3名の協力隊員をテナの街まで送る業務がありました。事務所のドライバーは連日の遠出で日曜日にはしっかり休養を取ってもらい私が事務所の車を運転することにしました。同僚Bもジャングル地域は訪れたことがないことと運転手の途中交代を考慮して同行してもらいました。
多分到着には5時間〜6時間くらい。キトからアンデスの山を南下してアンバトを過ぎてバーニョスから東へ九十九折の下り山道を一気に降りて、セルバの街プーヨを通り越してテナまで道のりです。

プーヨからテナへは北上していく位置、途中で舗装は無くなり、セルバの道、いつものように時速100kmくらいで走行していました。テナに到着する40分~1時間くらい手前の道が雨後の泥濘になっていました。それまでの乾燥した道から突然泥濘に突入しました。時速100kmからシフトダウンと同時にブレーキを踏んだ途端に車が浮いたように横滑りを初めて後輪が右へ滑り出して逆ハンドルで持ち直したら左へ滑り出し、何回か繰り返したと思いますが、最後は反対方向へハンドルを切るのが間に合わず、運転席側からごろんと一回転してしまいました。回転している間にフロントガラスが粉々にひびが入り天井は潰れていくのが分かりました。不幸中の幸い、ちょうど一回転して止まったので、運転席、助手席の窓ガラスはすべて粉々に割れて無くなってましたが、フロントガラスはコーティングフィルムでなんどか粉々に飛び散らなくて済み、同乗者へ声を掛けることができました。「みんな大丈夫?」と声を掛けると「大丈夫です」と返事。後部座席の3名は寝てたようで何が起きたか分からなかったようです。助手席の同僚Bもケガは無かったようです。私だけが左のドアミラーの破片がいくつか左ひじ内側に刺さって血が噴き出ていました。「どうやらケガしたのは私だけみたいですね」と左ひじを確認しました。血が噴き出ているのが分かりました。止血しなければとタオルを出して、同僚Bにギュッと絞るように縛ってくれるようお願いして止血しました。

全員一旦車から降りて、道路脇に突っ込んだ車を眺めて、さてどうやって引き出すかを考えていました。その時、偶然4~5人の歩行者集団が通りかかり、どうしたのか?と訊ねてきました。車の事故を起こして、今どうやって道路に引き戻そうか考えてたところですと言うと、手伝いましょうと言ってくれて大勢で一気に車を道路へ戻しました。私は、エンジンが始動することを確認すると同僚Bが運転しましょうと言い。歩行者へお礼を言ってテナへ向かいました。テナへ到着してエンジンを切ると、もうエンジンが始動しなくなってました。

肘の傷の縫合をするためにクリニックを探して、縫ってもらいました。医者にどうしたのかと訊ねられ、自動車事故で横転してドアミラーのガラスが刺さったことを告げると、「それは典型的な横転時のケガだな。トラック運転手に多いよ」と言われました。手術の時に、「どうやら19針で済んだから良かった。20針以上だと危なかった」ともっともらしいことを言われました。

その後、事務所に連絡し、翌日には事故車を引き上げるトラックが到着しました。この時、普段はまったく考えもしないことですが、日曜日の午後は自由時間と決め込んで釣り竿を持参していました。普段と同じように運転していたと思いますが、心のどこかで早く到着して釣りに行きたいと思っていたのかも知れません。心の緩みが原因だったと思っています。

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