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ジャズ音楽の面白さ〜コード編 その8

ダイアトニック・コードの機能と進行についての理解はジャズ音楽にとってもっとも重要な要素です。なぜならジャズの譜面はテーマのメロディが簡単に載っていて、後はコード譜のようなものだからです。コード進行さえ譜面であれば演奏するということです。で、そのコード進行にある意味を理解することが大切です。

コードの機能は、3つの機能で表されます。
1.トニック・コード(T): I△7 ⇒ 主音の上にできるコードで安定感ある音。
2.ドミナント・コード(D): V7 ⇒ 不安定な音、トニックに戻って安定しようとする(ドミナント・モーション)。
3.サブ・ドミナント・コード(SD): IV△7 ⇒ ドミナント・コードほどではないが穏やかにトニックに戻ろうとする。

マイナー・コードも同様の機能を持っていますが、ナチュラル・マイナーのドミナント・コードはVm7で短3度(m3)では穏やかなドミナント・モーションになります。ハーモニック・マイナーとメロディック・マイナーでは長3度(M3)ですからメジャー・スケールと同じV7のドミナント・コードになります。

代理コードという機能もあります。主要なコードであるT(トニック)、D(ドミナント)、SD(サブ・ドミナント)の代りのコードになります。条件は、元のコードの3度を持っていることです。

それぞれの代理コードは、
1.T(トニック)I△7 ⇒ IIIm7、VIm7、Tm(トニック・マイナー)Im7 ⇒ ♭IIIm7、VIm7♭5
2.D(ドミナント)V7 ⇒ Ⅶm7♭5、Ⅶdim7、Dm(ドミナント・マイナー)Vm ⇒ なし
3.SD(サブ・ドミナント)IV△7 ⇒ IIm7、SDm(サブ・ドミナント・マイナー)IVm7 ⇒ Ⅱm7♭5、♭Ⅵ△7、♭Ⅶ7

ここでこれまで何度かでてきたドミナント・コード或いはドミナント・モーションについて見ていきます。ドミナント・コードは一般的にダイアトニック・コードの5番目でV7と表現されます。このコードは不安定な音を含むため、安定した音(通常 I△7)へ移動したくなるような和音を生み出します、局部的にはV7⇒I△7への進行をドミナント・モーションと呼びます。ドミナント・モーションが起きるメカニズム(人間にとってそのように聴こえる)は、コード内に3全音(トライトーン:Tritoneとも言います)のインターバルの音が含まれることで引き起こされます。

例えば、キーCのダイアトニック・スケールではトニックのコードはC△7、ドミナント・コードはG7になります。G7のコード・トーンは、ルート音ソ(G)、長3度音のシ(B)、完5度音のレ(D)、短7度音のファ(F)です。トライトーンになるのは、長3度音のシ(B)と短7度音のファ(F)のインターバルです。シ^ド_レ_ミ^ファは、3.0で3全音です。この不安定なシ(B)とファ(F)がC△7へ進行すると、シ(B)は半音上昇して⇒ド(C)へ、ファ(F)は半音下降してミ(E)へ移行します。それぞれC△7のルートと長3度の音です。そこで不安定な音の解決感を得られることになります。このドミナント・モーションは楽曲に緊張感をもたらすことと勢いをつける感覚からジャズでは多用されます。

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