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土屋定之前駐ペルー日本大使講演会 メモ

<講演会情報>
◆日 時:2021年1月26日(火)9:30~10:30 (日本時間) 
◆会 場:オンライン開催(Zoomミーティング)
◆主 催:日本ペルー経済委員会、一般社団法人 ラテンアメリカ協会、日本ペルー協会
◆参加費:無料

ー メモ -
土屋大使は1979年文科省入省後、事務次官を退官後に駐ペルー日本大使として2年9か月間赴任されたとそうです。昨年、帰任。
この講演会はZOOMで開催され参加者は南米からも含め180名、東大の大貫先生(ペルーの一つの遺跡を発見した有名人)も参加されていたようです。

大使の赴任中の成果として、日・ペルー租税条約の締結(今月29日から効力発生)。次は、CPTPPへ参加することが期待されているようです。

現在、コロナ感染者が100万人を超えて経済活動に多大な影響を及ぼしている。2020年のGDPは、前年比▲12%と言われ、以前の経済状況に戻るには2022年までかかると言われている。

ビスカラ大統領の罷免から国会議長の臨時大統領職は国民のデモで6日間で交替。今の大統領も4月の選挙までとなる。今年は建国200周年。選挙には22名が立候補している、ケイコ・フジモリも含めれているが厳しいでしょう。

以下、大使の個人の感想として、
1.したたかな国々:ペルーに関わりのある欧州の国々は500年の植民地とそれ以降の歴史を持つため、日本との関係の122年と比較すると社会のさまざまな面でそれらの国々のしたたかさが分かる。JICAのボランティアなど通じて日本なりに存在感はだしているが、歴史が違い過ぎるので日本もそのように振舞えるよう知恵をだしていくことが必要。

2.日系の皆さんのパワーと連携:今年は日本との国交100周年、日系人の移民開始120周年。

3.G2G:政府間契約のこと。ペルーで開催されたパンアメリカン大会の企画、実施、運営をG2Gで英国と契約して大成功だった。ペルー国政府の役所はまだ国際大会などの企画、実施、運営のノウハウ(マネジメント力)が無く、外国政府との契約を行って国際大会の開催を行っている。日本政府もG2G契約を結べるよう活発に活動する必要がある。ペルー政府の予算執行率は2/3だそうでマネジメント力が低い上に頻繁に汚職が起きて執行が滞る。

4.国民性とベネズエラ問題:500万人の難民がベネズエラを離れて、その内の100万人がペルーへ流入したと言われています。着の身着のままで入国した当時は、肉体労働とかが主な仕事でしたがベネズエラ人は、ホスピタリティがあることからホテルやレストランへ転職する人が増え、教育レベルも高かったので医者、技術者、音楽家など多様な才能が今後ペルー社会に定着すると思われるとのこと。

5.教育、文化、スポーツ交流:大使自身の官僚生活の中心的な経験を生かせると期待していたがこれと言った成果を出せなかったと告白されていました。

質問に答えて、
・米中貿易摩擦のペルーへの影響は?ー ペルーの貿易相手国の金額ベースでは1位が中国、2位が米国ですが、中国への輸出は鉱物資源が大半であるため、それこそしたたかに売れるものは売ると言った姿勢で政治的な影響力はそれほどないと思われる。工業製品は多くない。

・大統領選挙でポピュリズムに走る可能性は?- それはペルーの政治構造の問題で、インフォーマル(税金を払っていない国民)が70%を超えることから容易に想像できる。

・鉱業/観光以外の産業の育成は?- 新産業を興そうと産学連携を行うがなかなか進まない。ただ、可能性としては太平洋側の広大な砂漠地帯を農地化することで農業の近代化、農作物の拡大が期待できる。

私の感想:誰もが認める可能性のある国、政治腐敗や官僚的な仕事のやり方は相変わらず。農業の可能性は大いにあると思います。大使もペルー産のバナナを知人が日本で購入して食べたと話していました。これからでしょうね。

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