見出し画像

ニカラグア、マナグア空港へ嵐の中のランディング

中米ニカラグアの首都マナグアへの初出張時、夕刻の到着間際から荒れた天候になり、飛行機の窓の外で稲妻が走っているのが何度も見え、雨風が相当強いのが分かった。飛行機は揺れに揺れて、何度も座ってる座席から体がスーッと浮くような感じがしました。搭乗してた便は、エル・サルバドールを拠点としてたTACA航空だったと思います。

既に何百回かは乗っている飛行機ですが、この時ばかりは違いました。着陸態勢で飛行機が下降態勢の時にスポッとエア・ポケットに入ったように座っているお尻が浮きました。シートベルトで止められてはいますが、アッこれ浮いたなと思いました。すると通路を歩いてるフライトアテンダントが一瞬スーッと浮かんで「キャーッ!」と声を上げてたのを見てしまいました。客席は一斉にシーンとなりました。結果、最初のランディングはうまく行かず、一旦嵐を感じなくなる雲の上まで飛行機は上昇して、再度ランディングに挑戦でしたが、同様に揺れがどんどんひどくなりました。内心、これやばいかもしれないと思い始めました。二度目の着陸の試みも機体が左右、上下に揺れ安定しません。なんとか着陸をと思っていると、窓から眼下に滑走路が見えるのにまた機体は上昇を始めました。

もう乗客は全員放心状態で、どうにでもなるようになれという気持ちだったと思います。少なくとも私はそうでした。が、手にはびっしょり汗をかいて冷たくなっているのが自覚できました。三度目の着陸時も揺れましたが、パイロットは意地でも着陸しようと思ったと思います。幸い、なんとか着陸できました。

なんとか着陸し飛行機から降りて地上を歩きながらターミナルの建物の中に入る頃には地上の雨は上がって少し星のある夜空がみえるようになっていました。代理店の人物と思われる人から「〇〇さん、ですよね?」と声を掛けられましたが、私が発した最初の言葉は「ちょっと私の手を握ってみてください」「・・・」「どうですか?冷たいでしょ」、「そうですね。どうかされましたか?」「今の到着した便が三度目にやっと着陸できたのですが、それまで空中での揺れがひどくて生きた心地がしなかったのです」と言うと、相手は急に顔がほころんで、「それは大変でしたね。でも、もう地上ですから安心してください」と、、。

中米の航空会社のパイロットのほとんどは元空軍の戦闘機パイロットとの話を聞いたことがあります。彼らにとってはそれほどでもないかもしれませんが、後にも先にもこれほど飛行機で恐怖を味わったことはありませんでした。雨に濡れた熱帯の木々が夜空の星と相まって美しく見えたマナグア初訪問の瞬間でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?