2月9日(木)のロシア報道機関のトップニュース

プレスレビュー：米国のノルドストリームの爆破を非難、ゼレンスキーがロンドンを訪問

2月9日(木)のロシア報道機関のトップニュース

モスクワ、2月9日/タス通信。/米国がノルド・ストリーム・パイプラインを爆破したと非難、バイデンの議会演説、ゼレンスキーの欧州訪問の理由。これらの記事は、ロシア全土の木曜日の新聞の見出しのトップを占めた。



イズベスチヤ：ジャーナリスト、米国によるノルド・ストリームの爆破を非難

米国のジャーナリスト、シーモア・ハーシュは2月8日、ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の爆発事件の背後に米国がいると主張する記事を発表した。彼の情報によると、2022年6月に米海軍のダイバーがNATOの訓練を隠れ蓑にしてパイプラインの下に爆薬を仕掛け、その3ヶ月後にノルウェー人が爆弾を作動させたという。イズベスチヤとの会話で、ピューリッツァー賞受賞者は情報源の開示を拒否し、この記事が自らを物語っていると指摘した。ワシントン政府は、この疑惑を否定している。イズベスチヤが調査した専門家は、この記事が西側諸国による新たな調査を開始することはないだろうと確信している。

「ほとんどの場合、この記事はジャーナリストの捏造で、クレムリンによって仕組まれたものだと言うだろう。ドイツ人、スウェーデン人、デンマーク人自身が、爆発に米国が関与している証拠を見つけたとしても、そのような責任を負うことはできないので、それについて話すことはないだろう」と、国家エネルギー安全保障基金の主要アナリスト、イゴール・ユシュコフはイズベスティアに語り、現在の状況下で西側諸国が政治的地位を失うことを警戒しているので、近い将来に調査結果が公表されるとは思えない、と付け加えた。彼によれば、この記事は、米国だけがこの状況から利益を得ることができることを証明している。専門家は、米国がノルドストリームによってドイツのウクライナへの軍事援助が制限されることを懸念したというハーシュの主張は正しいと考える。"こうしてドイツは、ロシアとのガス協力に戻ろうなどと考えてはいけないというメッセージを受け取った "と専門家は語る。

ロシア科学アカデミー欧州研究所のウラジスラフ・ベロフ副所長は、今のところ、調査に参加している国々は、爆発の背後にロシアはいないという一点だけで意見が一致していると考えている。「今のところ、デンマーク、スウェーデン、ドイツは情報を隠している。デンマーク、スウェーデン、ドイツの3カ国は、今のところ情報を隠している。唯一のコンセンサスであるロシアの関与は、今日、議論の対象にはなっていない。それ以外はすべて憶測に過ぎない」と専門家は指摘した。

イゴール・アナンスキフ国会エネルギー委員会第一副委員長は、爆発事故後、エネルギー危機の中で、EUへのガス供給を増やしたのは米国であり、ロシアからの供給は減少しているとイズベスチヤ紙に語った。



メディア：バイデン氏が一般教書演説で約束したこと

2月7日、ジョー・バイデン米国大統領は議会で年次一般教書演説を行った。演説の大部分は、政権の成果を挙げることに費やされた。

ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所北米研究センターのビクトリア・ジュラヴレヴァ所長は、「国の債務上限問題は政権にとって長期的な関心事ではないので、この問題で共和党との政治的な戦いが差し迫ったからこそ言及された」と言う。演説の主眼は中産階級の生活を楽にすることで、これは2020年の選挙中のバイデンのアジェンダでもあった。「この演説が2024年にバイデンが指名される前触れである可能性は低い」と専門家はベドモスチ紙に語っている。それよりも、米国の指導者が、分裂した議会の共和党との厳しい政治的闘争が待っていることを示唆している可能性の方が高い。

モスクワ大学のフランクリン・ルーズベルト米国研究財団のユーリー・ログレフ所長は、バイデン氏の演説は再選のためのものではなく、近い将来の計画についてのものだと考えている。たとえば、2兆ドルの財政赤字削減はバイデン政権の成果ではなく、パンデミック時に採用した景気刺激策の資金が打ち切られたことが原因であるなど、彼の演説には多くの虚偽があり、すでに批判を浴びている。

とはいえ、米国のリーダーが、ウクライナに対する更なる支援のレベルや、米国が今後キエフ政権に提供する可能性のある兵器の種類については何も語らなかったことに、彼は言及した。

「共和党はウクライナ支援を支持しているが、特に国家債務問題を解決する必要性を考えると、その規模や期間には限界がある」と専門家はイズベスチアに語り、歳出削減もウクライナ支援に影響を与える可能性があると付け加えている。



イズベスチヤ：ゼレンスキーがヨーロッパに行った理由

2月8日、ウラジーミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、ロンドンを突然訪問した。ロシアの特別軍事作戦が始まって以来、2度目の海外訪問である。その訪問は、非常に波乱に満ちたものだった。リシ・スナック首相との会談、バッキンガム宮殿訪問、チャールズ3世との会談、議会での演説など、盛りだくさんの内容であった。予想通り、この訪問では、キエフ政権へのさらなる軍事支援と、ウクライナへの戦闘機提供の要請が焦点となった。専門家がイズベスチアに語ったように、ロンドンは自国の戦闘機を派遣する可能性は低いが、西側諸国のパートナーを説得する可能性はある。ゼレンスキーは英国首都訪問の後、パリとブリュッセルを訪問する予定である。

ロシア科学アカデミー欧州研究所英国研究センターのキラ・ゴドバニュク主任研究員がイズベスチヤ紙に語ったところによると、英国の政治体制はウクライナ支援に関してコンセンサスに達しているとのこと。彼女によると、これは2024年の議会選挙を考慮し、政治的リーダーシップを確保するための問題であるという。

高等経済学校のセルゲイ・シャイン氏も、スナックの外交政策には大規模かつ包括的なキエフ支援が残ると同意見だ。彼によれば、英国内の社会経済的な混乱さえもこれを妨げることはないだろう。

軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフはイズベスチアに、英国はウクライナと共有できるほどの戦闘機を持っていない、と語った。彼は、英国は第5世代のF-35に切り替えているが、誰もゼレンスキーに渡さないし、もうすぐ退役するユーロファイターは複雑で高価な機体で、ウクライナには運用する手段がない、と指摘した。英国は、レオパルト戦車と同じように、ウクライナのためにもっとシンプルな戦闘機を集める連合の先頭に立つ可能性が高いというのである。しかし、近い将来そのような決定がなされたとしても、これらの戦闘機がウクライナ空軍で来年より早く使われることはないだろう。

ロンドンがヨーロッパの同盟国に圧力をかけて、ジェット機の納入を決定する可能性もある。たとえば、フランスや、以前は基本的にレオパルド戦車の送付を強要されたドイツのオラフ・ショルツ首相が、ジェット機の納入を決定する可能性もあるとゴドバニュク氏は付け加えている。



Nezavisimaya Gazeta：ブリュッセル、ワシントンとの「補助金競争」に備える

2月9日から10日にかけてブリュッセルで開催されるEUの臨時首脳会議では、加盟27カ国の首脳が、世界情勢の変化を踏まえ、企業に対する国家補助金の支給の可能性について議論する予定だ。これらの決定は、米国の新インフレ抑制法（IRA）によって提供された420億ドルの補助金パッケージに対応するものであり、EUはこれを背後からの刺客と受け止めたのである。ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領もサミットに出席する予定である。

高等経済学校のアレクセイ・ポルタンスキー教授が新聞に語ったところによると、アメリカの新法が実施されると、EUの工業企業がより良い税制条件を求めて大西洋を越えて逃げ出し、その結果ヨーロッパ経済全体が脅かされる恐れがあるので、首脳会談では批判する可能性が高いという。IRAの主な目的は、米国、カナダ、メキシコ製の環境に優しい製品への投資や購入に対する免税措置を導入することによって、グリーンエネルギーの開発を促進することだと説明した。この専門家によると、EUは、IRAが他国から輸入される同様の製品、特に電気自動車に対して露骨に差別的であると考えているとのことです。「ブリュッセルは、米国が自国の産業に補助金を出すことは、EUの非工業化につながり、欧州企業の海外進出を促すと考えている」と説明した。

彼の意見では、ブリュッセルとワシントンは、話し合いによってこれらの相違を解決しようとする。少なくとも、EUはカナダとメキシコへのIRAの適用除外を欧州企業にも拡大することを望んでいる。交渉が実らない場合、ブリュッセルはWTOへの提訴を検討する可能性があり、さらなる報復措置も排除していない。



Kommersant：ロシアの石油生産と輸出は増加

コメルサントによると、EUがロシアの石油と石油製品を禁輸しているにもかかわらず、ロシアの石油産業は増産を続けている。2月第1週、石油会社は1月の平均水準に比べ、ほぼ1％増産した。とはいえ、2022年2月と比較すると生産量は1％減少している。この増加は、制裁条件下では、石油会社がより大きな割引を付与することで輸出を増やすことを好むためである。

エネルギー・金融財団研究所のセルゲイ・コンドラチエフ氏は、ロシアの石油生産の安定性は、輸出の物理量を多く維持することを可能にする高い割引と関係があると言う：海上輸出は過去6ヶ月間で最高レベルを維持しており、したがってDruzhba石油パイプライン上の配達の減少を相殺することができます。「また、国内市場の安定した需要と、中東やアジアへの石油製品供給の増加により、製油所も高水準の処理を維持しているようだ」と専門家は述べている。しかし、今後数ヶ月の間に、ロシアは精製量が減少するシナリオに直面する可能性がある。この場合、現在のクラック・スプレッド（原油1バレルとそこから精製される石油製品の価格差）により、多くの輸出製油所が比較的安心していられるため、ディーゼル製油所は少なくとも現在の量を維持できる、とコンドラチエフ氏は考えている。2023年2月から3月にかけて、製油所の生産量は以前の予想より低く、日量10-15万バレルを超えない可能性もあるが、彼の評価では、主要リスクは物流と地元市場における新しいパートナーの検索である。

タス通信は、これらのプレスレビューで引用された内容に関して責任を負いません。

原文：
Press review: US accused of blowing up Nord Streams and Zelensky's visit to London

Top stories from the Russian press on Thursday, February 9th

MOSCOW, February 9. /TASS/. The US is accused of blowing up the Nord Stream pipelines, Biden’s address to Congress and the reason behind Zelensky's visit to Europe. These stories topped Thursday’s newspaper headlines across Russia.



Izvestia: Journalist accuses US of blowing up Nord Streams

On February 8, American investigative journalist Seymour Hersh published an article asserting that the US was behind the explosions at the Nord Stream gas pipelines. According to his information, US Navy divers laid explosives under the pipelines in June 2022 under the cover of NATO drills and Norwegians activated the bombs three months later. In a conversation with Izvestia, the Pulitzer Prize winner refused to disclose his sources, noting that the article spoke for itself. Official Washington denied the allegations. Experts polled by Izvestia are confident that the article won’t launch any new investigations by Western countries, which still have yet to make any conclusions public.

"Most likely, they will say that this is the journalist’s fabrication and all of this was orchestrated by the Kremlin because official Washington denies any involvement. Even if the Germans, Swedes or Danes themselves found some evidence of the US’ involvement in the explosions, they are unlikely to talk about it since they could not bear such responsibility," Leading Analyst at the National Energy Security Fund Igor Yushkov told Izvestia, adding that any results of investigations should not be expected to be made public in the near future because Western countries are wary of losing their political positions in the current climate. According to him, the article proves that only the US could benefit from the situation. The expert thinks that Hersh’s assertion that the US was concerned that the Nord Stream would limit Germany’s military aid to Ukraine was correct. "This way, the Germans received a message that they shouldn’t even think about returning to gas cooperation with Russia," the expert said.

Deputy Director of the Russian Academy of Sciences’ Institute for Europe Vladislav Belov thinks that as of now, the countries participating in the investigations agree on only one thing - Russia is not behind the explosions. "So far, Denmark, Sweden and Germany are concealing information. They are proceeding from the premise that making the facts at hand public may have far-reaching consequences for their relations with third countries and the one directly behind the explosions. The only declared consensus - Russia’s involvement - today is not a subject for discussion. Everything else is speculation," the expert noted.

First Deputy Chairman of the State Duma Energy Committee Igor Ananskikh told Izvestia that following the explosions and amidst the energy crisis, it is the US that has increased its gas supplies to the EU while deliveries from Russia have decreased.



Media: What Biden promised in his State of the Union Address

On February 7, US President Joe Biden gave his annual State of the Union Address to Congress. A significant part of his speech was dedicated to listing the achievements of his administration.

The issue of the national debt ceiling is not a long-term concern for the administration, thus it was mentioned only because of the imminent political battle with Republicans on this issue, says head of the Center for North American Studies at the Russian Academy of Sciences’ Institute of World Economy and International Relations Viktoria Zhuravleva. The main focus of his speech was on making life easier for the middle class, which was also on Biden’s agenda during the 2020 election. "It is unlikely that the address is a precursor to Biden’s nomination in 2024," the expert told Vedomosti. It is more likely that the US leader is signaling a tough political struggle ahead with the Republicans in the divided Congress.

Apparently, Biden’s address is not about his re-election agenda but about plans for the near future, thinks Director of the Franklin Roosevelt Foundation for United States Studies at Moscow State University Yury Rogulev. His speech has already drawn criticism because of a number of falsifications - for instance, reducing the budget deficit by $2 trln is not the achievement of the Biden administration but was caused by the discontinuation of funding for the stimulus measures adopted during the pandemic.

That said, he noted that the US leader didn’t say anything about the further level of support for Ukraine and the types of weapons that the US might provide to the Kiev regime in the future.

"Although the Republicans support aiding Ukraine, the scale and duration have their limits, especially considering the necessity to resolve the issue of the national debt problem," the expert told Izvestia, adding that reduced spending may also impact aid to Ukraine.



Izvestia: Why Zelensky went to Europe

On February 8, Ukrainian President Vladimir Zelensky paid an unexpected visit to London. It was his second trip abroad since the onset of Russia’s special military operation. His visit was very eventful: Zelensky met with UK Prime Minister Rishi Sunak, visited Buckingham Palace, met with Charles III and addressed the Parliament. Predictably, the visit focused on further military support for the Kiev regime as well as a request to provide fighter planes to Ukraine. As experts told Izvestia, London is unlikely to send its own jets but may persuade its Western partners to do so. After his visit to the British capital, Zelensky is scheduled to visit Paris and Brussels.

The UK’s political establishment has reached a consensus with regards to support for Ukraine, Leading Researcher of the Center for British Studies of the Institute of Europe of the Russian Academy of Sciences Kira Godovanyuk told Izvestia. According to her, this is a matter of ensuring political leadership given the 2024 parliamentary elections.

Sergey Shein of the Higher School of Economics concurs that massive and comprehensive support for Kiev will remain in Sunak’s foreign policy. According to him, not even the socio-economic turbulence within the UK will prevent this.

Military expert Dmitry Boltenkov told Izvestia that the UK does not have enough fighter planes to share with Ukraine. He pointed out that the UK is switching to fifth-generation F-35s, which nobody would give to Zelensky while its soon-to-be decommissioned Eurofighter jets are complex and expensive planes that Ukraine lacks the wherewithal to operate. According to him, the UK is more likely to spearhead a coalition to collect simpler fighter planes for Ukraine just as it did with Leopard tanks. However, even if such a decision is made in the near future, these jets are unlikely to be used by Ukraine’s air force earlier than next year.

It is possible that now London will put pressure on its European allies to make a decision on the delivery of jets, for example, by the French or by German Chancellor Olaf Scholz who earlier was basically forced to send Leopard tanks, adds Godovanyuk.



Nezavisimaya Gazeta: Brussels gears up for 'subsidy race' with Washington

At the EU’s extraordinary summit which will be held in Brussels on February 9-10, leaders from 27 member countries will discuss the possibility of providing state subsidies for businesses in light of the changing global situation. These decisions will be a response to the $420-bln subsidy package provided by the new US Inflation Reduction Act (IRA), which the EU perceived as a stab in the back. Ukrainian President Vladimir Zelensky is expected to attend the summit.

As Alexey Portansky, Professor at the Higher School of Economics, told the newspaper, the summit is likely to criticize the new American act because its implementation may cause EU industrial companies to flee across the Atlantic for better tax conditions and therefore threatens the entire European economy. He explained that the IRA’s main goal is stimulating the development of green energy by introducing tax exemptions for investments and purchases of eco-friendly products made in the US, Canada or Mexico. According to the expert, the EU thinks that the IRA is blatantly discriminatory against similar products imported from other countries, particularly electric vehicles. "Brussels thinks that the US subsidizing its industry may lead to the de-industrialization of the EU, encouraging European companies to migrate overseas," he explained.

In his opinion, Brussels and Washington will try to resolve these differences through talks. At the very least, the EU would like the exemptions from the IRA to Canada and Mexico to be extended to European companies as well. If negotiations are fruitless, Brussels may consider filing a complaint with the WTO, and does not rule out further retaliatory measures.



Kommersant: Russian oil production, exports grow

According to Kommersant, despite the EU’s embargo on Russian oil and petroleum products, Russia’s oil industry continues to increase production. Over the first week of February, oil companies increased production by almost 1% compared to the average level of January. That said, the production is 1% lower than in February 2022. The increase is due to the fact that under sanctions conditions, oil companies prefer to increase exports by granting bigger discounts.

Sergey Kondratyev from the Institute of Energy and Finance Foundation says that the stability of Russian oil production is related to high discounts which allow for maintaining high physical volumes of export: seaborne export remains at its highest levels over the past six months, thus offsetting the decline in deliveries over the Druzhba oil pipeline. "That said, apparently, oil refineries are also keeping processing at a high level thanks to stable demand on the domestic market and the redirection of supplies of petroleum products to the Middle East and Asia," the expert says. However, in the coming months, Russia may face a scenario where the volume of refining will decrease. In this case, diesel refineries can at least retain the current volume because the current crack spread (the overall price difference between a barrel of crude oil and the petroleum products refined from it) allows many export refineries to feel relatively secure, Kondratyev thinks. In his assessment, the key risks are logistics and the search for new partners in local markets, although it is possible that in February-March 2023, the refineries’ output will be lower than previously expected and won’t surpass 0.1-0.15 mln barrels per day.

TASS is not responsible for the material quoted in these press reviews