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アマゾンの森の中、コチャ(湖)で釣りする楽しさ

大河アマゾン川は、アマゾンと名付けられた川も幅広く大きな川ですが、その川へ流れ込む多くの支流の流域面積は広大になります。そしてアマゾン川はアンデス山脈を水源とするマラニョン川とウカヤリ川が合流してアマゾン川と名前を変えます。どちらもペルー領ですからアマゾン川の主要な川の源流は全てペルー国内のアンデス山脈を起源としています。そのアマゾン川は、文字通り蛇行するように流れていきますが、蛇行のウネリが大きくなり過ぎると途中ショートカットされて本流の流れが変わります。取り残された大きく湾曲した部分は本流から脇に逸れる堆積物でだんだんと孤立して三日月湖のようになり、最後はコチャと呼ばれる湖になります。

本流からそれたコチャへの水流は緩くなり、だんだんと元流れがあった川の部分は木々に覆われて上空から見るとショートカットされて本流になった川の側にポツンとある三日月のように見えます。だからカヌーでその茂みを分け入って辿り着くことになります。私は、イキトスに住んでた時に一度だけカルロス・マツフジさん(日系二世)と一緒にボートに乗ってコチャへ釣りに行きました。カルロス・マツフジさんの兄がドン・ルーチョと呼ばれていたルイス・マツフジさんです。開高健をペルーまで釣りに誘った人です。カルロスさんは、冒険家の植村直己氏が筏でアマゾン川下りをする時に筏作りを手伝った人です。植村直己氏はその後米アラスカ州のマッキンリー登山で行方不明になります。カルロスさんは植村直己氏がマッキンリー登山の時に書かれた葉書を受け取っていました。どうやらお世話になった人に冒険の先々で絵葉書を送っていたようです。

カルロスさんは小さなボートと船外機を街外れの森の中の古屋に置いていて、番人兼助手の男がボートの出し入れを行っていました。釣りはカルロスさん、友人の大学教師、そして私の3人でボートに乗って目的地のコチャまで行きました。流れのある川を走る時は船外機を使いますが、本流から外れてコチャへ入るには船外機で進むのではなく、レモと呼ばれる一本の木から削りだしたオールを漕ぎながら木々の間を抜けて行きます。木々を抜けると突然視界がパッと開き大きな湖が目の前に現れます。ここまで来ると雑音は一切無く、魚がジャンプして水面に落ちるときに出るポチャという音くらいしか聞こえて来ません。ここでルアーを使って釣りをします。


私は景色に見惚れてしまい、釣りの方は気が散ってしまいました。カルロスさんはしっかり夕飯で食べれるくらい何匹も釣り上げてました。一番の大物はぺス・カチョーロ(ペーシュ・カショーロ)でした。獰猛な牙が下顎から大きく突き出た魚です。白身の美味しい魚です。コチャの中では突然のスコールもあり、その後に出てくる美しい虹も見れました。完全に忘れてしまっていた時間は既に随分と経ってしまっていて暗くなる前に引き上げることにしました。

コチャでの釣りは大自然の中の絶景を楽しみながら多種多様な魚との出会いが楽しめます。カルロスさんは、リマの自宅ではなくずっとイキトスに住み続けたのは、釣りが出来るからだったようです。本当にお世話になりました。

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