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型の大切さ

先代の中村勘三郎が言ったとされる「型があるから型破り、型がなければ形無し」は、基本があって応用があるということを表してます。当然と言えば当然なことなのですが、結構勘違いされている方々を見ます。本人は至極当たり前だと思ってやってること、盲目的に過去からのやり方に疑問を持たずにやってることさまざまです。会社組織で仕事をする場合、本来、基本としてどのようにやるのかを知らずにいることは自身の成長を阻むばかりか、間違った習慣を再生産してしまうことになります。増してや後輩にそのようなやり方を伝えるとなかなか後から修正が難しくなります。

少し分かりやすく説明すると、例えばグランド・ピアノの製作を考えてみましょう。よく世界最高と言われるスタンウェイン&サンズの音が素晴らしくてヤマハには真似できない(=そのような技術が無い)と思われている人が多いと思います。しかし、実際はヤマハはスタンウェインの音は作れます、やっても意味が無いだけです。何の為にやるのかが無いのです。ギターも同じです。マーチンやギブソン、クラシックギターで有名なアグアドなどそっくりそのまま真似することはできますが、やっても意味が無いのです。全て基本を抑えた上で独自の特徴で勝負しているのです。

私がレッスンを受けているNY在住の日本人ジャズ・トランペッターの音は、言い方は適切じゃないかもしれませんが、パッと聴くと所謂綺麗なトランペットの音色というより「下手うま⁉︎」というような音を出します。ある時、トランスクリプトの重要性を解説してる時に、伝説の有名トランペッターの音源からどの様にニュアンスをコピーするかを実演してみせた事がありました。そしたらまるでその伝説の本人が吹いてるように演奏するのに驚きました。そんな事はできるのですプロだから、でも普段の自身の演奏でそれを真似する理由が無いのです。

上記の例に共通する事は、型である基本はしっかり出来た上で自分の型を編み出して型破りを成し遂げているのです。型を知らない、型が無ければ上達しようがありません。そしてそれらの型を身に付けるには初めが肝心なのです。トランペットのレッスンで繰り返し言われるのは「悪い癖が付いた吹き方を修正するのは、全く初めて吹き始める人よりも上達に時間がかかる。間違った吹き方をするくらいなら吹かない方が良い」とまで言われます。ただし、これは上達したいと思っていればという前提ありきです。どうにでも好きなように吹きたければ自己流でやっても問題無いけどソロは取ることができるようにはなれないといわれました。

仕事も全く同じだと思います。今一度、自身のメタ認知力をフル稼働して基本的なことができているのか要チェックしてみては如何でしょうか?

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