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ピーター・ウィアー監督作品『刑事ジョン・ブック 目撃者』を観る

原題、Witness 1985年公開。舞台は米国大統領選で話題のペンシルベニア州ランカスター郡のアーミッシュ村です。今回の大統領選挙、非暴力で前近代的な生活様式を守り、今まで大統領選挙に投票するようなことのなっかたアーミッシュの人たちが馬車にトランプ支持の横断幕を張って投票を呼び掛けたことが話題になりました。その姿を見てこの映画を思い出しました。また、郵便局員の内部告発を法務省が派遣した調査官が撤回させようとしたり、解雇されたりと体制側の秘密の暴露をなかったものにしようとしたこともこの映画に通じています。

物語(ネタバレです)は、アーミッシュ村から未亡人の母親と息子の少年が親族のところへ行く途中に殺人現場を見てしまいます。その事件を担当する刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード演じる)が警察署で少年の見た犯人の顔を犯罪者リストを見せながら特定しようとします。しかし、それらのリストには無く、少年は署内を歩いていた汚職に手を染めていた麻薬事件担当のある刑事を見て目が点になります。それに気付いたジョン・ブックは、母と子を実の姉の家に預けて、警察の本部長宅で犯人が同じ署内の刑事であることを告げます。

その後、ジョン・ブックは駐車場でその刑事から命を狙われます。本部長にだけ告げたはずの犯人のことを当人が知っていることからジョン・ブックは二人はグルであることに気付きます。腹部に銃弾を受けたまま自動車を運転して母と子が住むアーミッシュの村まで移動しますが、到着すると気を失ってしまいます。

病院に運ばれると警察に通報されるため、村に戻っていた未亡人の母親宅で銃弾摘出の手術を行ってもらい療養を続けます。その間、警察本部長と殺人犯の刑事は、証拠隠滅のためジョン・ブックを血眼になって探し始めます。ジョン・ブックがある時、同僚に麻薬担当刑事が犯人である殺人事件の調書に記載されたアーミッシュの少年の住所が知られないようにファイルごと隠すように依頼しますが、何度目かのコンタクトでその同僚が殉職したことを知ってしまいます。

アーミッシュの村人と同化した生活を送っていたジョン・ブックは、仲間と街にでかけた時に観光客に仲間を揶揄われたことに腹を立て非暴力のであるアーミッシュが暴力事件を起こしたと、警察にしられ本部長にジョン・ブックの隠れ家が判明してしまいます。二人の部下を引き連れて本部長がアーミッシュの村に乗り込み、ジョン・ブックとの戦いが農家のサイロや馬小屋で展開され、二人の部下がジョン・ブックの銃弾に倒れた後、本部長は少年の母親である未亡人を人質の盾としてジョン・ブックに投降を促します。それを陰で見ていた少年が長老の合図で緊急事態を知らせる鐘楼に登り鐘を鳴らします。村中に響き渡る鐘の音に農作業中の全員が村に集まって警察本部長が未亡人に銃口を向けてジョン・ブックを追い詰めているところを目撃されます。ジョン・ブックは「もう十分だ!やめろ!」と叫び、我に戻った本部長は銃を下ろします。そして事件は解決し、互いに儚い恋心を持ったジョン・ブックと未亡人も普段の生活に戻って行き映画が終わります。

正義が勝つと信じる米国人好みの物語です。また、体制側にいつも悪が潜んでいることも皆分かっていることも興味深いです。今回の大統領選挙は、米国民の寛容を遥かに逸脱したことになり、国民全員が真実を知ることになるかも知れません。 

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