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突然、海外子会社の社長を任命される。

2010年の春に突然、海外子会社の社長を任命されることになりました。それまでは日本国内の自分で起こした新規事業を担当していた事から違和感がありました。何故かと言えば、私の過去の仕事(前職も前々職も)のキャリアは殆どが海外とのビジネスであり、その事は同僚である他の取締役も十分知ってるハズにも関わらず、その海外子会社の経営には一度も関わらせる事もなく、助言を求められる事も無かったからです。任命の背景には、その子会社の当時の社長が心身の病気で帰国を強く要望されていた事がありました。赴任して7ヶ月ほどにも拘らずです。

社長人事については、元社長(彼は7年ほど赴任)からの助言で「誰でもやれる簡単な仕事だから」と年齢的にも適当な社員に声を掛けていたようですが全て固辞されました。理由は色々あったと思いますが、一つに赴任者が心身の病気になるほどのストレスがある事を敬遠された事、当時一番長く経験されていたその元社長の社内での評判が良くないことと同時に彼の帰国後の処遇が良く無かった事から、あの様には成りたく無いとの心理が声を掛けられた社員に働いたのかも知れません。

日本側で取締役の私に前例の無い海外子会社の社長を任命するに当たり、ある部長を副社長として現地に赴任させ私には月に1週間ほど日本から現地に出張して社長業をやって欲しいと打診してきました。多分、言葉の壁でその部長しか候補に残らなかったのかも知れません。後で本人に聞いた話によれば3ヶ月程の繋ぎだから我慢して欲しいと言われたようでした。私が初めてその海外子会社を訪れた時はその部長が副社長として赴任して数週間が過ぎていた時でした。朝、事務所に出勤して開口一番「グッド・モーニング!」と大きな声で挨拶すると、既に出勤して机に着いていたローカルスタッフ全員が何も反応せずシーンとしたままだったのは驚きました。最初の印象としては最悪でした。

最初の出張で行った事は、全スタッフとの個別会談で一人5分〜10分間でヒアリングで職場の人間関係や会社への要望を書き取りました。副社長からはいつ帰国出来るのか?と訊かれて「えっ⁉︎ 赴任したばかりなのに帰任を考えているの?」「最初から2〜3ヶ月の約束でした」と返事されました。現地スタッフを入れた会議では副社長は会話についていけない事がハッキリしました。語学力が現地で事業を行うレベルではありませんでした。

一旦帰国して社長に副社長の部長は3ヶ月で帰国すると考えている旨を報告すると「現地に行けば気が変わってずっといてくれると思ってた」と言い出す始末。人事を何と考えているのか?との思いがしました。結局、「現地に居たくない人を無理に働かせても碌なことはありません。彼をさっさと帰国させて下さい」「じゃあ誰が駐在するの?」「私が駐在します」「いいの?」、これで決定しました。最初からそうするつもりだったらはっきり言えば良いものを手間ばかりかける社長でした。

それから7年間、債務超過の会社の運営を一人でやることになりました。何故か初代社長は7年間二人の日本人スタッフを含め三人駐在、二代目の社長も実はそのスタッフの一人でした。しかし、彼は一人で社長を始めたら7ヶ月で帰国となり三代目の私は一人駐在で7年間。その間、もともと日本のオフショア開発拠点として設立された海外子会社であり売上の9割以上が親会社からの仕事だったものが、どんどん減少して自力で現地で稼ぐ会社へ変換しなければなりませんでした。結果、8割以上を現地市場で売上げる会社へ変貌させました。その会社を私が退職した後、日本人の駐在者は二名になりもう一名が出張ベースで社長業務をやっているようです。

7年間の社長業には腹立たしいことは枚挙に暇がないほどありましたが、その殆どが日本の本社側のポリシーも信念もない経営姿勢でした。今も変わってないと思います。卑怯者根性を持つ日本人の根は深いと今でも思っています。新たな世代の人たちには、実力をつけて正々堂々と世界市場でビジネスを行う姿勢を貫いてもらいたいと思います。

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