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一般地、代理店メカニックの教育に貢献したこと

北米、欧州、豪州以外の市場をY社内では一般地と呼んでました。代理店のテクニカル・サービス部門は、マネージャの下に多くにメカニックを抱えているところが多かったです。そのメカニックは一般的に専門教育を受ける機会が無く、見様見真似で技術を付けてきた人たちがほとんどで先輩後輩の間でも教え合うような文化が無いこと多々ありました。

私のミッションは、代理店における自社製品の販売後のアフターサービス、特にテクニカル・サービスを向上させることでした。基本的なサービス工場内の整理整頓、各種計器の使い方、補修部品庫の管理方法、SI単位の意味、仕様諸元表の見方のようなものから始まって、負荷計算を含む発電機の理論、揚程設定を含むポンプの理論、作業機とエンジンのカップリングについてなどの教育資料を作成しました。

ほとんどの資料は、大きなイラストの横に英語、西語、中国語(繁体文字)の3言語で作成しました。当時担当してた市場の言語です。一冊、また一冊と作っていくたびに代理店から喜ばれたので、調子に乗って随分と作りました。原稿作成にあたっては、間違った内容を載せてはならないと社内の図書室から沢山の技術書を借りてきて、原稿執筆の横に確認用として山積みしてました。

中南米へ出張に行くと必ずサービス工場を見せてもらいます。何か所かで経験しましたが、結構私が作った教育資料が事務机や作業台に使い込まれた状態で置かれているのを見ました。一度、直接感想を訊きました。「この教育用資料どうですか?」、「これもの凄く分かり易いよ。文章とイラストがあるからイメージし易いです」、「もう結構使い込んでますね?」、「修理をしている時についでに構造などを勉強できるように作業台に1冊置いてます」、「いいアイデアだね。ところで、これ私が書いたんですよ」、「えっ、本当!、じゃあどこでもいいから本へサインしてもらえますか?」。こんな会話をメカニックとしてました。

最後に作成したのは小さな技術書でした。汎用エンジンをどのように作業機械へマッチングさせたらよいかの指南書です。最初に英語で作ったら評判が良くて、後で国内市場向けに同僚が翻訳して日本語版も作りました。随分と前の話ですが、一般地のメカニックの教育には多少なりとも貢献できたと思っています。

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