見出し画像

国際協力の意義を考える

JICAの2020年度予算概算要求は、1兆4千億円です。売上の無い組織で単年度に使うお金が1兆4千億円です。月換算で1,166億円を使っています。凄まじい額です。予算は、外務省経済協力局に割振られています。外務省の牙城です。

国際協力機構(JICA)は、以前は国際協力事業団と呼ばれていました。その事業団は、海外移住事業団と技術協力事業団が合併したものでした。つい最近、JICAから海外移住事業が無くなったとのニュースが流れました(いつか覚えてませんが)。

海外移住事業とは、陰で棄民政策と呼ばれていました。日本の産業構造改革が明治以降なかなか進まない中、農家の次男、三男など家長を継がない人たちの失業対策が発端だったようです。海外の広大な土地で農業ができるとの謳い文句で中南米へ多くの移民が渡航しました。しかし、受け入れ側の理解は、小作農民(奴隷に近い)の受入れだったようです。ドミニカ共和国やブラジル国アマゾン開拓農家、ペルー、ボリビア、パラグアイ等々、悲惨な末路の話に枚挙に暇がありません。移民された人々は、現地の日本領事館などに話が違うとさんざん苦情を陳情してたようです。その対策をずっと最近まで行っていたのがJICA内部に統合された元移民事業団の仕事だったようです。(実際、そこ出身者に話を聞きました)。要は、ガス抜きと口封じが主な任務だったようです。

一方、技術協力事業団は名前の通り技術移転を行う仕事を行って専門家派遣などを行っていました。JICAの中に新たな部局として発足されたのが青年海外協力隊事務局です。ここはボランティア事業を中心としてます。JICAであることから技術移転などを考えがちですが、基本はボランティア事業と日本の青年育成事業が主体です。従って、たまに技術移転を声高に言う協力隊員が居ますが、基本はボランティア活動です。

技術協力が税金の無駄遣いだと言う声が結構あります。そして、現場での活動する協力隊員からも結構そのような声があります。往々にして現地政府は腐敗して、職場上司も私利私欲で動き、組織への貢献や国の発展は二の次との態度が我慢ならんとJICA事務所へ苦情を持ち込みます。確かに無駄かも知れませんし、そうで無いかも知れません。

ただ言えることは、JICAが支援している多くの国々は日本との圧倒的な貿易不均衡の状態にあります。日本から輸入するものは機械製品を始めあらゆるものがありますが、それらの国々から日本へ輸出できるのは農産物や海産物などで金額ベースでは比較になりません。
これらの国々に貿易不均衡の是正の一つとしてJICAの支援を考えると無駄ではないと思えてきます。如何でしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?