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フォルクスワーゲンのエンジンでフランス、ロワールの空を飛ぶ

フォルクスワーゲンタイプ1(通称ビートル)は、空冷4ストロークOHV水平対向ピストンエンジンを搭載しています。古い設計ですがポルシェ技師の傑作エンジンの一つです。1200ccで30ps/3,400rpmくらいの出力です。特徴は、空冷、独立したシリンダー、水平対向のピストンの配置。これで得られる利点は、冷却効率が高い、クランクシャフトのカウンターウェイトが小さくできる、エンジン全長が直列に比べて短く出来る、軽量等々。

小職が初めての海外出張(アムステルダム、ハンブルグ、パリ)で1カ月半の内1カ月を過したパリでのある週末に現地法人のテクニカル・ダイレクター(副社長)のジャン・ピエール・ムゼイ氏から週末彼の自宅へ来ないかと誘われました。彼はウィークデイはパリ市内に住み、週末自宅のあるロワールへ戻る生活をしていました。週末にわざわざ小職を誘ったのは、ロワール城や彼の実家が城と地下道で繋がっていることを紹介する以外に自作の飛行機で上空からロワール地方を紹介することでした。

土曜日の空気が安定している早朝、小さな飛行場に行き、そこには既に自作飛行機仲間がワイワイやってました。格納庫から手作りの飛行機をよいしょっと引っ張り出して、各部を点検した後、乗ってと促されました。翼の踏む場所を教えてもらい助手席へ乗り込み、簡単に説明を受けて、操縦かん他、ペダル類も触らないよう注意を受けました。エンジンは何?と訊くとフォルクスワーゲンと返答。えっ⁉そんなので大丈夫っと思う間もなく滑走しだし、こちらはタコメータばかりを見てました。2000から3000rpmへ上昇して3500近くで機体はふわっと浮かびました。飛んでるよ!と思わず口から飛び出てきました。飛ぶんですね~。

直ぐにロワール城が見えてきて、彼は飛行機を操縦しながら「あれがレオナルド・ダ・ビンチが暮らした家、あれが実家、あっちが俺の自宅」などなど、空を自由に旋回しながらロワール地方の良い眺めを堪能しました。時間にすると30分から40分くらいだと思います。フランス人、恐るべしと思いました。彼らのイカレ具合は半端ないと、、。

帰国後、出張報告の最後にこの件を上司に告げると、「出張中は危険なことはしないようにな!」と軽めのお咎めでした。その上司は長年レーシングチーム監督で世界を転々としてた人、顔はにやにやしてました。

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