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エルサレム旧市街の雰囲気

近代商業都市風なテルアビブからエルサレムへ移動すると遠い昔の時代に移動したような感覚になります。薄い黄土色の石で作られた道路や建物が目立ち、近代的なコンクリートではなく、石でできた街といった印象です。ユダヤ教徒と一目で分かるような服を着た人が多く目につきます。

そして何と言っても丘陵の続くエルサレムでひと際存在感を示しているのは旧市街(狭義のエルサレム)です。遠くからでも岩のドームの黄金に光る円形の屋根がすぐに目につきます。滞在したホテルから徒歩で旧市街へ行きました。入り口付近からイスラエル兵がそこら中に展開されていてちょっと見は物々しい雰囲気ですが、中を歩いている人たちは平然とした感じでスークでの買い物をやっているようでした。

旧市街地は、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地ですのでなんともいえない荘厳な雰囲気、心理的に対立した人たちが行き来する緊張感もしてました。初めて入る旧市街は、ひとりでふらふらとは散策できるような雰囲気ではないなと思っているとパレスチナ人らしき若い男から観光ガイドをやらせてくれないか?と声を掛けられました。提示された金額は妥当と思えたので、彼の案内に沿って行くことにしました。

まず、記憶に残っているのは「聖墳墓教会」です。この教会はキリスト磔刑のゴルゴタの丘をすっぽりと包み込むように建てられたもので、内部はドームになっていて中央に石墓があり放射状に各宗派の控室のようなものがあり、毎時祈りの時間を順番で廻していました。右手には壁一面が岩肌(多分ゴルゴタの丘)があり全面透明なアクリル板で保護されていました。一部、小さな開閉窓を付けてあり、その場所から素手で丘の表面を触ることができるようになっていました。人々は列を作って順番に丘の表面を触っていました。

聖墳墓教会に上ってくる道は、両脇に商店がならぶスークをまっすぐ通り抜けるようになっています。ガイドによるとこの道をキリストは自身が磔になる十字架を担いで上ったとのことです。へえ~っていうのが感想でした。聖書の世界をしらないものにとってはそれくらいの感想なんでしょうが、なんと言っても世界的な宗教の聖地です。

それから「嘆きの壁」が一番よく見える場所へ案内すると言われ、ガイドの案内で着いたところは建物の屋根裏部屋のような場所で、その窓から左下方向を見下ろすような位置に嘆きの壁とその前で祈りを捧げるユダヤ教徒の人たちの背中が見えました。そこがヘロデ大王のエルサレム神殿跡と言われている西壁でした。TVのニュースでしか見たことが無かったけど、壁に向かって祈りの言葉を発話して何度も頭を下げている姿を見ると改めて凄い世界だと思ってしまいます。観光ガイドのパレスチナ人もこの光景を紹介することで生計を立てているなんて複雑な感じなんだろうなと勝手に思いました。それ以外の観光スポットはすっかり記憶から飛んでました。

ホテルへ戻る途中の旧市街訪問の感想は、なんとも言えない重い感じでした。歴史の重みでしょうか。エルサレムは仕事で2回ほど訪問しましたが、ベツレヘムへ行く機会がなかったのが残念です。

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