2014上半期 映画ベスト10


偏りのあるわたしの2014上半期映画ベスト10、書いていきます。
大阪アジアン映画祭・マカオ映画祭などの特別上映作品は除き、一般公開された作品の中から選んでいきます。近いうちDVD化されるものがほとんどだと思いますので、よかったら観てみてください!

1.ドラッグウォー 毒戦

あらすじ: 中国・津海にあるコカイン製造工場から逃げた際、事故を起こし病院に運ばれた香港出身のテンミン(ルイス・クー)は、中国公安警察の麻薬捜査官ジャン警部(スン・ホンレイ)から減刑を条件に捜査への協力を要請される。テンミンの情報をもとに極秘潜入捜査が進むにつれ、中国全土だけでなく韓国、日本にまで及ぶ巨大麻薬シンジゲートの存在が浮かび上がり……。


中国警察VS巨大麻薬組織の話なのですが、さすが中国、ストーリーのスケールがでかい!実際がそうなんだと思います。日本<<韓国<<<<<中国 と言った感じでしょうか。
人間模様もよく描かれていて、迫力満点の映画でした。

今年に入って一発目に観た映画がこれで「うわ!しょっぱなからヤバい!面白い!」と思ったのですが、やはりそれは変わりませんでした。一位!




2.南営洞1985 国家暴力、22日間の記録

あらすじ: 韓国が軍事政権下にあった、1985年9月。民主化運動に身を投じるキム・ジョンテ(パク・ウォンサン)は、目隠しをされて警察署からある場所へと移送される。そこは南営洞にある警視庁治安本部対共分室で、彼を反国家団体のメンバーとして罪を着せるための取り調べが待ち受けていた。拷問技師イ・ドゥハン(イ・ギョンヨン)による、想像を絶するようなむごい尋問が行われる。いつ終わるのかわからない絶望と苦痛が続く中、キム・ジョンテは国家による暴力に対してあらがおうとする。

衝撃的過ぎて脱力…。映画のほとんどが拷問シーン。
『アクト・オブ・キリング』に通じるものがありますが、こちらはより生々しくエグくグロく、観客側も拷問を受けているような精神的苦痛を伴う演出。「もういいよ…」とこちらが泣きたくなる。
『アクトオブキリング』と大きく違うところは「世の中が変わった」というところですね。
今年観た映画の中でこちらと『ヴィオレッタ』が衝撃を受けました。
『南営洞1985』と今年公開された『チスル』は韓国の黒歴史です。



3.ファイ 悪魔に育てられた少年

あらすじ: 男児誘拐事件を起こした犯人グループは、身代金受け取りに失敗して逃走する。リーダーのソクテ(キム・ユンソク)は手元に残された男の子を生かすことにし、ギテ(チョ・ジヌン)をはじめ5人で彼の面倒を見る。やがて17歳になったファイ(ヨ・ジング)と名付けられた少年は自分の過去も忘れ、彼らと共に暮らしていたが……。

韓国映画ならではのショッキングの連続!お父さん役みんなキャラが濃くてよかったし。お馴染みの顔って感じでしたが。「あー!韓国映画観たわ!」と満足感味わえる映画。韓国映画に求めるところってまさにこういうところなんだろうな~と思いました。この過激な感じ、たまりません!



4.ヴィオレッタ

あらすじ: 写真家のアンナ(イザベル・ユペール)を母に持つヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、母が多忙のため、祖母と一緒にいる機会が多かった。ある日、母にモデルになるよう誘われたヴィオレッタ。母に気に入られたいヴィオレッタは要求に応え、カメラに向かい大胆なポーズを取るように。そして、衣装とメイクで大人の色香をまとい……。

ヴィオレッタ役の子が息をのむ可愛さでしたが、それはさておき…の、キュートなだけの映画ではなく、アートという単純なものでもなく、勿論児童ポルノでも全然なく…
もう自分には若さも才能も残っていないのに「芸術」に憑りつかれているがばかりに娘を食い物にし有名になろうとする母、その「芸術」の犠牲になり傷ついていく娘。
「普通の子になりたい」――ポスターの可愛さからは想像出来ないヘヴィな映画でした。


今年公開された『ラヴレース』も同じような感じでした。伝説のポルノ女優が、実は虐待を受けてポルノ映画に出させられていたという事実を告発した映画。



5.星座


あらすじ:川崎の造船所で働く聾唖のマチは、職場にやってきた刑事が密入国者と思しき外国人の犯罪者を探していると知る。マチはその男と会い、恋をするが、その一夜の出来事が現実であったことを確かめるように、男のいた場所を何度も訪れてまわり、幸せな記憶をつなぎとめる。

川崎の造船所が舞台で無機質なのに温かく美しい映画でした。
主人公のマチという女性は聾唖なのですが、言葉の代わりに喜び・怒り・悲しみを舞うことで精一杯表現しています。
ラストシーンのダンスとバックの造船所の風景が脳裏に焼き付いてます。




6.アデル、ブルーは熱い色

あらすじ: 教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき……。

愛に性別は関係ないんだとしみじみ思いました。
ベッドシーンが本気です。すごかったです。美しい。
ふたりの演技力にも脱帽です。



7.そこのみにて光り輝く

あらすじ: 仕事を辞めて何もせずに生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。拓児の住むバラックには、寝たきりの父親、かいがいしく世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれる。ところがある日、達夫は千夏の衝撃的な事実を知り……。

北海道が、この物語が、どこか異国の地であるかのような感じがしました。
そう思わなくては観ていられないほど、酷い現実を突きつけてきます。
映像がとても美しく、それがまたより一層切なく感じられます。
映画を観てこんなに胸が締め付けられるのは久し振りでした。



8.GF*BF

あらすじ: 1985年戒厳令下の台湾、高校生のリン・メイバオ(グイ・ルンメイ)、チェン・チョンリャン(ジョセフ・チャン)、ワン・シンレン(リディアン・ヴォーン)の3人は思想の統制や厳格な校則に不満を抱きながらも自分たちなりに青春を満喫。メイバオとチョンリャンは周囲が認めるカップルだった。あるとき、チョンリャンからメイバオは単なる友人だと聞いたシンレンは、メイバオに自らの感情を伝え……。

学生運動に燃える男二人、女一人の仲間の中で男女関係が生まれたり、男女関係以外の感情が芽生えたり、
大人になることで淀んでしまう様々なもの、そのすべてを乗り越えた「友情」が切なくも美しくすごくよかった!色彩も温かみがあっていい感じでした。
(BL要素が多くそのような場面も多いので(ベッドシーンや激しいキスシーンなど)、そういうのが苦手な、特に男性は生理的に受け付けないかもしれません)




9.ある過去の行方

あらすじ: 4年前に別れた妻マリー(ベレニス・ベジョ)と離婚手続きを行うため、イランから彼女のいるパリへと飛んだアーマド(アリ・モサファ)。かつて妻子と日々を過ごした家を訪れると、マリーと長女のリュシー(ポリーヌ・ビュルレ)が子連れの男サミール(タハール・ラヒム)と一緒に暮らしていた。マリーとサミールが再婚する予定だと聞かされるものの、彼らの間に漂う異様な空気を感じ取るアーマド。そんな中、マリーと確執のあるリュシーから衝撃の告白をされる。

最初の方なかなか全体像が見えずストレス、見えてきたら見えてきたでどんどんストレス(緊張感ハンパない)
無駄なシーンが一切なく、一瞬たりとも目が離せない映画でした。
ラストシーンがまた前作同様(『別離』)どう捉えればよいのやら暫く頭を抱えました…
とても洗練されたサスペンス映画です。
舞台がフランスということもあり、中東らしさがほとんど感じられなかったことがわたしとしてはちょっと残念だったかな。(前作『別離』はテヘランが舞台だったので…かなり萌えました)
それを除けば完璧!


10.罪の手ざわり

あらすじ: 山西省の村で共同所有していた炭鉱で、利益を吸い上げられてきた炭鉱作業員(チアン・ウー)。重慶の妻子に出稼ぎとうそをつき、仕送りを送る強盗(ワン・バオチャン)。かなわぬ恋を続けて年を重ねきた湖北省の女(チャオ・タオ)。職を転々とし、ナイトクラブのホステスとの恋に思い悩む男(ルオ・ランシャン)。虐げられてきた彼らはついに事件を起こしてしまう。

中国人すごい生きてる!むき出しに生きてる!パワフルに行きてる!これぞ大陸の映画、という感じでした。
しかしカメラの焦点あんなに絞って、しかもピンボケばかりしていたのには何か意味があったのか?
そこがちょっと分かりませんでしたが、汚いものをちゃんと汚く描いていてそれがすごくよかったと思います。おっさんとか部屋の中とか。
中国の地方の景色が壮大でした。中国はやはり広い!



…以上です。

今年に入ってから6月末までで、計48本劇場映画観てました。前半はハズレばかりでどうしたことか…と思っていましたが、後半ドドドッと面白い映画がきたのでほっとしました。

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