アドベントリレー小説 8日目
「アドベントリレー小説」は、12/1から始まり12/25に終わる、総勢25名で紡ぐリレー小説企画です。
7日目:アラン校長さん
8日目 作:すーぴか
『緋色のヒーロー』 #8
姉のちひろは、底抜けに明るく、社交的で、そしてよく笑う女の子だった。
アイツがちひろに惹かれていったのも、まあ無理もない話だと思う。ちひろの良さは私が1番知っていたし、そんなちひろのことが、私も大好きだったのだから。
高校生の時、3人でクリスマスを祝ったことがある。祝うといっても、折り紙で作ったオーナメントを飾り付けた教室で、近所のコンビニで買ったケーキを食べるくらいの簡単なものだ。思えば、アイツはこの時も浮かれた赤色のサンタ衣装を着ていたっけ。ちひろがアイツのひげをしきりにもしゃもしゃさせて、ずっと楽しそうにしていたことは覚えている。
そう、クリスマスは嫌な思い出ばかりではなかったはずなのだ。家族や友人と遊んだ思い出や、――苦い思い出も含めて、決して忘れてしまいたくなるようなものではなかった。
――あの日、日本に「青い雪」が降り注ぐまでは。
喧噪を掻き分け、ただひたむきに目的地へと向かう。
今日私は、私の――私だけの目的を果たすために、動く。
9日目:ちえさん
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