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COVID-19

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2020年11月の記事一覧

COVID-19ワクチンその7 ファイザー/バイオンテック

BioNTech/Pfizer - mRNA
ファイザーは米国政府との間で19億5000万ドルの販売契約を締結し、最大1億用量のワクチンを無料で供給しているが、ワクチン開発のための資金は得ておらず、臨床試験の調整やモニタリングのためのリソースも共有していないのが特徴である。

さらに、ファイザーは、CDCとの間でワクチンの配布をサポートするための既存の契約を結んでいるMcKesson Corpor

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COVID-19ワクチンその6 アストラゼネカ

アストラゼネカ - アデノウイルス
アストラゼネカ社のワクチンAZD1222は、非複製チンパンジーアデノウイルスプラットフォームを使用して、スパイクタンパク質の野生型を発現させる(安定化変異を含まない)ワクチンである。ウイルスベースのワクチンプラットフォームは、抗原を産生するために宿主細胞に感染する前に、免疫系がウイルスをクリアしてしまうリスクがある。チンパンジーアデノウイルスの使用は、患者の免疫

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COVID-19ワクチンその5 現在進行中の研究

ワクチン関連の話その5

米国での第3相臨床試験
現在,4つのワクチン候補(Moderna、BioNTech/Pfizer、Johnson & Johnson、AstraZeneca)が米国で第3相試験を開始しており、5つ目のワクチン候補(Novavax)が11月下旬に発売される予定とのことである(Novavaxは英国で既に第3相試験を開始している)。

候補のうち2つ(ModernaとBioNT

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COVID-19ワクチンその3 ワクチン戦略

ワクチン戦略

SARS-CoV-2に対するワクチンの製造には様々なアプローチがあり,ワクチンのターゲットとして5つのアプローチが米国で第3相試験を開始している.現在候補となっているものはすべて、SARS-CoV-2スパイクタンパクを抗原として利用している。SARS-CoV-2スパイク蛋白は、SARSの原因となる近縁のウイルスSARS-CoVのスパイク蛋白質と非常によく似ている。このため、ワクチン

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COVID-19ワクチン その2 ワープスピード作戦

ワープスピード作戦とは?
通常、医薬品やワクチンが基礎研究から診療所で使用されるまでには数年の時間がかかる。かなりの投資が必要である.

前臨床試験(基礎研究)では、ターゲットとワクチン戦略を特定する。
第1相試験では、比較的少数の健康な参加者を対象に最高耐容量を決定することを目的としており、数ヶ月かかる。
第2相試験では、最大で数百人の参加者が登録され、短期的な副作用やワクチンに対する免疫反応を

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COVID-19ワクチン

最近ファイザー+BNTX,モデルナのワクチンがFDAに緊急使用申請をしているのでその辺の話をまとめてみる.

SARS-CoV-2ワクチンの製造・流通に向けた取り組みは目覚ましい速さですすんだ.実に2月のアウトブレイクから9か月で緊急申請まで言っている.エボラのウイルスが未だ開発途上であることを考えるとこれは異例である.現在、世界中で180種類以上のSARS-CoV-2ワクチン候補が開発されている

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