Spetsnaz サロン 第41夜

第41夜　「本当のスマートパチスロと人生の無駄と成長について」

馬券を買うならフォーメーション派。人生も仕事も無駄を省いて生きてきた。そんな私が堅い浦和7RでBOX買いをしたのは、何を隠そう馬券を当てたいからであった。
なけなしの3,000円が減ってもいい、ただ当てたい、ギャンブルで払い戻しを得る高揚感が欲しい。それだけの思いで12頭中4頭を選び、盤石を期してワイドBOXにした。もはや的中は当然。馬券の焦点は、3点的中か1点的中かに絞られたが、馬券はそうなることがまるで与党の政策で決まっていたかのように外れた。
私が選んだ馬たちは6.7.8.12着の掲示板外に沈み、競馬における最大のクライマックス、4コーナーから直線の気持ちの高ぶりすらも私に与えてはくれなかった。的中必須の馬券故に、その中には競馬の歴史上最も勝っていると高名な1番人気様も当然選出していたが、自民党の政策によってこのレースの1番人気様はドベだった。少なくとも私にとっては、シンザン記念、同様に1番人気で最下位となったクファシルとはレベルの違う最下位だ。無論彼が馬券内に来たところで馬券は的中していないが、たまたま購入したレースの1番人気が最下位になるという事案は、運命が、世界が、自民党が、この私をいじめていると私に思わせるには十分な事案だった。
こうして私の3,000円はなくなった。給料日までのタバコ代にと、嫁がくれたお金だった。私は心に誓った。もうギャンブルはするまいと。

 

翌々日。パチンコ屋の並びはゆうに500人はいた。
抽選を受けるのは何年ぶりだろうか。私は希望に心をときめかせていた。狙い台は巷で話題のスマスロ革命機ヴァルヴレイブ。インターネットによると、めちゃくちゃ出るらしいので取れたら勝ち確定だったのだが、抽選番号は惜しくも500番台だった。
まあ、抽選などは自民党による操作が行われているのは明らかなので、そんなことで騒いだりはしない。工面した金は40,000円。スマスロを擦るにはちょっと心許ないとは思っていたので構わない。
プロっぽくて何か嫌だなあとか思いながらも狙いをチバリヨのリセット狙いに切り替え、粛々と入店して、Ｐとある科学の超電磁砲に着席。私が入店した頃にはチバリヨは下品なハイエナどもに食い散らかされた後であったからだ。名古屋はレベルが高いなあと感心する。
嘆いてもしかたがないので、2022年個人的神台であるＰとある科学の超電磁砲に5,000円を投入し、8回/1Kなのを確認してヤメ。今の釘調整規制の中で、逆にここまで回らなくできるのは神の技術だ。形には残らないかもしれないが、現代のオーパーツといって差し支えないだろう。この技術は是非とも後世まで伝えてもらいたい。それがわかっただけで5,000円は損失ではなく、投資だ。すべては人類の未来のため。

開店から僅か30分後にもかかわらず、フラフラとスロットの島を徘徊する羽目になってしまった。非常にまずい流れである。ただ私にもプライドはある。スロットの島でいわゆる「勝っているジグマプロ」の様相で徘徊をしていると、まだ朝一台のスロット犬夜叉が残っているのを発見した。なんならまだ数台空いている。私の記憶が確かならば、犬夜叉は低迷著しかったパチスロ業界の救世主（メシア）、斬新なシステムで6.5号機の可能性を世に知らしめた、超絶大人気機種であったはず。これは打たないのは嘘だと着席したが、たった3時間半で残金35,000円全て飲まれてオケラになった。35,000円の間、100枚くらいの黒いシコボーナスとやらを数回引いたが、何かが起こる気配もなかった。なんだこの化け物台は。私の記憶が確かならば、インターネットでは万枚続出だなんだと騒いでいたはずだ。こんなはずはないと、改めてインターネットを調べると、インターネットでは「犬夜叉　出来レ」「犬夜叉　一生出ない」「犬夜叉　もういい」というフレーズで溢れている。私が2022年、個人的神台であるＰとある科学の超電磁砲ばかり打っている間に世の評価は一変していたようだ。後にわかったのだが、黒いシコボーナスはスルー天井があり、規定回数ATに入らなければ最大でも8回までにATに突入する仕様とのこと。あまつさえ、リセットされていれば早い回数が選ばれがちとのこと。有り金を全て飲まれた私はそれを知っていたとて成す術はなかったのだが、私がヤメた後に若者がすぐに台をハイエナしたのを見て、思わずインターネットで調べてしまった。さりとて彼の事を恨むまい。私も彼くらいの年齢の時、私くらいの年齢の無知な客の残した甘い汁を、彼のように貪り啜った経験があるからだ。因果応報、せいぜい小銭を拾うがよい若者よ。一つだけお願いを許して貰えるなら、35,000円を返して欲しいのだが、その願いをすることすらも許されない場所、それがパチンコ屋である。私も伊達に長年パチンコ屋に通っていたわけではない。そこはわかっているつもりだ（わかっている男の顔で）。

 

いよいよ金がない状況になったが、正直我慢ができない。シンプルにいうならば、もっと打ちたい。

私は誘っていないのに集まりがあると「集まり？俺もいく俺もいく」と必ずやってきては、ただいるだけで最後まで帰らない陰キャの小学3年生のように、いても仕方のないパチンコ屋で帰るわけでもなくただ滞在していた。これを書いている今だからわかるのは、完全に常軌を逸してる。ものすごくかわいそうだ。
何をするでもなく、1時間くらい経っただろうか。私の目の前で革命機ヴァルヴレイブが唐突に空席になった。私は金もないのに反射的に台を確保してから、すぐさま嫁に電話をした。スマスロを確保できたという報告ではない。月に一度だけ使用が許された、最終奥義「緊急時金無心」の発動である。今月は半ばにして、これで3回目の使用だ。今回は「突然接待カード」を切った。楽天銀行に支給された額は60,000円。思ったよりあったが、流れを読んだ私は「あと1万カード」を追加で切る。私はわかっている。スマスロを舐めてはいけない。隠していたわけではないが、私は先週もこのスマスロ革命機ヴァルヴレイブを打って何かが起こる気配もなく5万負けている。私はわかっている。スマスロを舐めてはいけない。ATMで計70,000円をおろし、昂る気持ちを感じた。これ以上の敗北は体（家計）が持たない。これぞギャンブルだ。

薄々分かってはいたが、たった3時間半で40,000円飲まれて瀕死になった。40,000円の間、何かが起こる気配もなかった。隠していたわけではないが、私は先週もこのスマスロ革命機ヴァルヴレイブを打って何かが起こる気配もなく5万負けている。なんだこの化け物台は。犬夜叉の件もあり、ヤメる前に私は一応インターネットで調べたところ、「ヴァルヴレイブ　ミミズ」というフレーズで溢れている。皆まで言うまい。唐突に空いた台、いつまで経ってもない気配。すべてが物語っていたのに、私は40,000円を使ってから気づいたのだ。養分は私。そこはわかっているつもりだ（わかっている男の顔で）。

 満身創痍、もう失ったお金を戻す気すらなかった。とにかくこれ以上投資を増やしたくない。それだけの思いで私はサミークラシックの真骨頂パチスロハードボイルドに着席した。同じ轍は踏まない。もちろんしっかりとインターネットで調べてからである。ボーナス確率は1でも合算1/188。こんなのはもうほぼジャグラーだ。加えて首尾よくいけば1000～2000枚くらい出玉なら狙える。私は当日2000GでB 0 R 7の完全なる設定1、加えて狂ったレベルのバケ先行台に着席。既にマイナス2000枚近い状態にあるこの台ではねっ返りを狙う。ほぼジャグラーのこの台が設定1とは言えマイナス3000枚を超えるようなことがあってはいけない。私の経験上、100％の確率ではねっ返りがある。理論的ではないかもしれない。ただギャンブルは理論だけでは語れない。ある場面では情熱と衝動も必要だ。残金は30,000円。ほぼジャグラーであることを鑑みればここからゼロになることはないし、なんなら4万くらいは戻せる。私は昂る気持ちを感じた。着席から2G。全消灯とともにリプレイが揃う。シューティングチャレンジという演出がリーチ目を狙えと私を煽る。事前調査に抜かりの無かった私はわかっている。リプレイごときでこの演出が起きるということは、すなわち超アツであるということ。そしてこれが設定差が顕著なリプレイ重複のボーナス濃厚であること。ともすればこの台、高設定まである。私はスマートに白7を揃え、「これが本当のスマートパチスロだよ、バカやろう」と独り言ちた。

そこからたった4時間で29,000円飲まれた。先述のビッグボーナスはATにつながり、それが3セット継続という僥倖を授かるも、次のボーナスは天井（通常1000Gで強制発動）。なお、引いたビッグ2回はともにJACインハズシを豪快にミスしている。私が得ることができたメダルは本来300枚の獲得枚数を大幅に下回る200枚強であった。賞味1500Gほど回して自力で引いたボーナスは開始2Gで引いた白7のみで前任者と合わせるとB 2　R 7（約4300G）。こんなのはもうほぼミリオンゴッドだ。

 

私はこの日、ギャンブル人生で初めて帰りの電車賃の心配をした。手元に1,000円を残したのである。かつての私なら、使い切っていただろう。これが成長というものだ。成長はしたけど、私は11万負けた。隠していたわけではないが、私は先週もこの店で10万負けている。馬券を買うならフォーメーション派。人生も仕事も無駄を省いて生きてきた。ギャンブルで全てを無駄にしていて、成長もクソもないだろうと。私は心に誓った。もうギャンブルはするまいと。

 

追伸

船橋の鉄板あればDMください。