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ケイバの壁

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2022年4月の記事一覧

「バカの壁」(目次)を読む

 本を書きたいと思って、調べていていくうちに、どうやら「平成」でもっとも売れた新書は、『バカの壁』(新潮新書、2003)であることを知った。 450万部も売れたそうだ。物書きだけで食べていける人は日本で100人いないらしい。50人程度だと聞いたことがある(取材、広告、マンガ・舞台・TVドラマ・映画化などの副収入は除く)。浅田次郎先生や養老孟司先生、村上春樹先生(クラス)ほか、有名推理・ラノベ・時代劇・(人間)物語シリーズの有名作家さんになってようやく一人前に食べていけると伺っ

ケイバの壁:まえがき

 この本(筆者注:暫定)は私が普段から感じている馬や競馬社会の出来事、とりわけ「違和感」を文章化したものです。私は2006年から競馬の学術研究をはじめました。きっかけはディープインパクトの天皇賞(春)と凱旋門賞出走をとおして日本の大衆競馬環境に多くの疑問を持ったからです。なぜ競馬という「ギャンブル」の中に道徳的な存在とされている天皇による「天皇賞」が存在するのか。また、なぜフランスの凱旋門賞で日本の競馬ファンによるマナーの悪さがヨーロッパ中で批判の的とされたのか。当時、不思議

よく分からない日本の競馬文化

 諸外国から見た日本競馬は本当に謎だらけです。中国やロシアからの留学生が私に言いました。なぜ日本ではこんなに競馬が流行っているのですか。非常にビックリさせられました。それもそのはず・・・。  国内を見渡せば、スポーツ新聞、キオスク、電車内の広告、競馬のテレビCM、ウインズ・エクセル(場外馬券売り場)、競馬場内における大観衆(テレビ画面においても)、ウマ女(という謎の用語)、公園施設や博物館の併設、競走馬のぬいぐるみ、出走馬のボールペンやストラップ、おみやげ販売、(不足しがち

日本在来馬と大河ドラマ

 読者の皆さまがイメージする馬とは一体どのような馬(特に見た目)を指すのでしょうか。これからごく当たり前のことをお話します。現在の大河ドラマ(日本のNHK、韓国ドラマの馬医、中国ドラマの三国志など)で見られるような馬(「サラブレッド」)は昔から居たと思いますか。少なくとも世界的には17世紀までいなかった。というより、生産・改良することができなかったのです。またそのような観念や技術もありませんでした。発展した契機は「競馬」というジェントルマンたちによる娯楽の飛躍にあります。それ

日本競馬史は後からできた

 これから『日本競馬史』第1巻の「発刊のことば」を紹介していきます。ちょっと変なところがあるのでその部分は太字にします。では、参りましょうか。 ※ ここがツッコミどころだ!! ①日本競馬会(1936-1948)の時代から計画された。 → 遅っ! ②たまたま昭和39年(1964)、本会(筆者注:日本中央競馬会のこと)の創立10周年。その記念事業の1つとして・・・ → たまたま、1964年。あれから数10年。やっぱり遅っ! ③従来馬事に関する歴史書としては、日本馬政史

ケイバの壁(#6名馬編①顕彰馬)

名馬の基準として最も分かりやすい指標は「競馬の殿堂」(顕彰馬)である。 次いで、年度代表馬(JRA賞)が一般的なものであろう。 今回は顕彰馬について考えてみたい。 「競馬の殿堂」は1984年に設置(制定)された。 これまで顕彰馬は34頭が選出されている(2022年4月現在)。 今年の選考(投票)結果は6月上旬に出る予定であり、アーモンドアイが選出される見込みである(追記:なんと落選!!笑)。 では、歴代の顕彰馬を見ていくことにしよう。 ■競馬の殿堂(JRA顕彰馬