見出し画像

『Online♥Reading「百合と薔薇」Vol.01』2日目【ステージレポート】

Sparkle：舞台俳優グラビア＆インタビューマガジン

数多くのドラマ・舞台を手掛けてきた演出：堤 幸彦×脚本：川尻恵太のタッグで、同性同士の恋をテーマに誰しもが共感し、応援したくなるピュアな恋を描くオリジナル朗読劇「百合と薔薇」。
2019年に舞台で上演された本作が、2日に渡り初のオンライン無観客配信を実施した。
リモート朗読劇ならではの超絶技巧も交えながら、最先端のエンターテイメントを届けてくれた本作の2日目には、北園 涼、佐藤流司、小西詠斗、池田鉄洋が出演した。

多くの出演者が「喉が大変なことに」と語る本作では、語り、言い合い、叫ぶシーンなど、とにかく喉を使うシーンが多い。
2日目でヒカルを演じた北園も「喉がはち切れるかと思いました」と、五所川原役の池田とアフタートークで互いを激励していた。

北園が演じたヒカルは最初は少し不愛想な部分もあるが、だんだんと砕けていき、本来持つお茶目さや優しい人間性を垣間見せていったのが印象的。
真面目さだけでなく、実はこんな面もあるのだという多面性を時間経過と共に知ることができるのは、すごく魅力的だった。
その部分は本人も大事に演じたポイントのようで、「アキラとユウキと過ごしていく内に周りの環境に馴染んでいって、解れていく感じを出していきました」と公演終了後の囲み取材で語っている。

堤監督から「完璧だった」と評された佐藤だが、自分自身では反省点も多かったようで「今まで演じたことのない役で、5本の指に入るくらい難しかった。そして改めて朗読劇の奥深さと難しさに気付かされた公演だったと思います」と振り返った。
佐藤が演じるアキラは少しやんちゃで、とにかく気持ちが全面に出ていたのが印象的。テンションがあがると幼さを感じる一面もあり、感情の上下が大きいキャラクター性を見事に演じきった。
そんな佐藤はアキラを演じるにあたり、「観ているお客様に対して、きっとこの4キャラクターの中でアキラに一番感情移入していただかないと、最後の感動する場面でお客様の感情のボルテージを持っていけないなと思っていたんです。だからこそ、お客様が入り込みやすい人物像でなければいけないかなと思いました」と、役作りについて語った。

人気俳優・ユウキを演じた小西は「最初は暗くて全然誰にも心を開いていない、全然笑わないようなところからスタートして。そこから時間が経っていくうちにどんどん打ち解けていって心を開いて明るくなっていくことを意識して、最後には感情的になるような役作りをしました」と振り返り、少しヒカル先生に似ているところもあるんですかね、と嬉しそうに話していた。

Day1でもそうだったが、本作はとにかくアドリブシーンが多い。
堤監督からの要望がたくさんあったと語る役者陣にリハーサルでのエピソードを聞いてみると、
「読み合わせを進めるたびに要望が増えていった。そういうことに挑戦できるのが面白かったし、勉強になりました。もっと応用の効く自分にならなきゃなって思いましたね」と北園。
佐藤は「台本上のセリフが砕けた口語、ワードが多くて。アドリブなのか台本なのか分かりづらい部分が、お客様が観ていても多々あると思うんです。だからこそ、ここではアドリブを入れすぎるとよくないかなとか、逆にアドリブを入れた方がさらに面白くなるな、とか場当たり（きっかけ等の確認稽古）をしながら詰めていきました」と、時間が少ない中でも綿密にアドリブを含めた演技プランを練っていたことが伺える。

監督の提案にどんどん応えようとする北園は、普段あまり見ることのないハイテンションさや、リアクションに挑戦していたし、佐藤は小西演じるユウキへの“いじり”を急遽入れたりと、アドリブの差し込み方はさまざまである。
そんな先輩からのアドリブに小西は「プチパニックでした！」と振り返りながらも、「アドリブを入れられる余裕がなかなか無かったけど、とても楽しかったです」とニッコリ。

そしてなんと言ってもこのアドリブの多い本作で要の存在を担うのは、池田演じる五所川原やサブキャラクターたちである。
冒頭でページが分からなくなってしまうというトラブルに見舞われつつも、笑いに変えて乗り切る姿はさすがである。

監督からの提案だという小ネタが満載で、池田が演じる居酒屋の店員役で被るカツラは現在金髪の佐藤のヘアスタイルに寄せて準備したそう。ことあるごとに「佐藤の髪」と口にする池田に、北園も佐藤も笑いを堪えられないシーンも。
佐藤自身、「本番を迎える前に笑いの耐性をつけるのが俺の最大の試練だったかも。結局1カ所完全に笑っちゃったんですけど（笑）」と話している。
それは池田がとあるモノマネをするシーンなのだが、抱腹絶倒間違いなしなので、ぜひ観てほしい。

事後レポDAY2別

朗読劇は一見、舞台やドラマとは違い、座って台本を読みながら演じるという部分で負担が少ないような印象を抱かれることもあるかもしれない、と佐藤は言う。
実際に佐藤自身も朗読劇に挑戦するまではそういったイメージを持っていたようだが、決してそうではなかったと語る。
やればやるほど朗読劇ならではの難しさ、面白さを発見でき、役者として勉強になる公演だったと振り返った。

朗読劇初挑戦となった小西は「ただただ楽しかった。思い返すとこうしたかったと思ったり、間違えてしまったことへの悔しい思いも残ってるから、もう1回やり直したいと思ってます」と、最大限に作品を楽しみながらも、リベンジを誓った。

最後に北園は「リモートならではのシーンがいくつかありますので、そういうところも魅力の一つかなと思います。1回きりというのがもったいないなと感じるくらい楽しかった公演ですし、すごく特別感があると思うので、是非楽しんでご覧ください！」と締めくくった。

『Online ♥ Reading「百合と薔薇」Vol.01』配信情報

2020年6月20日（土）Day1
https://abema.tv/channels/payperview-2/slots/Aku8Gtuj4CK6wq
2020年6月21日（日）Day2
https://abema.tv/channels/payperview-2/slots/AREWUAUnyf6vMV
※本配信は、ABEMAの「PayPerView」機能にて、各公演500ABEMAコイン（税込600円相当）。配信終了後も 6月28日（日）までタイムシフトで楽しむことが可能。

テキスト：田中莉奈

©︎AbemaTV,Inc.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？