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リーディングシアター「緋色の研究」3日目【ステージレポート】

文化放送インターネットラジオ「超!A&G+」で放送中の朝のワイド番組「あさステ!」のパーソナリティである有澤樟太郎、松村龍之介、矢崎 広、東啓介、染谷俊之がゲストと共に立ち上げる朗読劇「緋色の研究」が、今月17日からスタート。

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3日目は染谷俊之×佐藤流司がシャーロック・ホームズとワトソンを演じた。
「御茶ノ水ロック」で兄弟役を演じた2人が、絶妙なコンビネーションを見せてくれた。
連日違う役者が演じる同作品を観る楽しさを知った今回、ありがたいことにまたもや全く違う角度から攻めた「緋色の研究」に出会うことができた。

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佐藤演じるホームズは、いたずらっ子で猫のように気まぐれ。軽快な言葉運びで語られる推理はしかしどこまでも論理的で正確なのが特徴だ。
終始笑顔を浮かべて表情が豊かなホームズだが、その笑顔が真顔になる瞬間の温度差にゾクッとさせられる。そこで時折、物事を全て見透かすような目をするのだ。
そうかと思えば可愛らしい動きをして戯けて見せたりと、自由で掴みどころがない。
演出の毛利氏が「今までで一番新しくて斬新なホームズ」と言ったのも頷ける、見たこともないホームズがここに誕生したのは言うまでもないだろう。

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佐藤曰く、台本を読んだ時に“クールで頭がいいキャラクター”という印象を自分が受けた為に、そのイメージを崩したくなったそうだ。
2.5次元作品と違い、この作品におけるキャラクターに決定的なものは存在しない。決まった設定、人柄がないからこそ、自分が思う“天才・ホームズ”を演じたのだという。
染谷も稽古で佐藤のホームズを見たときは驚いたと発言している。

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そしてホームズの相棒・ワトソンを演じたのは染谷俊之。
クセの強いホームズという男に興味を持ち、少しずつ距離を縮めていく役どころとして一番違和感が無いキャラクター像を体現し、観た瞬間スッと心に入ってくるようなワトソンだと感じた。
というのも、染谷の演じるワトソンは観客側の視点に近いと感じられたのだ。
最初は単純な興味でホームズと接し、だんだんと好奇心を持って質問攻めにするも、予想もしない言葉ばかり返ってきては驚いたり呆れたりするワトソン。メインキャラクターでありながらも観客をこの世界に誘うストーリーテラーとしての役割もしっかり果たしてくれていたように思う。

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毎公演のことながら、今回もそれぞれが演じるサブキャラクターの登場が楽しい。
声の出し方を瞬時に変えるのが上手い染谷。1回だけ行われたという稽古時には、15キャラクターほど用意したというのだから驚きだ。1年分くらいの声を使い分けたという染谷の演技にもぜひ注目してほしい。
そして、とある女性役を2人が演じるシーンがあるのだが、これがまた面白い。
「声の出し方こんな感じ?」と女性の声を出すのに苦労する染谷に、「うーん、もうちょっと。頑張れ、もうちょっとだ」と佐藤がなかなかGOを出さないという、2人の自由なアドリブも。

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今回とても印象的だったのは、本を読みながら進行する朗読劇でありながら、2人が何度も視線を交わしていたことだ。一つ一つお互いに確認しながら演技しているのが伝わってきた。
だからこそ、呼吸や会話劇でのやり取りに一切の乱れがないし、テンポもいい。
立ち上がったり動く場面も多かったからか、とても舞台に近い朗読劇だとも感じた。
そのことは、声を聞きながら想像力を働かせていく朗読劇に、“観る楽しさ”も与えてくれた。

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無観客ではありながら、実際に劇場で演じていること、それ自体を意識している姿は、本誌『Sparkle vol.40』で語っていただいた「後ろの方、2階席にいるお客様にどう届けるかを考える」という佐藤自身の言葉にもあるように、劇場で演じている姿を画面の向こうにどう届けていくかという気概を感じた。
無観客だったが緊張したという言葉も、もしかしたらそういう思いからくるものだったのかもしれない。

そして同誌で染谷が口にしていた“人間力”。まさしくこれまで演劇のみに留まらず、さまざまな場所であらゆる役を演じてきた彼だからこそ、いくつものキャラクターの演じ分けをやってのけたのだと感じた。
声を変えることはもちろんだが、多くの経験からにじみ出る、役者それぞれがまとうオーラがある。
染谷の持つその“オーラ”に圧倒されるところが、多分にあった。

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また、今回2人で朗読劇をやってみて佐藤は「逆もできたら面白いかなって。絶対またお互い想像もつかないのが来るだろうから」と発言。確かに!と佐藤に賛同しつつ、「でも今回、本当はもっと絡みたかったな」と染谷。
ソーシャルディスタンスを保たねばならなかったため、出演者同士の接触は出来なかった今回。佐藤も「俺も絡みに行きたかったな」とこぼした。

しかし染谷は、でも……と口にし、「これはずっとじゃないから。今も演劇本来の形を取り戻しつつあるし、いつかお客様に直接届けられる日を楽しみにしたいね」と力強く言ってくれた。
その言葉を受けた佐藤は「お客様の網膜に焼き付けていただく時が来るから」と言い、客席を眺めた。
佐藤から飛び出した“網膜”という単語に驚いた染谷が「も、網膜ね……うん(笑)」と“虫を食べたような顔”で反応し、2人で爆笑しながら3日目の幕が閉じた。

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4日目は東 啓介と橋本祥平のペア。舞台『刀剣乱舞』ぶりの共演となる2人が演じるホームズとワトソンもまた、これまでと全く異なるものとなるのだろう。

文化放送 超!A&G+『あさステ!』スペシャル
リーディングシアター「緋色の研究」

原作:アーサー・コナン・ドイル
脚本・演出:毛利亘宏(少年社中)
日程・出演者:2020年6月17日(水)~21日(日) 全5ステージ
6月17日(水)19:00 松村龍之介×鈴木勝吾
18日(木)19:00 有澤樟太郎×鈴木拡樹
19日(金)19:00 染谷俊之×佐藤流司
20日(土)18:00 東 啓介×橋本祥平
21日(日)18:00 矢崎 広×相葉裕樹
※上演時間は休憩を挟み、約1時間50分程度を予定しております。
内訳:第一幕 約55分 休憩 10分 第二幕 約25分
アフタートーク 約20分(予定)
配信チケット:ニコニコチャンネル「あさステ!チャンネル」にて期間限定有料配信(4,500 円(税込))
「あさステ!チャンネル」放送日時・出演者:
6月29日(月)21:00 有澤樟太郎×鈴木拡樹
30日(火)21:00 松村龍之介×鈴木勝吾
7月1日(水)21:00 矢崎 広×相葉裕樹
2日(木)21:00 東啓介×橋本祥平
3日(金)21:00 染谷俊之×佐藤流司
※ 「あさステ!」各曜日毎のレギュラー放送(20:00~)の後、放送(配信)されます。タイムシフト視聴もできます。
※ 「あさステ!チャンネル」会員の方は特別価格(3,500円(税込))で視聴できます。また会員の方は各出演者によるおまけコーナーも視聴できます。
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写真:金丸 圭
テキスト:田中莉奈

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