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たくさんの「夢ぞろぞろ」2021

2021/2/23、久しぶりの下北沢へ。
2/19〜2/28シアター711にて上演の「夢ぞろぞろ」の観劇。

再演ですが、飽きない作品。とにかく登場人物のおばちゃん(夢子さん)がお茶目でかわいい。(羨ましい!!)
青年(夏目くん)の迷いや苦悩に共感してしまう。



ある日突然会社に行けなくなった青年と、駅のおばちゃんの物語。
売店が回るたびに、過去と現在が交錯するーーー。




始まり

2年ぶりにシアター711に向かう。懐かしい道!
あの場所に売店のおばちゃんと青年がいる。

劇場へ繋がる薄暗い階段を上がる。
そうだ、この感覚。かくれんぼをで鬼に見つからないように息を潜めていたときのような緊張感。

最前席に座る。久しぶりにきたからか、「こんなに近かったっけ?」と客席の近さに驚く。

懐かしい売店を見ると、涙がこみ上げてきた。
心臓の音が強くなる。この感情って何だっけ?
そうだ。初めて告白したときの憧れの人に会える喜びと、ちょっとだけ怖い気持ち。
それと同時に当時の思い出も蘇る。ぞろぞろと。それと同時に関係のない、忘れてしまっていた出来事も蘇る。
感情って不思議。たくさんの出来事を連れてくる。

開演直前のお知らせ(お願い)も面白い。今回は換気も途中であるらしい。書いていなかったけど休憩があるのかな?
きっと毎回違うのだろう。何度も観る人はこの違いも楽しめるのか、と羨ましくなった。
小沢さんと売店のおばちゃんの夢子さんが半分ずつ混ざっているように感じた。開演の実感が湧いた。
いよいよだ、75分の幕が上がる。


開幕

耳をつんざくような音から始まる。初演時は気づかなかったけれど、これは夏目くんが聞いている電車の音ではないだろうか。
私たちには聞こえていない、耳を塞ぎたくなるような音。
音の合間、一筋の光とともに照らされる青年、夏目くん。

目に止まった売店に立ち寄るところから物語は始まる。夢子さんとのテンポの良いセリフの応酬が続く。
そして、売店が周り物語は過去へ。
学生時代を振り返り、懐かしい気持ちになる。当時の記憶が一気に押し寄せる。

掃除の時に流れていた、Greeeenのキセキと愛唄。
部活終わりの窓から見える夕焼け。
友達に貸したら、落書きだらけで戻ってきた英語の教科書。
通学路で好きな先生の車のナンバーを見つけた喜び。


それらはすぐに去っていき、磯村くん(夢子さんの学生時代の同級生)と夢子ちゃんの物語へ。
時々笑ってしまう、磯村くんの熱弁。言い方がコロコロと変わり、目を瞑って聞いたら別の人が話しているような表現。
こんな人がいてくれたらな、と思う。
いつも笑わせてくれて、どんな小さな悩みにも耳を傾けて励ましてくれる。
と言っても実際にはいないから、自分の中に作ってしまえばいいのかも?と考える。

気弱な自分が、大雑把な自分に相談する。あえて声に出して、一人二役。
都合がいいことに一人暮らしだし、何を話しても誰にも聞こえない。(あれ、変な人?)
そんな考えが一瞬浮かんだ。


中盤に差しかかると前回にはなかった演出、絶妙なタイミングで行われる換気タイム。
最初にアナウンスがあったので、てっきり休憩があると思っていたら・・・
上演中に始まった。こんな状況さえもポップに表現してしまう。
発想が凄すぎる・・・

この後に一瞬出てくる田中さん同士のやりとりも面白い。田中(穂先)さんが、(田中)夢子さんと話すシーン。
天気の良い午後に近所で話していたおばちゃん達を思い出す。元気でいるだろうか。


後半は題名にも入っている「夢」について展開される。
初演の時も考えていた、当時の夢を思い出す。

叶えられていない夢。叶った夢。叶いそうな夢。それらが全て愛おしい。
感情も同時に蘇る。
苦しめられた時期もあったけれど、この作品に出会って肩の荷が下りた。
2020年の上半期も支えられた。多分これからもずっと支えられていくはず。


そして、ラストシーンはいつも(2回目だけど!)息を止めてしまう。同じ経験をしたことはないけれど、あの一瞬はきっと夢子さんの中で永遠に存在している。
私も、夢子さんが持っている気持ちを抱えて生きている。
否定されたこともあるけれど、おばあちゃんになってもこの感情は忘れられないし忘れたくないはず。

温かい気持ちのままに暗転する照明。再び明転する間、さらに涙が溢れる。
その一瞬で75分を一気に振り返ってしまうからだろう。


終わりに

また彼ら(彼女たち)に会えるだろうか。
2年前と違い、今回はお見送りしてくれた夢子さんと写真が撮れなかった。
夢子ちゃんと同じようなことを経験した過去があって、「なぜあんなことをしてしまったんだろう」と後悔してしまったから。
夢子ちゃんのように。急に恥ずかしくなって怖くなってしまったから。

次こそは...。




次か...


自分がどんな環境で働いているか想像する。どんな人と繋がっているだろう?
思わず笑みが溢れる。
きっとこれからもいろんな出来事があるけれど、それら全部おばあちゃんになった時に笑って話がしたい。
夢子さんのようなおばあちゃんになるのが、夢の一つになりました。

だから、年を重ねていくのも楽しみです。


長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございました。


小沢道成さんの公演情報
http://epochman.com/index.html/


公式YouTube(夢子さんが除菌を楽しそうにしているメイキングも!かわいい!)
https://www.youtube.com/channel/UC1LpODcFfJV8d8Sd4_qjh-A

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