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the verve の歴史


the verve (ザ・ヴァーヴ)

彼らとの出合いは、ふと手に取った1枚のアルバム"A STORM IN HEAVEN"からです。the verveのフロントマン、 Richard Ashcroft(リチャード・アシュクロフト) ほど苦悩や悲しみといった言葉が似合うアーティストはいないかも知れません。 同時期にデビューしたoasisが、陽であれば、the verve はとことん陰で、また当時サイケデリックな要素をUK風にアレンジし 一世を風靡していたKula:Shakerとも異なるサウンドは、内省的でサイケデリックな要素を織り交ぜながらも、どこか壮大で、 奮い立つ心の鼓動を抑えずにはいられない、そんな印象を与えます。
全英を救った"URBAN HYMNS"を世に生み出した the verve ... 彼らは2度の解散という珍しい経歴を持ちます。

※のちにもう一度解散して、計3度の解散をしています。

the verve は、"VERVE"として、1989年に結成されます。当時のメンバーは、Richard Ashcroft、Nick McCabe、Simon Jones、Pete Salisbury です。 何枚かのシングルや"THE VERVE EP"をリリース後、当時話題になった映画「硝子の塔」のサントラにも"Star Sail"で参加します(1993年)。 アルバム"A STORM IN HEAVEN"が発売されたのは、同じく1993年の6月です。

ところで、"VERVE"という名前ですが、実は、ジャズの老舗レーベルとしてJAZZマニアを唸らせるという"VERVE"レーベルと同じというこで、"VERVE"は訴えられます。しかも裁判に負けてしまい、慰謝料を払う羽目になりました。そのような経緯もあって、バンド名は "THE VERVE"へと変更になります。

ちょうどこの頃からoasisとの関係も親密になり、Noel GallagherがLIVEでゲスト参加したり、1995年に発売されたアルバム"A NORTHERN SOUL"には Liam Gallagherが参加しています。

ちなみにthe verveの出身であるWiganは、ManchesterとLiverpoolのちょうど中間あたりに位置する都市 で、そういった地理的な意味からもoasisと仲が良かったのではないかと思います。

the verve は先の"A NORTHERN SOUL"の後、バンド内の不仲が原因で、Richard を初めとして他のメンバーも次々と脱退表明し、バンドは解散状態と なってしまいます。"A NORTHERN SOUL"は、TOP10にすら入ることすらありませんでしたが、このアルバムの充実度は メンバー内でも非常に高く、後のRichard Ashcroftのインタビュー等でも、"URBAN HYMNS"よりもこの"A NORTHERN SOUL"に収録されている 楽曲に対するコメントの方が多いほどです。

このようなゴタゴタ騒ぎが続いていた頃、oasis は1995年10月、世界的に大ヒットを飛ばした"(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?"を発売します。 このアルバムに収録されている"Cast No Shadow"は、Noel Gallagher が Richard Ashcroft に対して作った曲で、ブックレットのクレジットにも、 "Cast No Shadow is dedicated to the genius of Richard Ashcroft"とクレジットされています。

この影響がどれほどあったかについては当の2人しかわからないことかも知れませんが、とにかくthe verve は復活に向けて着々と活動を再開します。 まず、Simon Tong が加入し、Richard との確執の強かった Nick McCabe 以外のメンバーも揃いレコーディングを再開します。

当時Nickの代わりとして、 ex.SuedeのBernard Butler (当時、McALMONT & BUTLER のユニットで活動していた、Suede が生んだ、90年代が生んだ名ギタリスト) にも接触しましたが、 結局、Richard が懇願する形で、Nick McCabe が復活します。

こうして5人になった the verve は、1997年"URBAN HYMNS"で大復活を遂げます。このアルバムの リードシングルとして発売された"BITTER SWEET SYMPHONY"、"THE DRUGS DON'T WORK"は空前の大ヒットとなり、その流れを受ける形でこのアルバムは全世界で 800万枚を超えるリリースとなりました(日本でも12万枚以上売れたとのこと。これは驚異的な売上)。

ところで、この"BITTER SWEET SYMPHONY"は、Andrew Loog Oldham Orcehstra がインストで演奏しているTHE ROLLING STONESの"The Last Time"のリフが無断使用ということで、版権を持っているABKCOという会社からクレームが付きました。結局、ロイヤリティ100%を支払い、さらにクレジットに、 "Jagger/Richards"を追加するということで決着しています。

※この問題は現在は解決しています(the verve側に権利が譲渡されています)

こぼれ話になりますが、Richard Ashcroft はこの1997年8月21日に発売されたoasisのアルバム"Be Here Now"に 収録されている"All Around The World"のバック・コーラスに参加しています。oasis の2ndアルバム"(WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY?"で Noel Gallagherから得たメッセージに対する恩返しとも言うべきものでしょうか…。

1998年、"URBAN HYMNS"で復活を遂げたthe verveは、年頭から、BRIT AWARDSで賞を総ナメにし、地元Wiganでは30,000人を超す凱旋GIGを 行います。ところが、夏のツアー中に突如Nickが脱退表明、代わりにB.J.Coleが加入しますが、V98と、Dublin Slane Castle のヘッドライナーを 務めたあと、1999年4月、再び解散となってしまいました。

the verve 解散後、Richard Ashcroft は、2000年4月に"A SONG FOR THE LOVERS"でソロ活動を開始、同6月には "ALONE WITH EVERYBODY"をリリースし、チャートでも1位に入るなど、完全な復活を遂げます。LIVEでも、ソロ作品 に捕らわれることなく、the verve 時代の名曲を並べたセットリストになっていて、新たなRichard Ashcroft の側面を 見せつつも、孤高のカリスマ"Richard Ashcroft"の側面も保った活動をしています。2002年には、THE CHEMICAL BROTHERSの "COME WITH US"に収録されている"THE TEST"にVoとして参加、9月には待望の2nd Album "Human Conditions"をリリースしました。

Simon Jones と Simon Tong は、The Shining を結成、2002年10月にアルバム"True Skies"をリリースしています。ちなみにこのバンドは、 もともと、ex.THE STONE ROSES の John Squire が Simon Jones と始めたセッションがきっかけとなっていますが、 Simon Jones がそのセッションから離れることにより、最終的には John Squire のソロと、The Shining というバンドに分かれています。

THE SHINING …
drums Mark Heaney
bass Simon Jones
vocal Duncan Baxter
guitar Dan Macbean
guitar&keyboard Simon Tong

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