"イラストレーターの夢を追いかけて" SOZOWスクール高等部授業レポート
2024年4月に開校したSOZOWスクール高等部では、キャリア・生き方を主体的に自分らしく創造する力を育てるためのカリキュラムを提供しています。
今回はそのカリキュラムの一つ、「生き方ライブ」の授業の様子をお届けします。
SOZOWスクール高等部オリジナルカリキュラム「生き方ライブ」とは
その道のプロなど、多様な背景を持つ人々をゲスト講師に迎えて行うライブ授業、それが「生き方ライブ」。
ゲストとのインタラクティブなやりとりを通じ、人生の転換点や夢中になるものとの出会いなど、その人の人生に触れていきます。
価値観が多様化し、“正解”がなくなったこの時代。多様な人の考えに触れ、人と異なることを恐れず、自分らしい将来を描く力を育てます。
では、ここから5月に開催された「生き方ライブ」当日の実況レポートをお送りしていきます!
今回のゲスト|イラストレーターしおりんさん
今回ゲストにお迎えしたのは、神崎しおりさん。イラストや漫画を描くことをお仕事にしている絵のプロです。代表作には漫画・「推しと恋とコンビニと」があります。
海外にファンが多いというしおりんさん。Skeb(※)を通して、世界中のファンのリクエストに答え素敵なイラストを描いています。
現在は国境を越えて活躍されていますが、自己紹介は「高校生の時に不登校で家に引きこもっていた時期がありました」というエピソードから始まりました。
その時期にアニメと漫画に没頭していたことが、イラスト系専門学校に進学するきっかけになります。
卒業後はアルバイトのかたわらイラストを描く仕事を続けてきましたが、最近はお仕事も増え、イラストレーター専業の可能性もみえてきたそうです。しおりんさんの「好き」を追求する原動力はいつ生まれたのでしょうか。
※Skebとは
世界中のファンが日本のクリエイターに対してイラスト等を有償で作成依頼することができるサービスです。自動翻訳機能によりコミュニケーション課題を解決し、世界中のファンとのスムーズな取引を実現しています。
しおりんさんの人生グラフ|どんなときも描き続けてきた
しおりんさんが「好き」に出会い、それを仕事として追求していくまでの出来事を”人生グラフ”で表現していただきました。
特に本日の参加者と同じ中高生だった時期に、何に充実感を感じ、どんなときに辛さ・挫折を感じてきたのかを中心に振り返っていきます。
「不登校だった時期は常に落ち込んでいました。そんなときに心の支えになってくれたのが漫画やアニメだったんです。キャラクターのビジュアルが好みだという理由で漫画を読み始めて、ストーリー展開にのめり込んでいくという感じで、漫画やアニメに没頭しました。」
「絵を描くことに興味をもったのは幼い時に友達と絵を描いて遊んでいたことがきっかけです。小学校から高校まで、気持ちが落ち込んでいる時期でもずっと描き続けてきました。むしろ落ち込んだ時こそ絵を描いていた気がします。」
しおりんさんが中学時代に描いたイラストを紹介いただくと、
「尊敬」
「上手すぎる」
とチャット欄にコメントが寄せられました。
しおりんさんは嬉しそうに、「気がついたら、ペンを握って描いてたんですよ」と当時を振り返ります。
そして専門学校で本格的に絵の勉強を開始。卒業後はコンビニでアルバイトをしながら絵を描き続け、現在、世界のファンからお仕事の依頼を受けるイラストレーターになったそうです。
参加者からの質問|こんなとき、どうする?
ここからは、事前に用意した質問やチャットに寄せられたコメントにしおりんさんに答えていただきました。
「1つのイラストを描くのにどれくらいの時間がかかるの?」
「途中で描くのに飽きることはないですか?」
「背景の描き方と配色が知りたいです」
など、リアルタイムでもたくさんの質問が寄せられましたが、ここではリクエストの多かった4つの質問をご紹介します。
モチベーションが上がらない時、どうしてる?
「他の作品に触れるということが大事だと思います。読んだことがない漫画を読んでみたり、Pixivでアニメの二次創作をみたり。
とても上手な方の作品に出会い、自分と比較して落ち込むこともありますよ。でも、どうしても絵を描くことはやめられないので……。」
「そういうときは、その方の作品をひたすら観察します。どこが上手だと感じたのか、自分の絵に取り入れられることはないかを必死で考えますね。
でも精神的に辛い作業でもあるので、みなさんは無理をしない範囲でやることをおすすめします(笑)。」
効果があると感じた練習方法は?
「今まで練習していて一番効果的だったなと感じるのが、クロッキーという、時間をかけずに素早く描く練習方法です。まず、googleなどで人間のさまざまなポーズを検索し、そのポーズを20分程度の時間を決めて紙に模写します。それを30日続けたら、かなり技術は向上しました。」
「あと2つあります。
1つは上手な絵をトレース(原画を薄紙などに透かして描きなぞること)することです。ただ、これはSNSなどに投稿してはいけないので、注意してくださいね。
2つめは、デッサンという、紙に鉛筆と消しゴムと紙だけで白黒の絵を描いていく練習法です。これは個人的に効果があったと感じました。」
専門学校ではどんな授業を受けたのか?
「現役の漫画家やイラストレーターの先生が多かったので、目の前で原稿を描いてもらいました。
自分の絵にアドバイスをもらうこともあります。当時は辛辣なアドバイスを受けて落ち込むこともありましたが、今思うととても勉強になりました。
また、通っていた学科が漫画学科でしたので、現役の漫画雑誌の編集者さんに自分の漫画にフィードバックを受ける機会もありました。かなり強烈なコメントをいただき、これもまた深く落ち込んだ記憶があります(笑)。
落ち込んだ話ばかりしてしまいましたが、仲間と一緒にコンテストに参加したのは楽しかったです。全国キャラクターデザインコンテストや、1ページ漫画コンテストなどが思い出に残っています。」
専門学校に行こうと思ったきっかけは?
「絵をちゃんと勉強したいという気持ちがありました。
高校生の間は家にこもっていましたが、外の世界との接触を持たなければならないと思ったことも理由の一つです。それで、絵の学校に通うことを選びました。」
しおりんさんから中高生へのメッセージ
最後にしおりんさんから、参加してくれた皆さんに向けてメッセージをいただきました。
不登校時代は常に落ち込んでいたという辛い過去を背負いながらも、好きな絵を描き続けてそれを仕事にしているしおりさんから、SOZOWスクール生へ送られた言葉とは。
「もし自分ではどうにもできないことに直面したら、生きるために逃げることは良いことです。
私自身も不登校を体験しました。そのとき、うまく逃れられずに、いまでもその時の傷を引きずっています。
もし抱えきれないことに直面したら、誰かに頼って、時にはその場を逃げて、とにかく生きていってくれればいいと願っています。」
最後に
今回の生き方ライブに参加してくれた皆さんは、自分でも絵を描くことが大好きな人たちが多かったので、終了後の感想には
「とても勉強になったし、楽しかった」
「またやってほしい」
というポジティブな内容が多く寄せられ、純粋に同じ「絵を描くことが好きな仲間同士」としてコミュニケーションを楽しめた時間だったことが伺えました。
また、保護者からは
「“好きは力になる”を体現してる方なんだなぁと思いました。」
「“逃げてもいいよ”って、親以外の大人に言われるの、子ども達はすごくホッとしたと思います。」
「不登校経験者ということで、本人の自信にもつながりそうでした。」
といったコメントをいただきました。しおりんさんの生き方から子どもへの向き合い方のヒントをもらった方が多かったように感じられます。
辛いとき、うまく逃げることができずに苦しんだというしおりんさん。しかし、苦しみの中でもペンを離さず描き続けたことが、やがて突破口になり、いまでは世界中にファンをもつイラストレーターとして活躍することにつながっていきました。
どうにもならないことからは逃げてもいい、でも好きなことは手放さない。そんなしおりさんの生き方に勇気をもらったライブでした。
今後も、SOZOWスクール活動報告をお楽しみに!
SOZOWスクール高等部のカリキュラム詳細を知りたい方はこちらの記事をお読みください。
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