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困ったときには、頼れるものがある|♯わたしたちの緊急避妊薬 vol.6

毎週金曜、緊急避妊薬を飲んだ経験がある方のお話を共有する“#わたしたちの緊急避妊薬”のシリーズを公開します。緊急避妊薬を飲むに至った大切な体験談を通し、身近にある現状の課題を「自分ごと」として考えられたらと感じています。そして、大切な経験を語ってくださったみなさまへ、心から感謝を申し上げます。

※クラウドファンディング《“緊急避妊薬と性知識”で、若者に人生の選択肢を届けたい!#わたしたちの緊急避妊薬》のページもあわせてご覧ください。

ゆいかさん(仮名)は現在、24歳の会社員です。信頼できるパートナーとの性行為の後で、緊急避妊薬を飲むことになったときのことを伺いました。

ジェンダーやフェミニズムについて学び、性について話せる友達が増えた。

――家族とは、性に関する話をできる環境でしたか?

ゆいかさん:母親とは仲がよく、恋愛相談をすることが多かったです。初めて母と性の話をしたのが小学6年生のときです。初潮をむかえたときに「自分のからだは自分で守らなくちゃいけないからね」と教わりました。

――友達とは性の話はできましたか?

ゆいかさん:大学でイギリス文学を学ぶ中でフェミニズムやジェンダー論を知りました。大学生の頃から、ジェンダーやフェミニズムに関して、性別問わず気軽に話ができる友達がいます。身近に性について話ができる友達がいたから、後ろめたい気持ちを持たずに緊急避妊薬を飲むことができたのかもしれません。

緊急避妊薬は服用する前から、Netflixの『セックスエデュケーション(2019年〜)』や、SNSを通して知っていました。海外では緊急避妊薬は利用しやすい状況にあること、一方で日本では病院でもらうしかないという選択肢のなさや、服用に対するイメージの悪さがあることに違和感がありました。

自分も相手も安心するために決めた選択。

――緊急避妊薬を飲んだ時のお話を教えていただけますか?

ゆいかさん:お付き合いをしていないのですが、性行為をする関係のパートナーがいます。大学時代のサークルの友達で、普段から対等に性の話をしていました。約1年前、彼と性行為をしたときに、コンドームが破れてしまったんです。

彼は真摯に向き合ってくれて、「明日、病院に行ってほしい」と言って一緒に病院を探してくれたり、私の気持ちが軽くなるようなコミュニケーションをとってくれたりしました。

私は2年半ほど前から低用量ピルを飲んでいます。だから、そこまで心配しなくてもいいのかなとは思ったのですが、低用量ピルを服用している人の妊娠可能性をネットで調べました。彼が不安がっていたことと、私も相手の不安を拭いたいという気持ちがあって、病院に行って緊急避妊薬を処方してもらうことにしました。

ーー病院に行った時のことを教えていただけますか?

ゆいかさん:スマホで調べて、いつも低用量ピルを処方してもらうところとは違う病院に、ちょっと緊張しながら行くことにしました。病院では看護師さんが薬の選択肢やメリット、飲み方などをとても細かく説明してくださいました。病院に行ったことで、逆に傷つくのは嫌だなあと思っていたので、親身になってくれたのが嬉しかったです。

ーー緊急避妊薬を服用後、体調面や気持ちの面の変化はありましたか?

ゆいかさん:私の場合は、病院に行った後、普段通り遊びに行けるほど体調の変化はありませんでした。気持ちの面では、緊急避妊薬を服用したんだからもう大丈夫だろうと、前向きになれました。

病院では、緊急避妊薬の説明の他に、妊娠検査薬を使うにあたっての説明がありました。パートナーに安心してほしいという思いがあったので、念のために自分で検査をして、彼に妊娠検査が陰性だったことを伝えました。

困ったときに、頼れるものがあることを知ってほしい。

ーーその後、行動の変化はありましたか?

ゆいかさん:自分が経験してはじめて、緊急避妊薬をより手に取りやすいものにするべきだと強く思い、緊急避妊薬を薬局に置いてほしいという署名活動に賛同しました。

友達から相談を受けることもあります。私はこういう風にしたよと伝えたり、性教育のサイトを紹介したりなど、自分が信頼している情報を友達に発信しています。

ーーどのような思いでこの取材を受けてくださいましたか? メッセージがあれば、お願いします。

ゆいかさん:必要としている方が安心して緊急避妊薬を手に入れられるべきだと思っています。そのために、さまざまなバックグラウンドから緊急避妊薬を必要としている方に情報が届く体制ができて、頼るべきところが分かって、何があっても安心できるような社会になってほしいです。

――ありがとうございました。

インタビュー/小谷 真以花
文/辻 奈由巳

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