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「内定コレクター」や「内定王」は本当に悪なのか?

NewsPicksの就活特集。今朝の記事はあの人気企業の「内定王」20人が語る就活の裏技ということで、記事タイトルは週刊誌のアオリみたいで今ひとつなのですが、記事自体の内容は極めて本質的です。

人気外資企業と日系大手の内定を複数持ち、最後まで就職先に迷う──。NewsPicks編集部では、そんな就活生たちを、「内定王」と名づけ、2016年卒の内定者約20人を取材した。そこから浮かび上がったのは、早くから情報収集に動き、独自の就活戦略を実行する就活生らの姿だった。オリジナルの戦略が多く見られた「OB/OG訪問」、王道から異色のものまでさまざまなバリエーションが見られた「面接でのエピソード」そして、就活解禁時期の相次ぐ変更でますます重要性が高まる「情報収集」における内定王たちの裏技やアドバイスを紹介する。

内定コレクターや内定王は悪か?

記事の内容自体は記事本文をご覧になって頂くとして、個人的に関心を持っている命題が内定コレクターや内定王は悪か?という問いです。

いわゆる内定コレクターというのは、有名企業を中心に複数社から内定を集める就活生のことを指します。早慶東大などいわゆるハイエンドの学生に多い傾向です。

こうした内定コレクターに対して、
「どうせ入社できるのは1社なのだから、何社も内定を集めるなんて本質的じゃない!」
「採用数が限られている中、ほかの学生への迷惑を考えたことないのか!」
「最後の最後に裏切られる採用側の立場も考えろ!」

といったような批判をチラホラ耳にするのですが、そのいずれも「何言ってるの?」というのが正直な感想です。

僕個人としては「内定コレクターは一つの人生戦略として合理的」だと思っています。一つずつ見ていきましょう。

何社も内定を集めるなんて本質的じゃない?

まずはこちら。
「どうせ入社できるのは1社なのだから、何社も内定を集めるなんて本質的じゃない!」
という批判に対して。

結論、本質的かどうかは本人が決めることであって、他人が口出しすることではない、というのが僕の結論です。

・そもそも内定をもらえるかどうかは内定をもらえるまでは分からないので、ポートフォリオは多様化しておくべき
・最終的にどこに入社を決めるか?は内定後に熟考するのは悪いことではない

というのが僕の立場です。

例えば僕の場合は、学生時代から家族がいたので、そりゃもう必死でした。第一志望の会社は変わらず今の会社でしたし、そこから内定をもらえるように努力の限りを尽くしていましたが、当時はリーマンショックの影響を受けて戦後最悪の就職氷河期。意中の相手から内定をもらえる保証はどこにもありません。

だから僕は業界・企業規模を問わずトータル100社ほどにエントリーしました。結果として7社から内定を頂き、6社の企業様にお断りの連絡を入れました。企業によっては対面で。

企業によっては、烈火のごとく怒る会社もありましたが、全く意に介しませんでした。たった一つの、たった一度の僕の人生ですからね。

何の縁があってか、今は自社の中途採用を担当していますが、積極的に他社の受験をすすめています。心から納得して入ってきて頂いた方がお互いにとって良いので。当たり前のことですよね。

また、今の就活生は非常にかわいそうです。なぜなら、就活後ろ倒しによって、企業を吟味し、自分にフィットしているかどうかを精査する時間的余裕が全くないからです。

今年の選考開始は6/1からとなるそうですが、リクナビなどナビサイトのグランドオープンは3/1なので、実質3ヶ月しか猶予がありません。

就活を結婚に例えるのは時代遅れですが、「たった3ヶ月で結婚相手を決めろ」というのはあまりにも雑すぎますよね。

だからこそ、内定式のある10/1から逆算して、9月半ば頃までは「正式な内定承諾は待つ」こと、さらに「意思決定に必要な情報は余すことなく提供する」ことが企業側には求められます。

はやく決めてしまいたい!という採用担当側の気持ちももちろん分かりますが「急いては事を仕損ずる」です。

そうした「わたし待つわ採用」が2017採用のトレンドになるのでは?と勝手に思っています。押してダメなら引いてみな、です。

ほかの学生への迷惑を考えるべき?

「採用数が限られている中、ほかの学生への迷惑を考えたことないのか!」

これまた的外れの指摘ですね。
前提として、企業側は「一定割合の学生が辞退をする前提」で採用計画を立てています。

例えば、80名新卒で採用したい場合、昨年の実績などから内定-意思決定率が80%だと仮定して、100名に内定をお出しする、ということですね。

だから仮に内定コレクターに内定が出てしまったとしても「安心してください。採りますよ。」ということですね。

もちろん、既に意思が決まってるのに気まずくてズルズル連絡しない、というのは論外ですが、ほかの学生への迷惑などを考えてる余裕があったら、自分の人生について本気で考えてほしいと思います。

採用側の立場も考えろ?

最後はこちら。

「最後の最後に裏切られる採用側の立場も考えろ!」

一番しょーもない、聞く必要のない批判ですね。全く意に介する必要ナシです。
なぜなら、結果的に振り向いてもらえなかったのは完全に採用企業側の力不足ですし、むしろそんなに優秀な学生と接点を持てただけで感謝すべきですよね、本来は。貴重な時間を割いてインターンシップや選考に来てもらったワケですから。

なので、内定辞退をされて悔しく、憤りを感じてしまうのは「好きな女の子にフラれた」のと同じ状態ですよね。

「第一志望って言ってたじゃない!」と言うのも、まだ付き合ってもいないのに数回デートしたくらいで「オレのことが好きだって言ってたじゃん!」と泣きながら訴えるウブな男子学生みたいなもんですよね。

これは、採用を生業にしてるプロとして大変恥ずかしいことです。やるべきはすかさずヒアリングです。

詰め口調にならないように最大限配慮した上で、なぜウチではなく他社にしたのか?について、できる限り本音を引き出すことです。この本音にこそ、採用活動のヒントが詰まってます。

さらに「人たらし」な人事は、「とっても残念だけど、内定辞退は分かったよ。その代わりといっては何だけど、まだ就活中の学生の中で、キミが一番優秀だと思う人を紹介してくれ!」と頼みます。

内定王も人ですし、承認欲求が強い人が多いので、こうして頼めば十中八九紹介してくれます。こちらの方が、ずっと合理的ですよね?

まとめ

ということで、内定王・内定コレクターは悪ではなく、人生戦略の一つとしては「アリ」というのが僕の結論です。あくまで「アリ」だよね、という話で、決して推奨はしませんが、他人からクドクド言われるようなものでもないです。だって、自分の人生のオーナーは自分だけですからね。

それではまた!

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