「営業やりたくない」なんてもったいない。なぜ文系人材はファーストキャリアとして営業職を経験すべきなのか?
こんな記事がNewsPicksやFacebook、Twitterで話題になっていました。
衝撃! 大学生の約9割が営業職を「やりたくない」と回答。理由は?
Q.営業ってやりたいですか? それともやりたくないですか?
・やりたくない……88.3%
・やりたい……11.6%
なんとおよそ9割近くの方が、営業の仕事はやりたくないといった結果になりました。やはり営業は厳しいというイメージがあるのでしょうか。
n数が399人しかいないので信用に足るデータなのか?というと微妙ですが、営業職は昔から敬遠される傾向にあります。
では、一体何が理由で「やりたくない」と言っているのでしょうか?
<やりたくない>
■ノルマが嫌
・営業実績とかノルマが嫌(男性/22歳/その他)
・ノルマを意識しなければいけないのが精神的に負担だと思うから(女性/24歳/その他)
・人と接したり、売り上げに追いまくられそうだから(男性/22歳/大学4年生)
営業というと、どうしてもついてまわるのがノルマの達成というイメージかもしれません。業種によっては、ノルマのない営業もありますが、まったく気にせずにいいというわけにもいきませんものね。
■コミュニケーションが苦手
・他人とのコミュニケーションが苦手だから(女性/22歳/大学4年生)
・コミュニケーションが苦手なので自信がないから(男性/25歳/大学3年生)
・人と話すことがあまり得意ではないから(女性/20歳/大学2年生)
営業は知らない取引先の人と話をしなくてはならないため、コミュニケーションが苦手という方にとっては苦痛になるかもしれませんね。すべてメールでやりとり、というわけにはいかないですよね。
いかがでしょうか?
ぜひ現役の営業パーソンに話を聞いてみたいところですが、「ノルマ」という言葉が一人歩きしてしまっている印象を受けます。
「ノルマ」って、そもそもがシベリア抑留者が日本に伝えた言葉で、「課された仕事量」という意味が含意されてるのでそれだけでなんかもうネガティヴな感じなんですが、要するに「目標」でしかないワケですよ。
「ノルマがいや」ということはノルマがない仕事の方がいいと言ってるのだと思いますが、目標がない仕事なんて逆につらくないですか?評価基準がめちゃくちゃ曖昧になるので、評価する方も難しいし、評価される方もなんとなく納得感がない。
そういう意味では目標が明確な営業職は極めてわかりやすくて仕事初心者=新社会人向きだと思うのですよね。
ビジネスは会議室で起こってるんじゃない。現場で起こってるんだ。
意識高い大学生や若手社会人はとかく「企画」に行きたがるのですが、文系人間のファーストキャリアとしては絶対に営業がオススメです。
僕は今でこそ新規事業開発と人事・採用を兼務していますが、丸5年の社会人人生のうち最初の3年は営業でしたし、営業を経験して心からよかったと思ってます。いま、23歳=新社会人に戻るとしても間違いなく営業を選ぶ。
その理由は端的に「ビジネスの原点は営業現場にある」と思っているからです。ビジネスの原点とは、お金を支払って商品・サービスを購入する顧客(法人・個人問わず)です。
「業を営む」と書いて営業です。
スペックや機能だけでは、顧客の心を動かせません。顧客の心を動かさなくては、商品・サービスは売れません。
商品・サービスを売るために顧客の心を動かすにはストーリーが必要です。どんなストーリーをどのように紡げば、顧客の心が動き、買って頂けるのか。
これを最低1〜3年経験し、圧倒的な営業成績を出すこと。このプロセスを通じて顧客のインサイトを持つことができれば、マーケットの心を動かす商品・サービスやビジネスモデルを生み出すことができるようになるはずです。僕はまだまだですが。
何が言いたいかというと、ファーストキャリアとしての営業職はオススメだということ、それを嫌がって敬遠してしまうのはあまりにも人生損してるということです。
ノルマはいわば納税義務。圧倒的な介在価値を発揮せよ。
僕が大変尊敬している会社の師匠がこんなことを言っていました。
「ノルマは納税義務みたいなもの。もらってる給料の分の対価として、達成して当たり前。大事なのはそれから先、顧客に対してどれだけ大きな介在価値を発揮できるかどうか、だよ。」
そう、税金の取り立てにヒーヒー言うのではなく、当たり前に税金を収めて、その後は自分の自由です。個人的に大切にしているのが「介在価値」という考え方です。
介在価値とは、「自分がいたからこそ生み出せた価値、自分がいなかったら生まれていなかった価値」のことを指します。
世の中には困っている会社や人であふれています。
世の中の会社や人は、困っていることを解消するために、商品やサービスを購入します。
ですが、困っていることが複雑怪奇すぎて、既存の商品やサービスでは帯に短し襷に長しで、上手いこと解決できません。
そんな時こそ、営業が「介在価値」を発揮する出番です。
顧客が本当に困っていることは何か。
ヒアリングして行くと、本当に欲しいのはドリルそのものではなく壁に穴を開けることだったりします。
そこまで見えれば、壁に穴を開けるという顧客の目的を達成するために、社内のメンバーを巻き込み、顧客に提案すれば良いのです。
こうして営業は複雑に見えた問題を解きほぐし、顧客のモヤモヤをスッキリさせることができ、困りごとの解決に役立つことができました。これが介在価値なんです。
その仕事は本当に「営業職」か?
もちろん、営業職はこんなに美しいことばかりではありません。 アポを取るために、ひたすら電話をかけ続け、断られ続けなくてはいけませんし、そのために顧客のリストアップをし続けなくてはなりません。
こうした作業は大変骨が折れるものですが、世の中の仕事は大抵そうした「骨の折れる作業群」の上に成り立っているのだということを理解する良い機会だと捉えましょう。
ただ、「営業職」と言っても人それぞれですし、会社によっても異なります。
営業は本来、顧客の課題(Problem)を引き出し、それを自社の商品・サービス(Solution)でいかに解決可能か?を伝え、顧客がProblem/Solutionがフィットした!と感じる瞬間をプロデュースし、解決に向けて伴走する仕事だと思っているのですが、世の中にはひたすら自社の商品の押し売りばっかりを推奨したり、顧客のことをダマしてでも商品を売れ!というオペレーションをしている企業が存在します。
信じられませんが。そんなのは「営業」とは呼びません。
なので、就職活動・転職活動の際は、現場の営業パーソンに直接会って、具体的にどんな提案をしているのか?どんな介在価値を生み出しているのか?をとことんヒアリングすることをオススメします。
学生の皆さんが思っているほど、営業職は悪いものじゃないですよ。どのみち、文系人のほとんどが営業職になるのですから、どうせやるなら楽しんだもん勝ちですよ。
"Now or Never"
今やるか、一生やらないかはあなた次第です。
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