HRマーケティングを広めたい__1_

採用広報が当たり前になった今こそ目的を見失わないことが大事 ー マネーフォワード・大崎淳氏の活動理念

ビジネスSNSとして、多くの企業と人を繋ぐ「Wantedly」。そのWantedlyが主催するWANTEDLY VISIT AWARDS 2019でGold賞を受賞したのが、株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)でした。

受賞の理由は「Wantedlyでの応募数やスカウト返信率、ミートアップの開催数、応募数、フィードのPVの各ポイントが総合的に良かったから」だと話すのは、マネーフォワードで採用広報を担当されている大崎淳(おおさき・じゅん)さん。

2018年9月にマネーフォワードへ入社され、人事・広報未経験の状態から採用広報として精力的に活動されてきました。今回は、そんな大崎さんがマネーフォワードで取り組んでこられた採用広報活動と、これから注力していきたいことについて伺いました。

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大崎淳(おおさきじゅん)
株式会社マネーフォワードで人事本部 採用部 採用PRグループに所属。大学時代は早稲田大学体育会競走部のマネージャーをやりつつ、箱根駅伝などの運営に従事。2016年4月に株式会社クラウドワークスに新卒で入社。2018年9月にマネーフォワードに専任の採用広報として入社。Wantedlyやnoteの発信、採用イベントの企画運営、社内広報など幅広く担当。大好きなものは、うどんとスポーツ観戦(バスケ、アメフト)と読書。あだ名は「やる気」。

未経験だからこそ取り組んだ採用広報の施策

僕はマネーフォワードの採用広報二代目なんですが、先代の担当者が様々なことをやってくださっていた分、現場から採用広報への「やってくれること」への期待値が上がりすぎているな、という課題を感じていました。

しかも僕にとっては初めての転職、初めての業務内容だったので、実績を作るためにいろんな方々と関係を作ることを第一に考えて活動しましたね。まずは、とにかく自分の名前を覚えてもらうこと。そして相談のしやすい関係を作ること。

そのために、入社後の全社員が集まる朝会の自己紹介では周りが前職の話などをする中、僕は「やる気元気大崎で覚えてください」としか言わなかったんですよ。会社で使っているチャットツールも「やる気」で登録しているのでかなり認知してもらえて、スタートダッシュには成功したと思っています(笑)

その後も、Slackの分報(=times)という文化を取り入れて、「times_osaki」というチャンネルを作り、そこで他社の採用広報事例をシェアしつつ一言解説メモを入れるといったこともやっていて。採用広報そのものに興味を持ってもらい、気軽に相談してもらえる環境を作っています。

マネーフォワードではリファラル採用に特に力を入れていたので、今後もこの文化を継承していくために「マイリファラルストーリー」という事例集を発信したり、「GOENカード」というのを作って社員の方に配ったりしました。GOENカードは、配布してすぐに追加発注が必要なほど使ってもらえて、すでにGOENカードで3人の入社が決まっているんですよ。

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↑実際に配られた「GOENカード」(出典:Wantedly

社員自ら発信したくなる土壌を作る

今は採用活動が激化していて、みんなあの手この手で口説きにかかっています。どこの企業も採用広報をやっているし、「ただ記事を発信していたらそれだけでいい」時代はもう終わりました。

だから、記事を書くにしても「何のためにやるのか」をはっきりさせなければ、社内の人たちにも説明できないし、やる・やらないの判断軸が持てない。だから、採用広報の目的を言語化してミッション・ビジョンを作りました。

採用広報の仕事を通して社外はもちろん、社内の人が「働き続けたい」「周りに紹介したい」と思うことが大事です。そのために、情報を発信することで会社を身近に感じてもらえるようにしています。だから発信内容も、普段のことだけでなく、会社が目指す方向性といったベクトルが未来に向いている話を入れていますね。

あとは、採用広報だけが頑張らないことも大事。発信するネタが増えてくると、僕1人だけでは手が回らなくなってしまいます。記事を書く人を増やすために、記事を書きたいと思っていそうな人にひたすら声を掛けて、一対一でどんな話なら書けるのか、書く上で困っていることは何かを話すなど草の根活動をしました。

採用広報は外だけに向けて発信しがちなんですけど、それだけだとインナーコミュニケーションの希薄化に繋がってしまうと思うんです。だから、社内報を発行したり、社内イベントの運営サポートなどもやっています。まず社内向けに発信すれば、発信に対するハードルが下がり、発信に興味を持ってくれるメンバーが増える。そうすると、社外向けにも発信できる人が増えるようになるんです。

社内外問わず情報が発信されるようになってくると、「私もやりたい」「うちの部署もやりたい」という人がどんどん出てきます。そこに僕がサポートに入ることで、発信がさらに増えていったので、良いサイクルができたかな、と。

記事を書いてもらうだけでなく、採用活動の当事者としての意識を醸成するために、採用進捗を共有したり、「Money Forward Career Night」という採用イベントに参加してもらって社員自ら会社の魅力を伝えてもらったりもしています。

また、自社で発信するだけだと埋もれてしまうので、新しい取り組みとして僕がメディア向けに企画書を作ってどんどん提案していき、発信本数やタッチポイントを増やすようにもしていますね。

\実際に大崎さんが企画書を作り、掲載に至った記事がコチラ/

現場を巻き込むコツは「ファーストピンを見つけること」

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15分ほどのショートプレゼンの後は、参加メンバーからの質問が殺到!
以下ではQ&Aセッションのやり取りをご紹介します。

ー 社員の方が記事を書いたりGOENカードを自主的に配ったりされているとのことですが、どのようにして現場を巻き込んでいるんですか?

僕はコミュニティマーケティングの手法を応用していて、「ファーストピン」と言われる存在を見つけるようにしています。たとえば僕は、社内で注目を集めやすい新卒の子をファーストピンとして見立て、イベントに登壇してもらいました。そうすると、新卒同士でも話題になるし、「新卒の子が登壇しているのに他の先輩社員は登壇しないの?」といった感じにもなる。もちろんサポートもしますし、登壇後の成果を本人や周りにも共有していたので、だんだん社内に波及していったんです。

どの人がキーマンになるかは、やっていくうちに見えてきましたね。僕は前職でも全員の日報を毎日読んでいたんですけど、意外とそういうところにヒントがあって。たくさんコメントしている人などをずっと追いかけたりしました。

ー 社内での草の根活動は、効果がありましたか?

はい、ありました。ひとつの部署インタビューして記事を作ったら、スカウトメッセージに記事URLを載せられるので「返信率が上がった」「応募が増えた」といった声が社内に出るんですよ。そうすると、他の部署からも「うちでもやってくれないか」という相談のチャットが来ますね。

ー 社外向けに出した記事に対し、社内から何か意見が来たことはありますか?

一つ、苦い思い出がありますね。社内での説明がまだ十分にできていない状態で公開したので、その記事が出たことで社内の人たちが知るという状況になってしまって。外では話題になって大盛り上がりだけど、中では「これ、初耳なんですけどこれは何ですか」と質問が飛び交う事態に。

大事なのは、丁寧にプロセスを踏むことですね。この情報は今どこまでの人が知っていて、どういうプロセスで説明が進んでいるのかを把握し、記事を出す前に関係者に一言入れるようにする。全員がハッピーになる記事というのはないんですけど、反響をどこまで許容するのかはあらかじめ決めておくべきですね。

ー 記事を作るにあたり、外部ライターは使われていますか?アシスタントさんとの住み分けについても教えてください。

外部ライターは入れていなくて、ほぼ内製で書いています。僕が書くか、社内のメンバーが書いたものを僕が編集しているかのどちらかで、企画・日程調整・取材・撮影・文字起こし・執筆・編集・入稿まで全部自分でやるという感じです。採用アシスタントの方には、採用実務のオペレーション周りをやってもらっているので、記事は書いてもらっていません。

今後、文字起こしだけは外にお願いしようかな、と思っています。採用イベントなど毎年恒例のものは、記事がマンネリ化にしないためにも新卒メンバーや現場の方に参加者目線で記事を書いてもらうなどしていきたいです。

ー 記事を書いた人へのインセンティブはあるんでしょうか?

「Unipos(ユニポス)」というツールがあるので、うまく活用して本人にインセンティブやフィードバックがいくようにしています。記事を書いてくれた人に記事URLとタイトル、反響の様子をコメントでつけてポイントを贈るようにしているんです。この内容は全社員の目に止まるので、「この記事良かった!」と思ったメンバーたちが称賛の気持ちを込めて「拍手」と言った形でポイントをたくさん贈りはじめます。そうすると、社内全体からピアボーナスという形で本人に直接届くので、社内チャットツールでシェアして拍手のリアクションや長文コメントがついたらポイントが送られるようになっています。

ー 社内の人の執筆スキルを上げるために何か取り組まれましたか?

僕自身は、社内の編集経験のあるスタッフにお願いして、構成や文章の良し悪しを相談していました。気付いたのは、文章って「何を書くか」と「どう書くか」の壁でつまずくことが多いので、メンバーに対してはまず「何を書くか」だけ決めてもらって、どう書くかは任せるようにしましたね。文章の書き方について、お勧めの本を教えることもあります。

これからの鍵は「戦略・分析・統合」の3本柱

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今後の採用広報は、改めて戦略と分析と統合が肝になってくると思っています。

戦略は、まずやらないことを決める。そして他社との差別化を考えたり、多角化する発信の弊害を防いだりしなければなりません。これまでは先行優位性があった取り組みも、すぐに模倣されてひっくり返されてしまうと思っていて。今の候補者がなにを考えているのか、そこに適切なタイミング、情報を届けられているかといったを抽出したり、コーポレートブランディングや広報との連携を密にして「会社としてどういうメッセージを打ち出していくか」といった部分に注力していこうと考えています。

分析は、KPIをどうするかという点ですね。去年はWantedlyのフォロワー数を指標に置いていたんですが、採用はもちろんWantedlyだけじゃないので、違ったKPIが必要だなと。社外の方が採用活動によってうちで働きたいと思ってくれるかどうかについては、選考時にアンケートを取るなど、記事の貢献度を見ていきたいです。

統合については、多面的・多角化した発信をしたいと考えています。今、グループ会社が増えて各自でいろんな発信をしている上に、運営している媒体もnote2つ、エンジニアブログ、Wantedlyと4つあるんですよ。だから、発信している記事を「月刊マネーフォワード」としてまとめたり、カテゴリに分けたり、オフラインイベントと融合させたり、統合的なコミュニケーション設計をしていかなきゃいけないと思っています。

最後になりますが、採用広報では各社のフェーズ、文化合った様々な手法があると思います。手法にとらわれずに、自分たちの目的を見失わないことが一番大事。僕らは社外の方に「働きたい」と思ってもらうことと、そして社内にも目を向けることを大事にしていて、それに紐づいた施策をこれからもどんどん実施していきます。

やる気さんこと大崎さんが当日お話してくださったスライドはこちら👇からどうぞ!

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次回のHRマーケティングラボは…!

次回のHRマーケティングラボは「コーポレートカルチャー」をテーマに開催!

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freeeでカルチャー推進を担当されている辻本祐佳さんをゲストにお招きして、「競争力の源泉としてのカルチャーづくり」について学びます。

日時は2月18日(火)の朝8~9時。
場所は五反田にあるfreeeさんのオフィスで開催します。

Facebookコミュニティ「HRマーケティングラボ」メンバー限定のイベントになるので、ご興味ある方はこちらから参加リクエストをどうぞ!

「採用広報」にご興味ある方はこちらへ

別のコミュニティにはなりますが、HR NOTEが主催する「HR-Study」が2月19日に「採用広報」をテーマに勉強会を開催するので、こちらもご興味ある方はぜひ。


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複業研究家/HRマーケター。元学生パパ。株式会社HARES代表取締役。NPO法人ファザーリングジャパン理事。30歳3児(11歳👦🏻/8歳🧒🏻/4歳👧🏻)の父。首都大学東京法学系卒。お仕事の依頼は→ s.n@hares.jp
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