カップ

台本*5「水たまりアイドル」(一人用)

使用の手引き…https://note.com/souffle_lyric/n/n0ba1320f658a
ごゆっくりどうぞ!

◎設定
主人公…織野 ぽぷり(おりの ぽぷり)
新人アイドル。名前に反して強い芯を持つ。
聞き手とは親しい関係で、ライブ会場まで送ってきて貰った。

【舞台袖】
今日はホント、ここまで送ってきてくれてありがとうね。助かっちゃった。
どうかな…この衣装。いかにもアイドルって感じで、可愛くて。
ふふっ…。ありがとう。

…アイドル仲間のみんなね。光とか星とか花とか、あ、中にはエア彼女とか…とにかく色んな存在になりたがってる。

その中で、私はね…水たまりになりたいなって。

星とか光に比べて、キレイじゃないイメージあるかな?
確かに、泥水すすって這いつくばって、ここまで来た自覚はあるけど、ね。
でも、そういう事よりも…皆が立って踏みしめて歩く、その地続きの場所にいたい。
ファンタジーよりも身近な、皆の心の風景の中にいさせて欲しいんだ。

あ、もちろん、契約上とかね?そういうので、お客さんに言えない事だっていっぱいあるけど。
言わずとも伝わることだって、何かあるんじゃないか…って信じてる。

空を見上げるのが辛くなっても、水たまりはそこにある。水の音で知らせて、風の流れで気づかせて…。葉っぱや、花びらと一緒に踊って。
時には踏み込んでみたくなったり、近づきたくないものだって疎まれてもいいよ。良い反応ばかりじゃなくても、そういう、きっかけみたいなものになりたいなって…。レッスンや活動は綺麗事ばかりじゃなかったけど、その中で、そんな風に感じたんだ。
そして、水たまりなアイドルとして…、一人一人がハッとするほど鮮やかな虹を…映せるようになっていきたい。

…って言いながら、私の心臓もバクバクだよ。
皆の視線が集まることへの緊張と、カッコつけた後にドジ踏んじゃわないかなって焦り。
まだまだ新人だし、こういうフェスに出させてもらってる程度だけど…。
終わった後、何が起こっても聞いてくれるかな?約束ね。

【♪歓声】

…そろそろ、私の出番だね。
送ってきてもらって何だけど…舞台袖のキミの事は、一旦忘れる。
パフォーマンスに集中して、客席のみんなが歩く地面に降り注いで、潤して…。

スポットライトを浴びた、あったかい水たまりに…なってきます!



【終】

お気に召しましたら是非お願いします! 美味しい飲み物など購入して、また執筆したいと思います ( ˙︶˙ )