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あんステ(MoM)レポ(2/7マチネ)と、推しさんの話

「あんさんぶるスターズ! エクストラ・ステージ ~Memory of Marionette~」の日替わりめも/福岡公演(19/2/7マチネ)/うろおぼえは相変わらず/後半は推しさんの話

【はじめに】
 前回のトークショーレポについて、たくさんの方が読んでくださったり泣いてくださったり、何かを感じたりしてくださったようで、本当にありがとうございました……! メッセージなどくださった方も、ありがとうございます。あたたかい気持ちを、たくさんいただきました。
 今回は、あのトークショーのことも受けて、急遽福岡公演を観に行った人間の話です。後半、推しさんである猪野広樹さんについてお話しします。きっと、あまり明るい文章ではありません。あの劇場にいた人の一体何人がそう感じたかわからない、ひょっとしたらわたしだけだったかもしれない。でもやっぱりその時の自分の感性は嘘ではないと、残しておきたいから。

 楽しいレポは前半で書きますので!!!! 後半は、ご興味のある方、どんな意見でも大丈夫な方のみ、お読みください。

【2/7マチネレポ】

◆宗、みか、なずなの3人で手芸部部室にいるシーン
・糸電話のシーン、宗さんいつも舞台から降りちゃってましたっけ……笑 今日の糸電話みかくんリンボーは高速でした。

・宗さんを外に連れ出そうと、服や腕をぐいぐい引っ張るみかくんとなずなくん。
宗さん「やめたまえ、服の布地が伸びるだろうが……っ!!」
みかくん「ぬのじ?」
宗さん「君は揚げ足をとることを覚えたのかね」
この会話、大阪初日あたりではなかったなあと思ったので……!
(なんだか、みかくん演じるいのさんがしばらく舞台上に出てこられなかったこと、それを埋めてくれるような、「覚えたのかね」の言葉であるように感じられて、少し泣きそうになってしまいました)

◆みかくん客降り
・出てきてあたりを見回し、「ほえ?」と凝視されていることにうろたえる。かなり長々とうろたえた後、誰かお客さんと目があったらしく、
みか「なんでそんな見るん?」
お客さん、なにごとか答える。
みか「あっ、ありがとうございます(なぜかめっちゃ中の人の素で早口)。(すぐみかくんに戻って) あかん、他の人(素)が出てくるとこやったわ」

・うちわ探し。どうやら自分のうちわを見つけた様子。
みか「あっ!!……おれのや(めっちゃ嬉しそう)。見して!(足ジタバタさせながら)……ふふ、かわええなあ」
裏をひっくり返し、「いないいないばあして」の文字に気づく。なにやら思いついたのか、そのうちわを持ったままなぜか客席の後ろ(登場してきたあたり)までダッシュしていくが、
みか「あかん、もうここライト当たらん。ライト当ててくれへん……(たぶん、一番最初に喋りかけてくれたお客さんのところへ行きたかった様子)」

・結局前の方へやって来て、あるお客さんの目の前で止まる。
みか「(胸元にうちわ掲げながら、期待の眼差し)」
お客さん、たぶんリアクションに困っている。すると、また他のひとのところへ行って無言のアピールをするがやはり戸惑われ、3人目の方のところへ行く(確かその方はやってくださってたような……?)。
みか「あかん、これ誰のやっけ(うちわを返したい様子)。あっ、せや」
またダッシュでうちわの持ち主さんのところへ戻り、不意に、
みか「いないいない……ばあ」(一人でやってくれる)
持ち主さんにうちわ返しながら、
みか「誰もやってくれへんかったわあ」
その後、なるちゃんに呼び出されて~のくだりでも、なぞにいないいないばあの仕草やっていました!笑

◆紅茶のシーン
みか「お師さ~~ん! ……んあ?(紅茶からストローを抜き、紅茶をストローで叩き、逆さまにしたりする)紅茶が……凍っちゃいました~~!(しきりにストローで紅茶を叩く)(けれどお師さんから反応が返ってこないので)……いないいないばあ、する? それともクロワッサン焼いたろか!」

◆らびっつ関連
・マグロのシーンは、英語のツナネタでした!

・七夕祭での敬人さんのばきゅんの後、いつもは誰かが指名されるはずが、光くんが飛び出してきて
「一発だけじゃもったいないんだぜ! ばきゅんばきゅんばきゅんばきゅん!!……なんだかお腹がすいてきちゃったんだぜ。ぱんぱんぱんぱんぱん!!」
なずなくん「すみません!!!!(らびっつみんなで光くんを連れ戻す)」

・神崎くんと深くお辞儀し合うなずなくん、今日はタイミングが合わなかったのか一人だけ先に顔を上げてしまって、慌ててもっかい下げるのだけど、その後も神崎くんに「ごめんね」って感じでぺこぺこしていた

・七夕祭後は、やっぱり「大きな存在になりたい」と語り合う一年生達。もうこのスタイルで通していくみたいだね……!(光くんの足が痛む理由、ただの成長痛なのかちょっと気になるけれど)

◆その他(だいたいみかくんの話と、少しキャストさんの話など)
・影アナは光くん役ながとくん!
光くん「ダッシュだぜ!」お客さん「ダッシュだぜ!!」のコーレスをやってくれます。その最後に、
ながとくん「ありがとーと? なんだぜ!(若干うろ覚えだけどこんな感じの博多弁!!)」
会場のあちこちから、思わずといった感じで「カワイイ~~……っ」という声がたくさん聞こえてきました。笑

・冒頭、ヴァルのライブが終わった後のシーン。宗さんが「天上へと運ぶ……!」みたいなことを言っている時、後ろでみかくんが手でちょうちょのようなものを作ってひらひら上に飛ばしているのだけれど、今日はなぜかその手の動きがちょっと歪で、ひら、ひら、と少し揺らぎながら飛んでいくような仕草になっていました。

・旧ヴァルの砂上の楼閣、みかくんがアカペラで歌いだすシーン。音(キー)がだいぶ低くなって、少しテンポが早口になっていました。
そこでなずなくんとみかくんの名前を呼ぶ宗さん、「影片……っ」とみかくんの名前を呼ぶところ、以前よりも強く噛み締める感じになっていました。
その後、曲が復旧して3人で歌いだすシーン、みかくんがこれまでに見たこことがないぐらい優しい表情をしていた気がします。

・鬼龍先輩が手芸部の部室にやってくるシーン。珍しく「fine」というセリフを噛んじゃう宗さん。布たたんでいたみかくん、ものすごい素早さでお師さんを振り返る。
鬼龍さん「……大丈夫か?」
その後、首かしげながら布たたみを続行するみかくん、なぜか最後の方で一瞬だけ、ラーメンすするような仕草してた!笑

・七夕祭で、らびっつを助けるために登場するシーン。今まで観た会場では、舞台に上がる階段のあたりで宗さんが「この非生産者どもめ!!」と言っていた気がするんだけど、今日はけっこう客席の中の方で言ってました。そこでたぶん飴を差し出すみかくん、宗さんははあとため息をつき手で押しやってしまうので、ちょっとしゅんとしたようにその場でびりびりやぶいて飴食べちゃうみかくん(やっぱりここはかわいいです)。

・「あんた、おれが殴れへんとでも思ってんのか」「おれの人生はお師さんのもんや」この二つの台詞、今まで聞いた中で一番低さが効いて感じられました……特に後者、今までの中で一番、ぞっとするほどの迫力がありました。

・今日はるいくんのこともちょこちょこ追っていたのですが、今まで以上に、優しい表情で、カンパニー一人一人の顔を見ながらお芝居をしているように感じました。舞台にこのメンバーで立てる喜びを、噛み締めてるようで。

・みかくんのシンギン客降りは、前方あたりをぐるっと。やっぱり若干塩対応なんだけど、下手のある場所ではコールの部分で立ち止まって「ん?」って感じでお客さんに向かって耳を傾けて、しっかりお客さんに言わせたりしていた!!笑

・シンギン客降り上手、空いていた席があったのか座っちゃうみかくん。そういう場所にすぐ座りたがるいのみかくん。

・会場が、コンサートホール感の強いところで、少し声が響かせにくいのかな……? という印象を受けました。一方、ひとつのライトから放たれるたくさんの筋ですらすごく綺麗に見える劇場で、大きなライトが点くのが客席からも見えたりして、天井にも大きく光が反射していたりして、とても美しい演出のできる劇場だなあと思いました。特に、七夕祭後の、英智さんと宗さんにそれぞれ真上から青いピンスポが降り注ぐのは、美しすぎて息をのんだ。

・旧ヴァルのライブが破綻してしまうシーン、大阪での一件があった後だからかなんだかすごく、内容と現実とが重なって見えて聞こえてしまって、宗さんの独白が苦しかった。「失敗させないことが愛情だと思っていた」、完璧を追い求めるのが全てだと思っていた、でも実際は、そうじゃなかったし、そこ以外にも意味や価値や感情があった。そしてそれは、このMoMという作品の中だけでなく、この世に普遍的に言えることなのかなあと、ふんわり思い始めたりもしました。完璧なものなんて、この世にはない。だからみんな、愛おしい。

◆カテコ
・やっぱりふわふわ大輝さん。
「もうね、福岡って3公演しかないんですよ~~~~(めっちゃ悲しそうな顔しながら)。えーーーーーっとね、あれ、俺何言おうとしたんだっけね」
いのさん「(小声で)えっ忘れたの?」
大輝さん「あっそうだライビュ!! 増えたらしいですね? 24とかだったのが、どこらへんかでね、何会場(増えたん)だっけ??……みなさんお分かりのようにね、時間稼ぎ(?)をしております」
たぶんカテコこれぐらいの時間喋ってねって言われているから、そういう意味で、何喋っていいかわからないからふわふわ時間稼ぎさせてもらってるよ、って意味なのだと思う……笑

・ライビュの話が一段落した後、
大輝さん「それじゃあね! なんか言いたいことあるひといる!?(雑)」
ゆうくん(ふーくんだったかも)「はい!!!!(挙手)」
大輝さん「ハイどうぞ!!」
ゆうくん「あのね、るいがね、明日誕生日なんですよー! でもね、明日は(公演がないから)ハッピーボーイになれないから」
すっかり定着した「ハッピーボーイ」。笑

・るいくん、挨拶してくれる。
「21歳ということで、また一つ、大人の階段をのぼります!」
その言葉を聞いて、声には出さないけど「あ゛~~~~」って感じで前かがみになり膝に手置いちゃういのさん(最年長)。みんながどよどよ大丈夫かって寄ってくる。その後のるいくんの挨拶の間も、「俺大人の階段なんかのぼったっけな……?」みたいな感じでななめ上見ながら何かを回想してらっしゃった。笑
(そして彼がまじめに、初々しく一生懸命喋ってくれてる中、一人なぞにズボンを引っ張ってしきりに何かを直そうとしていたの、相変わらずのマイペースだと思ったし前にも何度かカテコでその仕草してるの見かけてるんだけど、そのズボンそんなに気に食わないの!?笑 動きやすいようにしてもらって!!!!)

・みんなでるいくんのハッピーバースデー歌いました、お祝いできてよかった~~~~!!;;;;

・どこかの流れで、大輝さんが「今回のキャストは13人で、過去(あんステ史上)一番少ない」みたいなことを話していた気がする……だからみんなで頑張りたいねって。

・大輝さん、やっぱり周りに話を振ろうとする。
「他になにかないっすか!? 言っときたいこと!! (急に隣のいのさんに)大丈夫っすか!?」
いのさん「(やや引き気味になりながらも)いいっす」

 やっぱり素敵な座組だなあと思いました。あったかいし思いやりがある。演じてくれている「人」を、好きになってしまう舞台だなあと思いました。
 でもそれは、あのふわふわカテコでみんなの色んな面を引き出してくれてる大輝さんの力も大きいと思うから(特に今回、作中で出番やセリフの少ない子もいるし)、やっぱり彼が座長をやってくれてよかったなあとも、改めて思いました。みんなを気遣ってくれる座長がいて、それに応えたいと思ってくれている座組は、やっぱり素敵な作品を作ってくれるね。

 さて、ここから、今回の福岡公演2/7マチネでわたしが感じた、猪野広樹さんについてのお話をします。冒頭で触れたとおり、おそらくあまり明るいお話ではありません。それでもやっぱり応援したいから。いのさんのことをあんステのことを、応援したいという気持ちは変わらない。
 どんな言葉でも聞いてくださるという方は、先にお進みください。

【生きている人間だということ】

 今回、るいくんといのさんが急病になったことにより、大阪公演が3つ、中止になりました。代わりにトークショーが行われ、わたし達はそれにすごく救われて楽しくて、よりあんステのことが大好きになったけれど、それはあくまでわたし達ファンと、動いてくれてトークをしてくれた、キャストさん達との話でした。その時、そこにいられずに、そして公演が中止になってしまった、公演を中止にしてしまったことに、責任や苦しさを感じているひとがいるということは、決してその裏に隠してしまっていいものではないと思っています。

 わたしが福岡行きを決めたのは、もともとあの大阪で見納めるつもりでそれまでの公演を観ていたから、まだまだ観たいシーンも追いたい場面もあったから、という、甘い考えとは別で。きっとそれだけでは、一週間もたたないうちに日本の半分を渡ることを決めることは、ありませんでした。
 いのさんが無事であることを、確かめたかった。それが、一番の理由でした。作品を観に行くのに、そんな失礼なこと。もちろんあんステもまだまだ観たかったけれど、一番はそれでした。わたしはわたしのエゴで、急病とはなんなのか、本当に福岡公演ができるのか、舞台に立てる状態なのか。それを確かめたくて、安心したくて、福岡まで行くことを決めました。
 決めた後、noteとは別の場所で、福岡について少しお話をしました。自分は、福岡が中止になってしまってもいいと思っている。もちろんそれは、東京でも大阪でも、既に複数公演観ることができている自分だから言えることであって、福岡でしか観られないひと、福岡で初めて観るひと。そういう方のことは全く考えられていない、自分中心の発言でした。それでもいいと、そんな人間でもいいと思うぐらいに、公演中止の可能性を考えていました。
 自分が福岡に降り立った瞬間に、やっぱり体調を優先しますと、中止にしてくれてもいい。だって、急病というものが何であったにしろ、丸二日の公演をつぶすことを最初から決めていたようなものならば、舞台に立てないとわかってからたったの4日、その間に、移動も小屋入りもある。きっと一度東京に帰ることもできないまま、福岡に向かうかもしれない。
「だって、絶対、しんどいと思うんですよ、」
 わたしはそう、自分で語りました。絶対しんどいと思う、たったの4日で病を治して慣れない土地を移動して舞台に立つ、それがつらくないはずがない。だから、体調を優先して、公演を中止にしてくれてもいいと。最後の宮城で、全員で、笑って大千秋楽を迎えられればいと、思っていました。だから自分が福岡に着いた瞬間に、公演中止の知らせが来ても、構わないと。

 その自分の気持ちがどれだけ甘かったのか、どれだけ浅はかで軽率で人のことを考える力がなかったのか、今日の公演で、思い知りました。

 いのさんは、確かに舞台の上に立っていまいた。衣装を着て、メイクをして、しっかりと演技をしてくれていた。嬉しかった。わたしの一番の気持ちであり目的であった、「無事であることを、確かめたい」、それは開幕してすぐに、叶いました。
 嬉しかった。けれど同時に、見ていられなかった。
 ストレートに言います。いのさんは、つらそうに見えました。体力的にも気持ち的にも。何の病気だったのかは結局わからないけれど、病気がわかってからはたったの4日、その間にするべきこと整えるべきことは、想像を絶する多さ重さだったのだと、ようやくわかりました。
「だって、絶対、しんどいと思うんですよ、」
 自分のその言葉が、どれだけ上っ面だけのものであったか、そこで実感しました。

 最初に前置きとして書くべきだったかもしれませんが、これは一ファンの勝手な想像で勝手に受けた印象だから、何が本当なのか、いのさんが本当はどういう状態で、何を思っているのかはわかりません。何一つ合っていなくて、実はいのさんはめちゃくちゃ元気で、これから書く演出についての話も、ただ作品として、公演数を経て、そういう方向性や結論になった、というだけなのかもしれません。それでも、初めていのさんを見るわけではない自分にとっては、感じることがたくさんありました。

 一番最初に、強く違和感を感じたのは、みかくんのアカペラのシーンでした。
 キーがぐんと落とされ、テンポがかなり早くなっていました。続く、なずなくんと宗さんの合わさる声も、そのテンポで、続けられていました。
 負担を、少しでも負担を、減らしているのかなと感じました。

 その後も、ちょこちょこと、あれと思うような箇所がいくつもありました。声の出し方、言い方、テンポ。表情だけは、いつもの自分がだいすきな、自分がすごいと感じているものでした。でも、積極的に表に出していかねばならない、出して伝えていかないと舞台にならない、主に声や所作といった部分では、だいぶ、今まで観てきたものと変わっていました。

 わたしはそれまで、MoMは5回観劇をしていました。もちろん、観劇回数が多いから少ないから、などという議論をしたいわけではありません。ただ、わたしは他の人も追いたいと言いつつ結局ずっと、どの公演もみかくんが出てくるところは彼固定カメラでした。そのため、彼の登場シーンが来るたびに、「ああこのシーンだ、またあのお芝居が見られる」と、ワクワクしながら今までのことを反芻して、その場面を見て、やっぱりすきだと実感する。MoMのみかくんについては、そんな見方をしてきました。
 けれど今回、その「実感」は、全然ちがう形となって自分の手の中に残りました。「あれ、」良し悪しではなく、今まで持ってきた感動とちがう。いつもの、あのわあっと気持ちが沸き立つようなものとはちがう。
 その正体が、力のセーブや、ひょっとしたら現実の体力のなさに表れているのではないかと、感じました。
(わたしはシンギン時の、役者さんとキャラクターが半分半分になるような瞬間がすきで、いのさんについては、冒頭と終わりの、男らしい煽りがすごくすきだったのですが、今日はそれも控えめであったように感じました)

 大輝さんのお芝居も、少し違っていた気がしました。
 それは、大きくて、主に音楽コンサートなどで使われることを想定されていそうな会場で、今までと少し雰囲気が違ったせいなのかもしれません。宗さんのテンポも、全体的に少し弱くて、迫力という意味で優しげで、今までが鋭すぎたという意味で、切れ味が足りないように感じました。
 これは、お芝居だから。インタビューなどを読む限り、2人はとても芝居の息が合っていて、そういった掛け合いのなかで、宗さんとみかくんを作り上げていったように見えたから。片方が気持ちをぶつければ、片方はそれに乗ってこなければならない。大輝さんの、あの宗さんの勢いで来られたら、みかくんもそれに乗った勢いのお芝居をしなくてはならない。それを考慮して、大輝さんの宗さんは、少し勢いをセーブしていたんじゃないかと、感じました。
 福岡から、「お芝居がぐんと変えられてきた」という話を聞きました。それは、先ほども述べたように、ただ作品として、そういう方向性になった、というだけなのかもしれません。でもわたしはそれを、るいくんがとても優しい表情で色んなひとを見つめるようになったことや、いのさんの負担を減らすために大輝さんのお芝居も変わったんじゃないかとか、そんな二人の間を埋めて支えるように力を発揮してくれていたなつきくんとか。そういったところに、「変わった」ということを感じてしまいました。

 そんな中、ライブシーンだけは。曲は、ダンスパフォーマンスは、いつも通りに見えました。逆に言えば、「それだけはせめて」なのかなとも感じてしまいました。もちろん劇だからお芝居も大事、でもあんステという作品の中で優先すべきものを考えた時、そしてヴァルがメインに据えられていること、それを考慮した上で、たくさん考えた上で、では一番のパフォーマンスだけはって、考えてくれたんだとしたら。
 Memoire Antiqueの、あの激しいダンスと勢いを、変わらないパフォーマンスを観た時には、観たいのに、あふれてきてどうしようもない涙に視界をふさがれて、何度もそれを振り払いたくなりました。これを見せるために、今までの舞台の流れの構成を、自分の中での力の流れを、考えてくれていたのだとしたら。

 わたしはもともと、いのさんの表情のお芝居がすきです。オペラグラスで追いかけてしまうのも、その細かな表情の変化の一つ一つがすごいと思うから、自分が喋っていない場面でも、一体誰が何を話している時にどんな表情をしているのか、いつもそれを見たくなってしまいます。
 そして今回、ストプレ部分のお芝居では、セーブしているのかもしれないと感じる場面がたくさんありました。けれどその分と言っていいのか、ライブ中の表情については、以前よりも感じるものがありました。
 レポでも少し触れた砂上の楼閣と、最後の、魅惑劇。あんなに表情を使っていたっけ、正確には、あんなに笑顔で歌っていたっけって、魅惑劇を見て感じました。勝ち誇るような自信のある表情、それは今までもしていたけれど、もしそれが気のせいじゃなかったとしたら、舞台の上に立ててパフォーマンスができている喜びか、色んなものの分、表情で魅せることを意識していたのか。どちらかはわからないけれど、すごく、すごくその表情に魅入られてしまいました。

 一体、大阪中止からここまで、どんな気持ちを抱えてやってきて、そして今、ただの想像で節穴で杞憂かもしれないけれど、少なくとも一人は、体調が万全でないのが舞台にも表れているのではないかと感じる観客がいて。それを思うと、なぜかいのさんが出てこないシーンでぼろぼろと涙が出てきて、そしてまた、るいくんの堂々とした姿や優しい眼差しにも、同じように泣かされました。

 色んなことを考えながら見て、色んなことを想像しながら泣いて。何一つ、合っていないかもしれないけれど(むしろすべてわたしの考えが間違ってくれていることが、一番良いことなのだけれど)。来なければよかった、観なければよかったとは絶対に思わない、けれど、本当にこれでよかったの? 福岡公演を決行して、よかったの? あのいのさんを見て、「おかえり」「最高だった」「いつもと同じだった」と言う方もいらっしゃるのだと思います。わたしには、それができなかった。笑っておかえりと言って、すごかったよ、大変なのによく立ってくださいましたなんて、言うことができなかった。それを再度感じたのが、カーテンコールでした。

 いのさんについては、どちらかだと思っていました。自分の病気をネタにして笑いをとりに来るか、一切触れないでいるか。結論は、たぶん、後者だったのだと思う。わたしはいのさんのことを、「今目の前にいるひとを全力で楽しませる」ひとだと考えていたけれど、本当にいのさんがそういう人であるならば、彼がとった結論は、あまりにも重いものでした。
 普段もあまり喋らないカテコ、けれど今日の、常に何かを噛みしめるような表情が、「わたしの」結論でした。ああ、納得していないんだと、思いました。

 人を楽しませるのがだいすきなひとが、自分のせいで、3つもの公演を、なくしてしまったこと。きっと、周りの方達は、彼のせいではないと言ったと思います。色んなところから、いのさんのせいじゃない、だから自分を責めないでほしいと、なにも背負わなくていいのだと、そういった声が聞こえてきたと思います。
 でもきっといのさんは、納得しなかった。他人の声では動かない、自分が納得しなければ、落とし込むことができないひとなのだろうなあと、改めて彼の自分への厳しさを感じました。自分がしてしまったこと、それを乗り越えてこの場にたってなお、その自分のことがゆるせないし、納得できていないのではないかと。

 推しが出ていれば何でもいいわけではないんです。彼が楽しいことをやってくれればいいわけではないんです。
 いのさん自身に、納得して楽しんでいて欲しかった。

 カーテンコールで、大輝さんがしきりに話を振ろうとしていました。「他に何か言いたいひといないですか」、隣のいのさんを見ながら「何かいいですか」。彼はそれを「時間稼ぎだ」とおっしゃっていたけれど、とてもいのさんのことを気遣ってくださっているのが、伝わってきました。いつも以上に、何かしたくてしょうがないという、空気があるように見えました。
 昨日の、2/6のカテコで、大阪公演についてはるいくんといのさんから言葉があったと聞きました。だから、もうそれは十分で、そういうことが聞きたいんじゃない、大輝さんも、そういうことを言わせたいんじゃない。でも、人を楽しませることがだいすきないのさんに、何かさせてあげられないかと、考えていてくださったのではないかと思います。
 るいくんは、きっといのさんより復帰まで少し時間の余裕があって、噛みしめる時間も、バネにして演技を変えてくる(優しい目つきの話)若さもあった。でもいのさんは時間がなくて、自分が最年長のこの座組で、しっかりしなければというプレッシャーもあった。
 るいくんのバースデーの時、いのさんは最年長だからと、「やべえなあ」みたいなリアクションをとっていたけれど、それはきっとひそかに「みんな」が期待していたことで、それさえ計算だったとしたらどうしよう、でも彼ならやりかねないと、思ってしまいました。

 でも、そういう人だから。そういう人だからだいすきだし、どんなに苦しくても悔しくてもしんどくても、こうやって舞台に立ってくれて、やっぱり応援したいと、思ってしまうのだなあと感じました。
 けれど同時に。これが現実だ、舞台に立つ人の。プロの。求められれば、昨日に何があったって、板の上に立たねばならない。ファンはいつだって、自分のことしか考えていない。わたしも含めて。それでも、応援したいし、きっといのさんのようなひとは、他人の言葉に動かされるよりも自分の中で納得しなければいけないひとだけれど、それでも、だいすきだと伝えることしかできないんだと知りました。

 中止になった大阪公演の時。プレゼントを受け付けてくださったので、わたしは大阪初日でのいのさんの振る舞いに救われたこと、今回を楽しみにしてきたことを綴ったお手紙を渡しました。迷ったけれど、感謝の気持ちを伝えたかった。
 この福岡でも、お手紙を書いていきました。大阪でのこと、けれどそのお手紙の内容が、必ずしもいのさんを励ますものになるものにはならないかもしれないことも、正直に書きました。そして、以前のトークショーレポのnoteの反響を通じて、色んな感情や出来事が自分に起こったこと。そのきっかけをくれたのが、やっぱりいのさんであったこと。そして、だいすきですということ。
 今は少し、後悔をしてしまっています。もっと、考えて考えて、今一番いのさんにかけられる言葉は、伝えるべき言葉、他にあったのではないかと。でもきっと、渡さないという選択肢はありませんでした。お手紙は、自分のエゴだから。一方的に気持ちを書いて、封をするものだと、わかっていて渡すものだから。

 今、この記事を書きながら少し、夜公演のカテコのレポを拝見しました。いつものいのさんなような、気がしました。やっぱりわたしの考えすぎかなって、杞憂かなって、元気だといいなあって、泣きそうになってしまいました。

 自分の手の中にあるものはいつも足りなくて、賢さも足りなくて、思いやりも足りなくて。そんな自分が唯一生み出せるのは、すきだという気持ちと、それを伝えたいという気持ちだけで。
 今後もきっと、いのさんに憧れて応援していく中で、色んなことを思うのだと思います。いのさんは生きている人だから。好きに消費していい、都合のいい虚構ではないから。だから、彼をすきでいることがエゴだと思うことはあっても、彼について何もわかっていなくて、自分の言葉ではいのさんの苦しいものが取り除けないかもしれないとわかっていても、まっすぐ、だいすきを伝えることだけは、やめないでいたいと思います。


 なかなか、いのさんの良いところを一生懸命喋る記事を書くに至りませんね~~!笑 わたしは子供のように、自分の大好きで大切なものほど、自分しか知らない宝箱の中に隠してしまいがちです。笑
 でも、きっとこの間の記事や今回の記事に加えて、わたしがなぜそんなにいのさんのことがすきなのか、応援したいと思えるのか。12月のイベントで交わしたささやかで、でもわたしにとってはとてつもなくしあわせな気持ちをもらえたお話、いつか記事に書きたいと思います。

 あんステMoMをすきな方、同じ公演を見ていた方。もしこの記事を読んでくださっていたら、色んな意見があると思います。そんなの思い込みだと、ひとりよがりな考えだと、思われる方もいると思います。
 それでもどうか、残させてください。自分の気持ちの、記録として。
 そして願わせてください、宮城で、大千秋楽で、ここまで考えてしまった自分がばかだったと、嘲って、安心して、笑って、泣いて、全力で応援して、みんなが笑顔で幕をおろせますようにと!





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