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【キラキス】アフタヌーンティーを一緒に食べにいく話

「今日は付き合ってくれてありがとね、ミューちゃん。」
「構わん。ここのクリスマス限定アフタヌーンティーは俺も食べに来るつもりだった。夏にも一度来たのだが、その時は夏みかんのタルトとティーソーダのマリアージュが絶品でな。また来たいと思っていたのだ。」
「あれっ、ミューちゃんは既に来たことがあったのね。さっすが~」
「ふん。俺を誰だと思っているのだ。ここはスコーンもクラシカルでとても美味いぞ。限定のシュトーレン風のスコーンも期待できそうだな。」
「えへへ、ぼくちんのお目当てもお見通しなのね。この前雑誌で見かけて、ここのスコーンがど~~しても食べたくなっちゃってさ。でも単品売りしてなくてアフタヌーンティーのセットでしか食べられなかったから、ミューちゃんと予定が合わせられて本当に良かったよ。」
「なるほどな。ならばスタンドのスイーツは俺がすべて頂いていいのか?」
「ちょちょちょ~っと待ってよ~~全部はダメだって!せっかく来たからにはぼくもいろいろ楽しみたいからね!今日のアフタヌーンティーを楽しみにしてこの一週間は準備してきたんだから!」
「いつもの決まり文句だな。今年の新年会でそのセリフを吐いた後、ずいぶん苦労していたと記憶しているぞ。」
「たはは……ぼくも体型維持が年々大変になっててね~……ミューちゃんは相変わらず体型が変わらないよね。」
「まったく、聞いてあきれるな。俺のは日頃の努力の賜物よ。」
「ほんとかなぁ。アイアイだって不思議がってるんだよ。」
「たしかに、努力をするまでもないと言うべきか。貴様らのような凡人にはわかるまい。」
「はいはい、どうせ凡人ですよ。おお、来たんじゃないかな?」

お待たせしいたました。こちらご予約いただいていたクリスマス限定アフタヌーンティーセットです。

…………
スタンド下段:ミニクグロフ、コーヒーガトーショコラ
スタンド中段:フランボワーズオペラ、ピスタチオのモンブラン、ホワイトチョコレートムース、スノーボールクッキー
スタンド上段:クリームチーズのマカロン、赤ワインゼリー、ギモーヴ
スコーン2種
特製ブレンドティー
…………

以上となります。紅茶のポットがお熱くなっておりますのでお気を付けください。
それではごゆっくり。

「わぁ、すっごい!スタンド全体がツリー風になってるんだね!綺麗だな~。紅茶もいい匂い~。」
「甘いバニラの香りがクリスマスの雰囲気によく合うな。」
「写真を撮るからちょっち待っててね~。」
「気をつけろよ。右後ろの女性客がさっきからこちらを気にしているようだ。」
「それはぼくたちに気づいたわけではなくて、ミューちゃんの手元を見てるんじゃないかな……相変わらず息をするように砂糖を盛っていくね。」
「まさしく呼吸と同じだからな。」
「どういうことなの?」
「しかし、なかなかに壮観だな。どれからいただいたものか。今日のスタンドは三段すべてスイーツだからな。どれから手を付けるか悩む時間もまた、贅沢なものだ。」
「ぼくは早速スコーンをいただいちゃおうかな。思ったよりも大ぶりでボリュームがあるね。」
「そうだな。俺もまずはスコーンからいただくか。ジャムとクロテッドクリームもたっぷり用意されているが、それは二人分だ。分かっているな。」
「いや普通だったら二人でも使い切れない量だと思うよ。ずいぶんたっぷり盛られてるね。さて、まずはプレーンから頂こうかな。綺麗な腹割れだね~。よっ……と。ここにクロテッドクリームをた~っぷり塗って……う〜ん、背徳感。これだけでテンションアゲアゲっ!」
「口にする前からやかましい男だな。ジャムはミルクキャラメルとラズベリーの2種類が用意されているな。貴様はベリーだろう。俺はミルクキャラメルのジャムにしよう。」
「あったり~!流石はミューちゃん、ぼくちんのことをよく分かってるね~。ところでミューちゃん、そんなに盛ってそれ口に入るの?」
「愚問だな。」
「今どうやって食べたの!?山盛りのジャムが口に吸い込まれていったね。」
「相変わらず外はサクサク、中はしっとりとして美味い。シンプルだからこそ品質が際立つ。」
「ん~、ほんとだ!小麦とバターの美味しさがしっかり感じられて最高だね!ラズベリーの酸味とクロテッドクリームの濃厚さが紅茶と溶け合って、ぼくまで溶けちゃいそうだよ」
「少なくとも頭は蕩けているようだな。だが気持ちもわからんではない。やはりスコーンとクロテッドクリーム、そして紅茶のマリアージュは特別なものだからな」
「ミューちゃんのはキャラメルと角砂糖のマリアージュになってるけどね」
「良いものは良い。そんなこともわからんのか。」
「ぼくもそっちのジャム少しもらおうかな。」
「ほら。」
「サンキュ~。ん~、少し甘すぎるけど、こっちも美味しいね。」
「そうだろう。ミルクの風味がしっかり残っている。紅茶に入れても美味しいだろうな。」
「良いね~。あとで試してみようかな。このスコーン、他にもいろいろなジャムを試してみたくなるね〜」
「ジャム……あの男の話か」
「ピンポ~ン!ランランの手作りジャムはフルーツの自然な甘みでとっても美味しいよね。この前のみかんのジャムは食べた?」
「あの男にしては悪くない出来だったな。」
「素直じゃないんだから~。ランランってばすごいよね。ぼくは今朝もヨーグルトにかけて食べたよ。」
「もうしばらくしたら、次はいちごの季節だろうな。楽しみだ。」
「またなにかお礼をしないとな〜。さて、次はシュトーレン風のスコーンだね。これが食べたかったんだ~。お〜、ほら見て、ドライフルーツがたくさん入ってる!まずはそのまま食べちゃおっと。」
「これは……うむ、ラム酒がしっかり効いているな。シナモンの風味もいい。」
「ほんとだ!大人の味だね。ん〜~、美味しい!僕はこのままが好きかも。」
「ジャムを乗せてもいいぞ。ドライフルーツがジャムに負けないでしっかりと主張してくる。」
「ほんと?やっぱりそっちも試してみようかな。」「ふっ。期待した甲斐はあったようだな。」
「ほんとほんと。期待以上だよっ!確かにジャムを乗せても、よりゴージャスな味わいになっていいね〜。」
「そうだろう。もちろん紅茶にもよく合う。このバニラの甘い香りとラム酒漬けフルーツの特徴的な甘みが素晴らしく調和している。」
「色んな組み合わせが楽しめるね!」
「ああ。それも一つ一つがしっかりとした品質を保っているからだな。」
「ふふ、ぼくたちみたいに、ってこと?」
「どうだかな。ティーカップが空いているぞ」
「そうだね、つぎはミルクを入れちゃおっかな~。」

「次はいよいよスタンドだね。何から食べるか目移りしちゃうよ~~」
「俺はこの下段のクグロフとガトーショコラを頂こう。」
「あ、じゃあぼくもそうしよ~っと。ミューちゃん、ぼくのを半分あげるよ。」
「半分?全部の間違いでは……」
「ありませ~ん。甘いものはそんなに食べないけど、ぼくもたまには食べたいんだって!」
「そうか、お前を気遣ってのことだったが……それなら仕方がない。一緒に食べるのもいいだろう。」
「そうだよそうだよ。ところでミューちゃん、クグロフってなんだっけ?」
「知らんのか。クグロフはフランス東部、アルザス地方の伝統的なお菓子だ。クグロフ型というこの形が特徴だな。」
「へ~、流石はミューちゃん物知りだね~。」
「最近は日本でもよく見るだろう。」
「ぼくも何となく見た事はあるんだけどね、食べるのは初めて。いただきま~す。」
「こちらははちみつ漬けのナッツとフルーツがぎっしり入っているな。同じフルーツでも先程とはまた風味が異なる。まるで宝石箱のように煌びやかだ。」
「うーん、ナッツとフルーツが沢山入っててゴージャス!ガトーショコラも食べちゃおっと。」
「このガトーショコラ、実に濃厚だがコーヒーの苦味がくどさを感じさせず後を引かない。繊細で見事なバランスだな。」
「ふふふっ。」
「なんだ?」
「ミューちゃんたらほんっとに嬉しそうに話すんだから、ぼくまで嬉しくなっちゃってさ。」
「そうでなくては失礼というものだ。だがこうしてスイーツについて話す機会も多いからな、職業病とと言えるかもしれん。」
「ほんと、引っ張りだこだもんね。ミューちゃんが紹介したなら間違いなしっ!て、ファンのみんなも噂してるみたいだよ。」
「当然のことだな。俺の評価は甘口ではない。」
「おっ、上手いこと言うね~。」
「ふん。俺は紅茶のおかわりをいただくぞ。貴様はどうする。」
「サンキュ~!ちょ~どぼくも次のポットが欲しいと思ってたんだ~!さっきはオリジナルブレンドだったから、次は別の紅茶にしよっと。う~~ん……」
「俺はシンプルにアッサムにしよう。貴様はこの焼き栗の風味がするブレンドがいいのではないか?」
「おっいいね~それ気になってたんだ!」
「だろうなと思ったぞ。」
「すみませ~ん。」
はい、少々お待ち下さい。

「さて、順番に行くなら次は中段かな?」
「ピスタチオのモンブラン、フランボワーズオペラ、ホワイトチョコレートのムース、スノーボールクッキーだな。」
「このモンブラン、ツリーの形になってるんだね!てっぺんに星の飾りも乗ってて可愛いなぁ。」
「サイズも可愛らしいな。俺としては少々物足りないが……」
「仕方がないな~、ぼくの「感謝する。」
「ちょっと!手が出るのが早いよ!」
「なに、甘いものを食べ続けるのは慣れていないだろう。これは俺なりの配慮だ。」
「う~ん、事実ではあるんだけどね。」
「このモンブラン、なかにチェリーソースが入っているな。ピスタチオのコクとチェリーの酸味がよく合っている。」
「これはオペラだっけ?このケーキ、プレゼントの形をしてて可愛いね!ムースとスノーボールはオーナメント風なのかな?う〜ん、食べるのがもったいないよ〜」
「なるほど。」
「ちょっと待った!早いよ!今のはぼくが軽率だったかもしれないけど!」
「なんだ、代わりに食べてやろうと思ったが。自分の発言には責任を持つことだ。」
「あれ、ぼくが悪い感じ?もぉ〜仕方がないな〜、ムースはあげるよ。でもこのケーキはぼくが食べるからね。」
「フランボワーズのオペラだな。うむ。このオペラ、先程のドライフルーツをつけたラム酒を使っているのではないか?ベリーソースの裏側に様々なフルーツの風味がほのかに感じられる。」
「こういうのは普段あまり食べないんだけど、美味しいね〜。それに紅茶もとってもいい匂いで……うーん、しあわせ〜。」
「こちらのホワイトチョコレートのムースはスポンジがアールグレイ風味になっているな。口当たりもよく、見た目より軽い。2つと言わず、いくらでも食べられそうだ。」
「ミューちゃんが食べてるところを見ると不思議と食べたくなってくるんだよなぁ。」
「ふ、見ているものに食べたいと思わせるのもプロの技だ。」
「ただ単に、すごく美味しそうに食べてるだけに見えるけどなぁ。ぼくはスノーボールをも〜らいっと。あ、ナッツの風味がして美味しい〜。」
「うむ。アーモンドプードルのクッキーだな。この少し硬い食感が良いアクセントになる。しかもこれは……和三盆か。この上品な甘さ、悪くない。」
「なるほど〜和三盆ね。うんうん。」

「もう残すところ上段だけになってしまったな。あっという間だ。マカロン、赤ワインのゼリー、ギモーヴ、メレンゲドールだな。」
「サンタさんの砂糖菓子、懐かしいなぁ。昔はクリスマスと言えばこれの乗ったショートケーキでね。姉ちゃんと取り合ったなぁ。」
「子供の喧嘩で済んだなら何よりだ。俺の国だったらこの砂糖の量で殺し合いが起きかねないぞ。」
「う、う~ん、ミューちゃんが言うと冗談に聞こえないなぁ……」
「ふっ。どうだろうな。」
「このマカロンは綺麗な水色だね!ミューちゃんにピッタリだ。何の味だっけ?」
「クリームチーズだ。まさしく俺にふさわしい色合いだな。しかしメニューに書いてあっただろう。覚えていないのか?」
「いや~ごめんごめん、ミューちゃんに聞けばいいかなと思って。」
「怠慢だな。」
「とほほ、ミューちゃんきびし~。あ、このマカロン、チーズが爽やかで美味しいね!」
「ああ。チーズとガナッシュのバランスが見事だな。フレンチメレンゲのマカロンコックも繊細で良い食感だ。」
「ギモーブはミューちゃんのお気に入りスイーツだったよね。あげるよ。」
「よく覚えていたな。褒めて遣わす。」
「はは~、ありがたき幸せ。ふわふわしてて可愛いね〜。」
「ああ……この弾力、そして口溶け、素晴らしい。だが素晴らしいギモーブほど儚く、物足りなさを感じてしまう。ギモーブのジレンマだな。」
「ぼくのあげたんだからいいでしょ!」
「2つあれば足りると思っているのか?」
「はいはい。ぼくはワインゼリーを食べうかな。う~ん、大人の味!」
「貴様、そればかりだな。」
「いいの!」
「赤ワインの色合いが実に美しい。ゼリーなのに香りがしっかりと残っているな。ただの口直しではなく確かな満足感がある。見事な技だ。」
「最後にサンタさんをいただいて、と。うーん、この味は変わってないね!懐かしい思い出の味だ。」
「そういうものか。どれも素晴らしいスイーツだったが、このようなメレンゲドールもこれはこれで良いものだな。」

「期待通りの素晴らしいコースだった。」
「そうだねー、とっても美味しかった!紅茶も美味しかったし、満足満足。」
「可能ならもう一周したいところだが……」
「げっ、ほんと?ぼくはも~お腹いっぱいだよ!」
「貴様とは出来が違うのだ」
「それってこういう場面で使う言葉かな?でも確かに同じ人間とは思えない……。それにしても今日は楽しかったよ。最近ミューちゃんと2人で話す機会ってなかなか無かったしね。」
「ここしばらく2人だけの仕事は無かったからな。カウントダウンライブの練習で毎日のように顔を合わせてはいるが。」
「練習終わるとミューちゃんすぐ帰っちゃうもんね。」
「忙しいからな。だが貴様もだろう。昨日は時間ギリギリだったぞ。」
「あはは……この時期はね~。だから今日は2人でゆっくり出来て良かったよ。」
「ああ。このような用事であればまた呼ぶがいい。」
「うん、そうしよっかな!さて、それじゃあ行こっか。ご馳走様でした!」
「ご馳走様でした。」

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