最も美味しい食べ物の話

といっても、もちろん個人的な好みの話である。

「一番好きな食べ物、もしくはこの世で一番美味しいと思う食べ物は何か」と聞かれて、何と答えるだろうか。

僕の場合はここ30年くらい変わってなくて、それは「ササミのフライ」である。なぜそんな庶民的なありふれた食べ物を好んでいるかは自分でもよく分からないが、もしかしたらこの食べ物を世界で一番愛しているのじゃないかと思うくらいである。

一般的には、ササミのフライは塩コショウをしたササミに衣を付けて揚げ、それにソースか醤油を付けて食べるのではないかと思うが、うちは醤油と酒とみりん（分量は適当）で下味を付けた肉に衣を付けて揚げる。

この方法で作ったササミのフライを僕は小学生の頃から食べているのだが、この作り方を母に伝授したのは、当時、愛媛県宇和島市で斜向かいに住んでいた、のんちゃんのお母さんである。もう、仲良しだったのんちゃんにも、そのお母さんにも会うことはないだろうが、遠い空の下から40年越しの感謝の念をテレパシーで送ります。本当にありがとうございます。

下味を付けているので、揚げる時に焦げやすいので注意。

さて、揚がったフライを、僕は天つゆに付けて食べる。何故かは分からないが、うちの実家では、この食べ方がいつからか定着した。さつまいもの天ぷらと一緒に食べることが多かったからかもしれない。天つゆに付けてすぐに引き揚げて食べても良いし、しばらく浸して衣がふやけてから食べても美味しい。

すでに書いた通り、付け合わせはさつまいもの天ぷらである。これは欠かせない。ササミのフライとさつまいもの天ぷらを交互に食べることは、僕にとっては至福としか言いようがない時間である。

とはいえ、フライを作るのはそれなりに大変なので、この黄金の組み合わせが食卓に上ることは年1-2回にとどまる。そのうち1回は僕の誕生日で、その時だけは妻が自主的に作ってくれる（もちろん僕も手伝うのだが）。どんな豪華な外食よりも心待ちにしている、自分の誕生日のささやかな楽しみである。

今年は終わってしまったので、来年が待ち遠しい！

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